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ニコレッタ@
2022年9月2日 20:39
その物騒な風貌から、酒豪と勘違いされがちだが、フミオは下戸だった。よって晩酌しながらのテレビ鑑賞でなく ⚫︎お茶(玄米茶かほうじ茶) ⚫︎果物(桃党) 子供は食べたら鼻血出ると独り占め ⚫︎お菓子(鴬ボール、羊羹) ⚫︎タバコ盆 ピクニック型鑑賞である。 テレビは一家に一台の時代。家族揃って観るのが日常だ。 そうなるってぇと、どうなるかってぇと フミオのうんち
2022年9月9日 21:03
高校生となったフミオの息子、和彦は〈飛び出せわれらさらばビバ青春〉をまるごと満喫していた。 青春時代が夢なんて、あとからほのぼの思うものと森田先生は歌ったが、道に迷いながらもいつでもどこでもキラキラ出来る。 予選落ちの常連バスケットボール部を部活に選んだのは、ユルッとした活動が理由。練習量が学校いち少ない。他の時間はすべて遊びに費やせる。 それがこの冬に事態が一変した。 ドラマの
2022年9月16日 05:55
初恋の相手は中学の同級生、それはよくある話だが、その子の名前をまるッと娘に名付けた男がいた。しかも、妻や親兄弟ほか誰にも知られることなく、姓名判断の本を熟読するふりをしながら、自然な流れで命名していた。犯人は自分の父だ。中学生の頃、部屋で宿題をしていると父が入ってきた。焦げ茶色の古いアルバムを抱えている。「お、おったか。これワシの中学の卒業アルバムや」「中学の? ふ~ん。
2022年9月16日 21:16
昭和40年あたり。銭湯はひとつの社交場。フミオの父雄吉も二人の孫を連れて、毎日のように通った。息子の嫁さんが少しでも休めるように。そんな温かい人柄の爺さんだった。まだ生後三ヶ月程の和彦の身体を丁寧に洗い、脱衣所の床にバスタオルを敷いて手早く拭く。それからてんかふ(ベビーパウダー)おむつ。赤ん坊を風呂に入れるのは、母親でもひと苦労。爺さんはお湯でさっぱりしたにも関わらずすでに汗だくだ。そ
2022年9月30日 22:12
いちばん幼い頃の、父フミオに叩かれた記憶。断片的だが5才くらいのときのもの。博打に行く行かないで、夫婦喧嘩が起きていた。暴れ倒したフミオが下駄箱の上のキーを乱暴に掴む。それを睨みつけていた母が、ふと玄関脇の階段に座る娘、樹里に気づいた。「こどものこともかんがえて」 父親が車に乗り込む直前母親に言われた通りを一字一句間違えず口にしたら平手打ちが飛んできた。 幼い我が