高津小巻

運命に愛されがちな独身OL 兼 ペーパー神主。 不健康だけど元気だよ。 節操がないのが…

高津小巻

運命に愛されがちな独身OL 兼 ペーパー神主。 不健康だけど元気だよ。 節操がないのがチャームポイント。

マガジン

  • おっぱい坂フェスティバル

    いにしえのスピーチ曰く「人生には、上り坂・下り坂・まさかという三つの坂がある」らしいんですが、私がつまづいたもう一つの坂の話です。 ※内容は私個人のケースですのでお含みおきください

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告知までのこと(1)

「ガーン」と、そう口にするつもりでいた。 そのつもりではいたのだが、「コイツふざけてんなら適当にあしらうわ」とぞんざいに扱われてしまうんじゃ…という不安が一瞬頭をよぎり、口にするのを躊躇してしまった。 医者から今後の検査についての説明を聞いている間ずっと、 「ガーン」っていつ言おう…今か? …いや、まだタイミングじゃないな…と思いながら結局口にする事ができなかった。 「あくまでも『可能性がある』という段階で、確定ではないんですが、悪性の腫瘍である可能性があります」 さっ

    • 乳をとりもどす話(5)

      (これは私が脂肪注入による乳房再建を行うまでの話である。) 初回の脂肪注入から早2年。6回の再建手術を実施したところだ。 今回は術後の生活について書きたいと思う。 ・脂肪吸引・脂肪注入実施後の生活 手術は日帰りで行われる。後処置も含めてだいたい所要3時間。 手術直後は麻酔が効いている&痛み止めを飲んでいる&興奮状態でさほど痛くもないのだが、体は熱を帯びて重い。 部分麻酔による意識のある状態での手術ゆえ、妙に手足に力が入ってしまい、猛烈な筋トレをした後のようにヨレヨレとしか

      • 乳をとりもどす話(4)

        (これは私が脂肪注入による乳房再建を行うまでの話である。) 初回の脂肪注入から早2年。5回の再建手術を実施した。 当初の想定では、4回ほどで手術完了となっているはずだったのだけど、トラブルもあり、まだ完成に至っていないのが現状。 途上とはいえ、「再建手術してよかった」というのが現時点での感想だ。 再建手術は心身ともに・金銭的にも消耗する(何なら全摘手術の時よりもずっと負荷が高い……個人的には)。 けれど、それでもやはり乳がある安心感というか、妙に気を張らなくてよくなったこ

        • 乳をとりもどす話(3)

          (これは私が脂肪注入による乳房再建を行うまでの話である。またしても数ヶ月ぶりの投稿になってしまった。) そんなこんなで、手術の話をしようと思う(やっと!)。 私が選択した再建方法は、「脂肪注入」で、脂肪肝細胞を使うタイプ。 自分の脂肪から幹細胞を培養し一緒に注入するというものだ。 手術は完成までに4回ぐらい、期間を分けて実施するという。 1回目の手術は、脂肪肝細胞を採取するための手術なのだが、私の通院したA医院では、初回から注入が可能だった。 (ただしこの回では脂肪肝細胞

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        告知までのこと(1)

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        • おっぱい坂フェスティバル
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          乳をとりもどす話(2)

          (これは私が脂肪注入による乳房再建を行うまでの話である。前回の投稿から数ヶ月も空いてしまった。実際は既に2回目の施術を終えているけれど、今回の投稿もまた、まだまだそこまで至らない前段階での出来事である…) 大学病院から紹介状を受け取った私は、早速脂肪注入を取り扱っているA医院に予約を入れた。 A医院では、電話だけでなくLINEでやりとりが可能だった。 チャットボットと手動のハイブリッドでサクサク予約でき、大学病院の代表電話(いつかけても繋がらない)や予約しても1ヶ月後などが

          乳をとりもどす話(2)

          乳をとりもどす話(1)

          時の流れとは早いもので、前回更新から一年以上も経過していた。 おかげさまで毎日ヘラヘラ生きてます。 いぇーい。 術後2回目となる年1の検診も無事クリア。 (エコー時に「脇のリンパが腫れている」と言われてドキッとしたものの「前月に接種した新型コロナワクチンの副反応でしょう」とのこと。 接種の注意事項には確かに「乳がん検診は時期ずらせ」て書いてあった…) 治療としては、今は毎朝1錠の錠剤を服用しているだけ。 それで女性ホルモンを抑制しているだけ。 遊んだり、働いたり、

          乳をとりもどす話(1)

          術後1年の検診

          8/16、ちょうど手術から1年が経った。 奇しくも友人の命日ということもあり、ずっと頭にモヤモヤと浮かんでいた彼女の記憶を整理しておきたいなと思っていたのだけれど、複雑すぎてまだ整理しきれずにいる。 1年前を思い出すと、あっという間のような気もするし、まだ1年しか経ってないのか~という気もする。 さすがにあの頃は今がこんなwithコロナの世界になっているとは思わなかったな。 そんなわけで数日前、1年後検診というやつに行ってきた。 午後からの予定だったので会社も半休にしてい

          術後1年の検診

          クローズドSNSが欲しいという話

          いきなりタイトルに結論を書いてしまった。 まぁ要するにそういう事だ。 昨年、病気が判明して色んな手続きをしていく中で、「がん経験者専用」SNS(スマホアプリ)の存在を知り、登録してみることにした。 確か、告知された直後のことだったと思う。 (なお、残念ながらそのアプリは最近サービスを停止し、別形態のコミュニティに変わっている。) 確か登録時に、ニックネームとアイコン(イラスト選択式だった)に加えて自身の病名・現在行っている治療内容、年齢や家族構成プロフィール、メッセージを

