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【後編】 F1のちっちゃいエンジンがなんで1,000馬力も出せるか教えたるで!

うっす!みんな前回の記事読んでくれてありがとな!

前回はなんでF1のちっちゃいエンジンが1000馬力出せるかっちゅうのを簡単に解説したで。こっちまだ読んでくれてない人はぜひ見てみてくれや。


前回のまとめ

前回のまとめを軽くすると、F1のエンジンは1時間あたり「1,240kwhのエネルギーを生み出すポテンシャルのあるガソリン」しか使えへんのや。これはF1の技術規定やからしゃーないな。せやけど、エンジンはガソリンのエネルギー全部使えるわけではないんや。なんでか言うたら、100%の熱効率で動くエンジンなんかこの世にあらへんやろ。必ずエネルギーロスちゅうのが発生するんや。

けどな、F1のエンジンの熱効率はごっつええねん。50%以上やで。これは快挙や。今の車のエンジンは大体熱効率35%程度やん。それに比べたらほんまに効率ええねん。

とりあえず熱効率50%やから、燃料のパワーを半分にすると、エンジンは620kw、つまり約830馬力を生み出せるっちゅうことや。さらにMGU-Kから120kwが加わるから、合計で約740kw、つまり約1,000馬力になるんや。

ほんなら、次の疑問として「どうやって50%の熱効率を達成しとるんや?」っちゅうことやろな。実は3つの秘密があるんや。


3つの秘密:プレチャンバー点火

今のエンジンを考えてみてや。マックスパワーを出してる時、例えば車でアクセルをべた踏みした時やな、そん時の空燃比はだいたい11:1とか12:1や。これはリッチって言うて、燃焼室に入る燃料が多すぎて、全部燃え切らへん状態なんや。これがマックスパワーを出すのに理想的やけど、フォーミュラ1では燃料の流量と供給が限られてるから、リッチな混合比を使うのは効率が悪いんや。使わへん燃料が出てくるわけやからな。そこで、燃料をできるだけ効率よく使いたいわけや。ほな、どうやってエンジンでリーンな空燃比にするか?プレチャンバー点火がこれを助けてくれるんや。

まず、通常の燃焼室とは別に、スパークプラグのすぐ隣にめっちゃ小さい燃焼室があるんや。F1では1気筒につきインジェクターは1個しか使われへんねんけど、このちっちゃな燃焼室に直接噴射するんや。

プレチャンバー点火

で、インジェクションのタイミングを調整して、スパークプラグの周りだけちょっと濃いめの混合気を作り出すねん。残りはちょっと薄めの混合気や。そしたら、スパークプラグの周りの濃い混合気が先に燃焼し始めるんや。これが「乱流ジェット」いうなって、ブワッと広がって、周りの薄い混合気を燃やすのを手伝うんや。

MAHLE(マーレ)がジェットイグニッションちゅう点火システムを作ってるんやけど、パッシブなシステム(F1のエンジンみたくプレチャンバー内にインジェクターを持たないタイプ)なら、空燃比が14.7:1くらいでも耐えられるらしいで。アクティブなシステム(プレチャンバー内にインジェクターを持つタイプ)やと、なんと30:1 (λ = 2)くらいまで薄くできるみたいやで。F1はパッシブなシステムやけど、それでも普通の車よりずっと薄い混合気で燃焼できるんやで。

要するに、この技術を使うとスパークプラグの近くに燃料をぎょうさん集めて、それをバチっと燃やして他の部分の燃焼を助けるんや。これで燃費もパワーも上がるっちゅうわけや。ほんまにエンジンの技術ってすごいわな、なんか見てるだけでワクワクしてくるわ。

3つの秘密:圧縮比

F1のルール上、圧縮比は18:1までって決まってるんやで。普通の車はそんな高圧縮比使わへんやろ? でもな、圧縮比が高ければ高いほど効率ええねん。ただなぁ、圧縮比が高すぎると、エンジンがカタカタ言うて壊れやすくなるんや。せやから、F1エンジニアはそこのとこをよう考えてるんやで。

吸気行程っちゅうのは、空気をシリンダーに吸い込む行程やねんけど、F1エンジンでは吸気バルブをちょっと早よ閉じてしまうんや。ピストンは下がり続けるんやけど、圧縮行程中は15:1くらいに抑えるようにしとる。そんで、ボーン! って燃焼が終わってピストンが下がるときや。シリンダーの中にはまだ圧力が残ってるんや。そこで、ピストンをさらに下げさして、排気ガスからも無理やりエネルギー絞り出すねん! これがめっちゃ効率ええんやで!

