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乳をとりもどす話(4)

(これは私が脂肪注入による乳房再建を行うまでの話である。)

初回の脂肪注入から早2年。5回の再建手術を実施した。
当初の想定では、4回ほどで手術完了となっているはずだったのだけど、トラブルもあり、まだ完成に至っていないのが現状。

途上とはいえ、「再建手術してよかった」というのが現時点での感想だ。
再建手術は心身ともに・金銭的にも消耗する(何なら全摘手術の時よりもずっと負荷が高い……個人的には)。
けれど、それでもやはり乳がある安心感というか、妙に気を張らなくてよくなったことでかなりストレスが緩和されている。

そんな訳で、これからは以下について書いてみようと思う。
・脂肪吸引の効果(痩身効果やいかに)
・脂肪注入の効果(見た目、触感、感覚)
・実施後の生活(術後の痛み、むくみ、仕事の調整)
・実施後のトラブル(脂肪壊死、形状)

とりあえず今回は手術の効果のほどを。


・「脂肪吸引」の効果

あくまでも個人的な感想としては、「多少は効果があるが割に合わない」だ。
もともと私は中肉中背の体型だ。尻神様と崇められるくらいには立派な下半身を持っているが、身長157㎝の平均体重内におさまる体型である。

全5回の手術では脂肪吸引をそれぞれ以下の部位で行った。
①下腹部→②右足前腿→③左足後腿→④右足後腿→⑤左足前腿の外側
うち、①・⑤は約50〜100CC、②〜④は約200〜400CCの脂肪吸引だったと記憶。
正直、吸引直後は分厚いガーゼを貼っていたり、ダウンタイム・浮腫の影響もあり、明らかに痩せたという感覚はなかった。

下腹部については、もともとの胃下垂&腹筋のなさもあいまって、以前と変わらずキューピー人形よろしくぽっこりしたままだ。そのくせ脂肪吸引をしたばかりに、座った時に少々たるみを感じるようになってしまったし、吸引されたエリアだけ”削られた”感もある。削られた感があるってことはその分痩せたんだろうが、腹筋や体幹を鍛えることでしか解決できない体型維持というものを痛感させられた。

一方、太腿については、片方ずつ交互に実施したので通常時との差分を感じることができた。
本人視点で上から見下ろした時、腿の付け根から膝に向かってうっすらとへこんでいる。
それはどこか生ハムの原木が削られた様子を彷彿とさせた。
左右の足で差があると言っても、ぱっと見では違和感ない程度だ。
たとえば片足だけ脂肪吸引した状態で水着で海に行ったとて、誰も気付くことはないだろう。そんなもんだ。
痩身のために脂肪吸引したわけではないので仕方ないのだろうけど、
結局ふとももは”太”もも。
夢見たスリムな下半身を実現することはできなかった。

・「脂肪注入」の効果

脂肪吸引の効果がイマイチであった一方、こちらはズバリ「確実に効果があった」と言える。
もちろん水風船を膨らませるように一気に、とはいかない。
ストレスを感じる手術を何度も繰り返してやっと元の乳に近付きつつある。
手術直後は腫れて重く硬かった胸も、2〜3ヶ月経つ頃にはだいぶ柔らかくなってくる。
感覚はぼんやりとしてはいるが、戻ってきている。
(DTの数週間冷えピタを貼り続けていたらかぶれて痒くもなったし、つねると痛い。)
腕を動かしたり、胸に力を入れると乳房に妙な引き攣れみたいなシワが寄るのは気になるけれど、力を入れなければどうってことはないし、(これはまた改めて書くつもりだけど)脂肪壊死のトラブルさえなければ、ぱっと見の自然さはなかなかの物だと思う。

現状、左右の乳はまだ少し不揃いだ。
けれど、全摘したあとの肋骨が浮き出た胸に・Vネックの服なんか着た日は首元からガバッとお腹まで見通せるほど空っぽな骨と皮だけだった胸に、脂肪が乗った・骨の凹凸が埋まった・わずかながらも膨らみを感じることができた瞬間の安堵と喜びたるや。
この数年のボーナス全額を胸に投資しているけれど、それだけの価値があると感じている。
たぶんハリーウィンストンの指輪だって余裕で買えるくらいの金額がこの胸にかかっている。私の胸はダイヤモンド よりも高級で貴いのだ。

そんな感じで、今回は手術の効果について記載した。
経年による変化などもあるだろうが、現時点ではこんな感じ。
術後のトラブルや生活については、また次回記載したい。


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