          クローズドSNSが欲しいという話

          緊急事態宣言が響きわたる世界で遺伝子検査を行った話

          商店街を歩く人があまりに多いので驚いた。 それは国から新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言が発出された、翌々日の昼下がりのことだった。 その日私は大学病院に検査結果を聞きに向かっていた。 「不要不急の外出」ではないと認識しつつも、どこか後ろめたい気持ちになる。 新型コロナの流行が叫ばれてほどなく、会社からはマスクと消毒液が配給され、オフピーク通勤のため始業時間が大幅に変更された。チームが共倒れしないように執務室を分けられ、食堂は向かい合わないように座席を配置変更。

          緊急事態宣言が響きわたる世界で遺伝子検査を行った話

          術後3ヶ月目の憂鬱

          術後の経過をサクサク書いていくつもりが、すっかり3ヶ月近くも経ってしまい、我ながら唖然としている。 病気ハイ的な期間を経て、心身ともに良くも悪くも大きな変化があった。 ……と、掲題の話を始めるまえに、私がこのnoteを書こうと思った経緯を記しておきたい。 もしかして、という予感があった時、検診で「乳ガンの可能性あり」と示唆された時、私は真っ先にインターネットに情報を求めた。 現代では誰もが行う「ググる」行為を、当然のように私も行ったのだ。 ガンという病は人によって状態も

          術後3ヶ月目の憂鬱

          回転する恍惚と忘我の果てのヌード撮影

          溶けるような、という形容詞がぴったりのひどく暑い日だった。 クーラー漬けになっている体は、外に出るやいなや汗が沸く。 電車を乗り継いで新宿まで向かうと、ネット予約していた美容室に向かった。 8月上旬。手術を1週間後に控えたこの日、ついに私はヌード撮影を行う。 まずは撮影してくれる所を探すのが大変だった。 知人のカメラマンは皆男性で(もちろんプロとして信頼はあるけど)裸になるのは気が引ける。 メディア系・芸術系の友人達にツテを尋ねれど、有力な情報は得られず。 (AV撮ってる人

          回転する恍惚と忘我の果てのヌード撮影

          術後のリハビリそして退院へ

          私が入院した病院は自宅から約30分程の距離で、比較的都心に近いながらも落ち着いた住宅エリアにある。 病棟が高層階だったこともあり、見晴らしは抜群。夜ともなれば東京の夜景が広がる。 遠くに見えるビル群の中には東京タワーの姿もある。あの向こうに職場も含まれているだろう。 浮かび上がる無数のビルの光と、その屋上で点滅する赤色灯。星の瞬きにも似た煌めきが、たった数日で懐かしく心を揺さぶる。 病を機にしっかり休息したいと思いつつも、一方であの光の中に早く戻りたいという気持ちが募る。

          術後のリハビリそして退院へ

          手術、そして第2形態の自分との対峙

          手術前日の8/15、ついに入院する日がやって来た。 入院病棟は女性専用で、乳がんや子宮がんなどの患者が中心だ。 同じ日に入院したのは10人程だったが、ほとんどが40-50代。私が一番若かった。中にはすでに抗がん剤治療をしているらしい、脱毛用の帽子を装着した人もいる。 待機場所のソファに母と隣り合って座っていると、看護師はみな母の方が患者だと思って話しかけてくる。 母は「え〜、そんなに病人っぽいかしら…」と嫌そうな顔を隠さない。病人本人にそのリアクションを見せるデリカシーのな

          手術、そして第2形態の自分との対峙

          卵子凍結をしてみた話(4)

          →卵子凍結をしてみた話(3) ついに卵子凍結のための採取日。 やけに体が軽く、僅かながら出血していたこともあり、排卵されてしまったのでは…と心配だったが、医師・ヒデオイタミは「あ~大丈夫ですよ~」と軽い返事。胸を撫で下ろす。 「多少なら問題ないです。排卵直前の卵子が一番いいんで」と。 腹水が貯まっているが問題はないそう。 エコー検査の器具が入ると、今までにない圧迫痛を感じた。 これから私は、部分麻酔で、卵子を採取・凍結する。時間は約30分超。 麻酔を浸した綿球を膣に挿入す

          卵子凍結をしてみた話(4)

          卵子凍結をしてみた話(3)

          時はきた。 卵子凍結を未遂に終え、歯ぎしりをしながらリセットのため薬を飲むこと約20日。2回目のチャンスが到来し、私は産婦人科に向かった。 かつて常人より数百倍以上も高かったエストロゲンの数値は1231→10と人並みになっていて、人体の神秘に面食らう。 久々のエコー検査。相変わらず気遣いに欠ける医師ヒデオイタミの手さばきが妙に懐かしい。いつの間にか私たちなりの信頼が築かれていた。 画像を見ると、かつてゾッとするほど膨れていたブラックホールのごとき塊はすっかり小さく、使用後

          卵子凍結をしてみた話(3)

          卵子凍結をしてみた話(2)

          →卵子凍結をしてみた話(1) 女の下腹部には、スター養成機関が存在する。 卵巣の中には原始卵胞、要するにスター卵子を夢見る卵子研修生が巨万と眠っている。(出生時約200万個→思春期約30万個。月経開始以降は毎月1000個ずつ減るらしい) そのうち排卵オーディションを受けるのが数十~数百個。 さらにオーディションを勝ち抜き、選抜メンバーとして育っていくのは十数個。 ただしスター卵子として選ばれ磨かれ、デビュー(排卵)できるのは選抜メンバーの中で原則1個。 そう、精子と受精でき

          卵子凍結をしてみた話(2)