吸気→圧縮→排気(拡張)

F1は決まりが多いねん。バルブの開閉タイミングもホンダのVTECとかBMWのVANOSみたく可変にできひん。10,500回転とか11,000回転みたいに、決まった回転数に合わせてバルブ開閉せなあかんねん。決まりの中でいかに効率上げるか、F1エンジニアはホンマにスゴいっちゅう話や! 市販車とは違って、レギュレーションも違うし使える技術も違うけど、F1エンジニアのアイデアはハンパないって事や!

3つの秘密:MGU-H

ほな、エンジン効率の話しで忘れちゃいけないのがMGU-Hいうヤツや。 燃やし終わった後も排気ガスには圧力が残ってるんやけど、この圧力を利用してタービンをぶん回したり、MGU-Hいうモーターでバッテリーに電気を貯めたりするんや。ムダにしとったエネルギーを有効活用してくれるんやから、MGU-Hは燃費向上に一役買ってるっちゅうわけやな。

で、このエンジンの効率の話やけど、ホンマかな思て調べたらな、15年もルノーF1チームのエンジニアやってた人間が書いた論文見つけたんや。 その論文によると、ガソリン直噴式のプレチャンバー使ったら、理論空燃比λ = 2.1で熱効率47%も達成できるらしいで。 さらに電動ターボシステム使えば、熱効率は48%以上も行けるとのことや。いうことはや、プレチャンバー点火と電動ターボシステム使えば、熱効率50%近くまで行くっちゅう話もあながち嘘ちゃうかもしれんな!

おまけ:ブースト圧

1.6リッターのエンジンで850馬力とか、どないなブーストかけとんねんて感じやな。たとえばトヨタのGRカローラやったら1.6リッター直列3気筒ターボエンジンやろ。これ6500 RPMで300馬力出すねんな。そん時のブースト圧は25.2PSIやで。

今話しとるF1のエンジンはGRカローラと同じ1.6リッターやけど、850馬力も出すやん。ほんならブースト圧絶対GRカローラより高いはずやと思うやんか。せやから調べてみたんや。

ガソリンの流入量が100kg/hいうレギュレーションがあるっちゅう話を前の記事でしたやろ? ほな計算してみたらおもろいで!まず、自然吸気のエンジンで吸気効率が100%いう仮定で計算したら、10,500 RPMで1分間に8400Lの空気吸い込む計算になる。 これを空気の重さに換算にしてみると、10.29kg/minや。 で、これを時間に直すと617.4kg/hの質量流量になるわけや。んで、ガソリンが100kg/hいうたら、空燃比は6.17:1やな。 これ、めっちゃ濃いんよね。 理想的な空燃比は14.7:1やから、絶対圧は2.38気圧、換算すると35PSI (2.4バール)必要になる。 そこから14.7を引いたらブースト圧は20.3PSI (1.4バール)っちゅうことや!カローラのブースト圧よりF1エンジンのブースト圧の方が低いんやで!

ブースト圧の試算

ほな、数字だけ見たらちょっとしょぼい思うかもしれんけど、エンジンの効率と回転数考えたら、ブースト圧そんな高なくても結構なパワー出せるんやで。それに、もっとリーンバーン、つまり空気と燃料の比率を22:1くらい薄くしてやったら、ブースト圧は最大で 2.6bar (38PSI) くらいまで上がるで。でもなぁ、実際のブースト圧はサーキットによって変わってくるんや。特にメキシコシティみたいに標高が高くて空気が薄い所やったら、パワー出すためにブースト圧を上げなあかんねん。


F1のエンジンてぶったまげるよな

ほな、こんな感じやな。この記事で、どないしてこんなちっこいフォーミュラ1のエンジンが1,000馬力も出せるか、ちょっとは分かってもらえたらええな。ほんまに信じられへんわ、こんなエンジンでここまでやれるなんて。しかも、めっちゃ効率よくなってるしな。

みんな、ほんまに読んでくれておおきに。コメント欄でみんなのお気に入りのチームを教えてな。それと、2024年は誰がチャンピオン制するんやろな?ここ3年くらいフェルスタッペンが勝っとるやないか。ワイはハミルトン応援しとるけどな。

土砂降りの中走るメルセデスAMGペトロナスのルイス・ハミルトン
By Takayuki Suzuki - https://www.flickr.com/photos/78475089@N02/15538317559/in/photostream/, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=36701627


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