マガジンのカバー画像

jellycarlo

17
フィクション
運営しているクリエイター

#短編小説

RAT food

RAT food

「名前は?」
「あー,ヤンと言います」
「えっ?ヤンさんですか?」
「そうですよ,ヤンでいいですか?」
「わかりました」
「で,どのくらいあるんですか?何枚もあります?」
「どのくらいいるんですか?」
「とりあえず,1枚でいいよ,ソレが使えるなら,月に最低5枚は買うよ」
「わかりました,1枚用意します」
「じぁ,そういうことで」

流暢な日本語で喋るヤンはオレだった…
ネズミは本名で自分をヤンに紹

もっとみる
Valleys OF Neptune

Valleys OF Neptune

コンクリートに照らされた狂ったような暑い夏が過ぎて,気がつけば秋だった…

煉瓦が溶けていくのは,はやかった…

人は疑問におもうかもしれない,
どうやったら,そんなにお金が消えていくの?

Brown moneyの束をcasinoで溶かす…
日常なんて,あっと言う間に,劇的に変わっていく…

その日もGreenの羅紗の前に座っていた.

「shachoどっちやおもいますか?」

そのオトコとの始

もっとみる
Swindle

Swindle

そこには,ないものを,あたかも,あるようにみせる…まるで手品師のように…

ソレができるのであれば,コレを読んでいる人も詐欺という行為をできるかもしれない.

あとは簡単だ.
その欲望をカネに変えてしまえばいい…

欲求というものがある.
人はある欲求が満たされるとより高次な欲求を満たそうとする…いわいるマズローが唱えた欲求階層論だ.
人は社会的な生き物であるがために欲求が多岐にわたる.
その欲求

もっとみる
DARK BANKERS CLUB

DARK BANKERS CLUB

商売の起源は,物々交換に近い自然貨幣がはじまりだ.そこから,人々は貨幣制度を作り上げた.
現在最古の貨幣と考えてられているのはエレクトロン貨といわれている…

金貸しは,貨幣の使用が始まる古代において登場した職業であるといわれているが,その時代から悪しきものとして見なされていた…
事実,各宗教の聖典では高利貸しを批判している…

だが,なぜか人の欲望と習慣は古代から変わることなく,金貸しは現在でも

もっとみる
Kickin’

Kickin’

タクシーに乗って港区のマンションへ向かう.
そのマンションではじめて出会った.
BJは黄色と黒の模様のトカゲに冷凍マウスをあたえていた.

オレはBJからPCの使い方やメールのやり取りすべて習った.
歳はオレよりも若かった.
ハッキングとプログラミングとフィシング…
天才的だった.

彼らは,サクッと抜いてサクッとシノギをやめる.
そのやめてる間に次の準備を整える.
スパンは3ヶ月だったり半年だっ

もっとみる
Accused

Accused

被疑者は48時間の拘留の後,
拘留請求を経て10日から20日間の拘留が延長される.
拘留の理由として,逃亡のおそれ,と証拠隠滅のおそれがある.
この2つがクリアされれば保釈の申請が通る.
証拠隠滅のおそれのある者は接見禁止処分となる.

オレは検察庁へ取調へと向かっていた,薄暗い留置所からでれるのは,すこし嬉しかった.
検察庁は綺麗な公園の横にあって,その景色が好きだった.
よく考えたら,景色が綺

もっとみる
Investigation

Investigation

蛍光灯が鈍く光ってた.
時間は9時を回っていた…
薄暗い面会室だった.

「国選弁護人のKobayashiです」
「ああ,はじめまして」

逮捕されて,次の日の夜に,その弁護人はやってきた.
私選弁護人を雇うつもりはなかった.
有能な弁護士以外はそう判決は変わらないことを知っていた.

まず,これからどうなるか?などを尋ねたとおもう.

