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創作童話

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こだぬきずプレゼンツ【創作童話】どうして坊やと迷惑の木

こだぬきずプレゼンツ【創作童話】どうして坊やと迷惑の木

まだ文章を書けずにいるたぬきちに今度は娘こだぬきが言いました。

「お話は書けなくても絵は描けるやろ?早く私が主人公のお話の絵描いてよ。ネズミの話がまだやん」

ああ。大阪の女の子は達者ですね。そう言われると絵は描けそうな気がします。一つ描いて、「描けてるやん」そう言われ、以前少し描きかけていたこともあり、あっと言う間に完成です。昼食後に録音しました。

今回はナレーションを息子こだぬきにお願いし

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こだぬきズプレゼンツ【創作童話】ちびっこたぬきまつりの大ピンチ

こだぬきズプレゼンツ【創作童話】ちびっこたぬきまつりの大ピンチ

「今何書いてるん」
夏休みの昼下がり、退屈していた息子こだぬきに聞かれる。
「今お休み中」
「なんで?」
「なんでだろうね」
「じゃあ俺たちが書いたやつお母さんのとこに載せてよ。」
「どれ?YouTube?」
「ううん。ノート」
「note?」
と言うわけで、今回はこだぬきズ企画です。

ちびっこたぬきまつりの大ピンチ

原作 息子こだぬき
イラスト 娘こだぬき
校正・編集 たぬきち

たぬき島は

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【創作お話】私とちび坊

【創作お話】私とちび坊

ある日私の前にぽつんと小さい女の子が現れた
顔ははっきり見えないけど、緊張しているし不安そうだなと思った

私は唐突にこの子は私なんだなと理解した  私はこの子をちび坊と呼ぶことにした

一緒に行こうとちび坊の手を握ると、驚いたようにこちらを見上げて、そしてぎゅっと手を握り返した

その後はいつものように、学童保育へ子どもを迎えに行き、子どもたちに1日の様子をたずねる

「ふつう」そうか
宿題は?

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【創作童話】心がふれあう時

【創作童話】心がふれあう時

心は心臓のあたりにあると思いますか?でも、心臓とはちがうものです。
頭が心なんだと言う人もいますが、頭ともちがうものです。

心はからだの中のどこかにあるようで、体から飛び出してうーんと遠くまで飛んでいくような時もあるのです。

目に見えない心は、どこにもないようでいて、そっこらじゅうにあふれています。

あなたが心を小さく小さくしてしまうと、あなたの心は体のどこかにかくれてしまって、だれにもみえ

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【創作童話】雨ノ森の大会議

【創作童話】雨ノ森の大会議

雨ノ森はその名のとおり、昔は雨の多い豊かな森でした。雨で潤った森にはたくさんの生き物が住みついていましたが、とくにカエルたちが喜んで集まって暮らしていました。

雨の多い場所には、ツワブキが生い茂ります。カエルたちはそのツワブキで雨ノ森に立派な住まいを作り、さらに多くのツワブキを増やしては、別の森にツワブキを売ったりして豊かに暮らしていたのです。

しかし、年々雨の日が減り、とうとう今年の夏は日照

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【創作童話】ねこ田はるお オレはついてない

【創作童話】ねこ田はるお オレはついてない

オレはねこだはるお
オレはいっつもついてない。
朝食べたパンについていたシールがオレはノーマル
妹はレアシールだった

鼻をほじったらすぐ鼻血が出る。

1時間目からいきなりテスト
ふでばこを開けたら消しゴムがなかった。
昨日お母さんが新しい消しゴムを入れたはずなのに。

先週風邪をひいた。
熱は下がったのに咳が止まらない。
喘息って言うんだって。

オレは好き嫌いが多くて食べられない給食がある。

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【創作童話】ダイジョーブ電話とラビ

【創作童話】ダイジョーブ電話とラビ

ラビのお父さんは発明家でした。
今もラビの家にはお父さんが作った発明品が残っています。でもどれも変なものばかり。
 お父さんが亡くなってから、ラビは友だちと遊ぶのがおっくうになっていました。
今は、お父さんの残した発明品に囲まれて1人でのんびり暮らしています。
 ラビは自分は発明家ではありませんが、
色んな商売を思いつく天才だと考えていました。毎日新しい商売について頭を巡らせています。

 つい先

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【創作童話】つっこみねこみーこ あさからよるのひ

【創作童話】つっこみねこみーこ あさからよるのひ

つっこみねこみーこが
あさ、めをさますと
よるでした。
「それあさじゃないでしょ。
 よるでしょ。いや、あさか。」

あさなので、
みーこはおきることにしました。
おにいちゃんねこは
グーグーねむっています。

だれもおきてこないので、
みーこはじぶんで
したくをして、
よいこのこねこえんに
いくことにしました。

「よいこのってなに。
よいこねこえんでいいでしょう。
いや、よいこでもいいか。」

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【創作童話】ぼくん家のトラベルエレベーター

【創作童話】ぼくん家のトラベルエレベーター

①どうして僕の家は2階建てなんだろう。
3階建ての家の子もいるし、10階建ての子だっている。
10階建ての家の子は、エレベーターで登って、自分の家まで行くんだって。
いいなあ。僕の家にもエレベーターがあればいいのに。
今日学校で友だちと話したことを思い出しながら、お風呂に入った。

②お風呂から上がって、洗面所で歯をみがいてたら、いきおいよく妹が入って来て、ドアを閉めてこう言ったんだ。
「このエレ

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【創作童話】どうして坊やと迷惑の木

【創作童話】どうして坊やと迷惑の木

小さなネズミの男の子のちび坊は、4匹の兄と3匹の姉と暮らしています。
ちび坊には知りたいことがたくさんあります。
「どうして夏は暑くて冬は寒いの。
どうしてお金でものが買えるの。
どうして大人は働いて子どもは働けないの。」

知りたいことを思いつくと、ちび坊はすぐ、そばにいる家の人や、友だち、先生に聞いてしまいます。教えてくれる時もあるし、誰もわからない時もあります。

あんまりどうしてどうしてと

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【創作童話】カギ

【創作童話】カギ

①工場での仕事を終え、ボクはいつもの時間に、いつもの夕ご飯を食べていた。
いちいち考えることはめんどうだし、毎日同じものを食べてもちっともあきない。
これがボクのいいところだ。誰にもじまんできないけど。
チリンチリン

②めったになることのないドアのベルがなった。
「ラビンさんいますか。お届けものです。」
届け物は田舎の母さんからだ。
「そうか。今日はボクの誕生日だった。」
中には手紙とカギのかか

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【創作童話】おかしなギフトハガキ

【創作童話】おかしなギフトハガキ

学校が終わって、家に帰ると玄関に封筒が置いてあった。
封筒には、漢字でも英語でも無いような見たこともない言葉。どちらかと言うと記号みたいなものが書かれている。

これなんだろう。
だれのだろう。
兄ちゃんのだったら開けたら絶対に怒られるけど、どうしても僕は開けたくなった。

それに記号は何を書いてあるのか分からないはずなのに、なんだか僕宛ての手紙のような気がして仕方ない。
怒られたっていいや。開け

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