あなたのスタンダード

会議などで、その組織における共通の目的のために何人かで行われる喧々諤々の議論を展開するのは、仕事上のことであるから、これから始める話とは、タイプが異なる。
こちらの場合、皆で胸襟を開いて、大いにやり合えば良い。

問題は、会議などではなく、ごく普通の日常における場面で、1対1のとき、或いは1対複数のときに起こりうる。

自分の考えがご尤もだと相手に認められたいがために、他人に持論を押しつけてくる大人がいる。

いわゆる、『承認欲求』というやつか。

相手が子供ならいざ知らず、いい歳をした大人を相手にいい歳をした大人が自己主張を遠慮なくぶちかますと、忽ち衝突事故が起こる。

そこで、相手が怒ることになっても、主張をぶつけた本人は正論を言っているつもりなので、相手の怒りを鎮めるどころか、逆に新たな火花を散らし始める。

「あなたは一体何が言いたいんだ」
「あなたこそ、どうしてわからないの」

こうなると、もう手がつけられなくなる。

『大人対大人』のやり取りが、いつの間にか『子供対子供』の喧嘩に進展、いや後退する。

人それぞれが、それぞれの道を歩み、その過程で様々な経験を積み、失敗したり成功したり、挫折を味わったり感動に酔いしれたり、一括りには出来ない、十人十色の『今』がある。

『老害』という言葉があるが、頭の固い御年配の方ほど、人の意見に耳を傾けず、寧ろ「私があなたを諭してやる」くらいの勢いで、意気込んで喧嘩をふっかけてくる人さえいる。

少子高齢化を食い止められない日本は、今後ますます定住外国人が増えるだろう。
そんな中、グローバル社会における『スタンダード』を検討することが必要であることもさることながら、世代間における『スタンダード』を意識しておくことも必要ではないだろうか。

よく『ジェネレーションギャップ』という言葉を耳にするが、『人種を超えた助け合い』と『世代を超えた助け合い』を実現するためには、真の意味で、多様な価値観があることを一人一人が認識しておかなければならないだろう。

考えが相手と異なるとき、着地点を見つけるのは容易ではないが、そのときは本来の目的が何だったのかを思い出して、なるべく衝突防止に努めることが肝要であると思う。

「それで…あなたの考えが、世界標準なわけ?」

喧嘩をふっかけられた方も、相手のペースに乗っかることなく、攻撃を巧みに受け流す術を身につけたい。

そういう私も、未だに刃を相手に向けてしまうのだが…

いつも『鞘の中』を念頭に入れて、事に臨みたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?