「自分のわかる範囲で証拠となるものはありますか?」
「ないよ

もっとみる
Ain't no way

Ain't no way

いつかとか,そのうちとか…
そんな言葉でお互いが誤魔化し続けてたのかもしれない…

飲めない酒を飲まされていた.
テキーラとかそんなやつ.
知らないBARで出会ったオンナは美しかった.

オンナとはじめての会話は
「濃ゆいね」
「なにが?」だった…

気がつけばオンナの家で生活していた…
オンナがcoffeeを淹れる…
オレがいつものcoffeeを飲むとオンナは笑って仕事へ出ていった.

陽炎のよ

もっとみる
Juicy

Juicy

全てはオレの夢だったんだ.
Hustlerに憧れて,StreetでWEEDを捌く.
WEEDをBrown Moneyで巻いて吸いまくって…
まともなヤツとは正反対の生き方だけどな.
カップラーメンがディナーだった頃は忘れもしない.

ノートリアスBIGのJuicyの歌詞で言えばこんな感じかな?

東京へ行った…
はじめての食事は焼肉を喰ったのを覚えてる…
Brown Moneyが,かるく飛んでいく

もっとみる
Night Bird Flying

Night Bird Flying

2億の詐欺事件でジミヘン君達は執行猶予の判決が下っていた.
「なにもしてないよ」
よく,ジミヘン君が言ってた言葉だった.

「Jelly君,元気してんの?」
ジミヘン君は笑っていた.
「大丈夫だったんですか?」
「まぁ,大変よねぇ〜,これからさ.それよりJelly君最近なにしてんの?」
「なにもしてませんよ」
「あははは」
ジミヘン君はホントにあはははと笑う.
「あのさ,ちょっと家具運ぶの手伝って

もっとみる
$20 FINE

$20 FINE

「スコアは?」
「えー,8」
「8ですね…」

ゴルフは紳士のスポーツだ.
数字を誤魔化すことなどは紳士たるものできないことだとおもってた.
そのオトコは明らかに,その数字を真摯な顔をして間違えていた.

間違えていた…?
そこは今でもわからない,誤魔化していたのかもしれない.
ただ,明らかに数ラウンドのスコアは間違えていたし,誤魔化していた.

ジミヘン君と初めて会ったのは,友達に紹介された店で

もっとみる
BLUE HEARTS

BLUE HEARTS

「あのなぁ,Jelly,勝負ていうのはな,自分が負けを認めたら負ける…ってことは,負けを認めてなかったら,勝ちはなくても負けではない.わかる?」

キツネの目をしたマイキー君が風呂上がりに言った.背中には毘沙門天の刺青があった.

この毘沙門天はこの世界で1番美しいのかもしれない…

5月だった.
数人のオトコ達の中から突然声をかけられた,
「久しぶりだなJelly!」
誰が声をかけてきたか探した

もっとみる
ROLLING WEED

ROLLING WEED

いい天気だった.
「ねぇ,Bobでも聴いて軽く海までドライブしようよ」
ルパンとは,いつの日からか電話するようになっていた…
幼い時から違った感じのヤツだった,カールアイパーが流行っている時に,1人だけルパンのようにもみあげを伸ばして坊主だった.

久しく会ってなかったが,街でぶらぶらしていると声をかけられた.
「jellyくんじゃない?」
「おおっ,ルパンやんか!ちょっといい感じになってない?」

もっとみる
GOD DONES NOT PLAY DICE

GOD DONES NOT PLAY DICE

汗ばむ手のひらには…
希望と絶望,歓喜と悲哀,光と影,勝利と敗北…

BET or DIE

美しい緑の羅紗の上に積まれたチップと菱形の模様のトランプカード

いつだっただろうか?
気がつけばオレはそんな場所に座っていた.
なけなしの金だった,当時のオンナから借りたカネだった.気がつけばチップは300万ほどに膨れあがっていた.

緑の羅紗の上に10000$のチップを置く
今までのことを反芻する…

もっとみる