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微熱

書店で605円(税込)の衝動買いをした。買うつもりなかったけど思ったより薄かったからすぐ読めるじゃんと思って買ってしまった。 休日なのにすごく人が少なかった。多分暑すぎるからだろう。 今日は髪を切りに行った。 「今学校行ってるの?」と聞かれて心臓がキュッとなった。「行ってないです」と言ったら、「行きたいところがある?」と言われた。浪人って二文字で済むところを「行きたいところがある」という言葉に変換するだけで、なんか純粋で正当な動機みたいな文体になったなと思った。綺麗な日本語に

    • 大学生15

      水野は荒い呼吸を整えながら語り始めた。 「いろいろあってサークルから追い出されそうなんだ」 「あなたサークル長でしょ? なぜサークル長が追い出されるんですか?」と山田。 「サークル長とは名ばかりでサークルに顔を出さずに遊び呆けていたんだ。」 「それで追い出されそうに?」 「ああ」 「自業自得じゃないですか帰ってください」 「冷たいな山田は、一応数奇な運命で出会った友人じゃないかここは一つ助けてやるのはどうだ?」と私は言った。 「あなたにしては珍しく正論ですね」 「私はいつも正

      • 大学生14

        今私は大学の文化祭のために建てられた野外ステージの上で体を縛り付けられている。 「離せ!」と抵抗してみるが、相手は聞く耳を持たない。「お前ら祟って枕元に出てやるからな!!」隣で山田は半泣きになりながら抵抗している。大勢の観客が狂ったような熱気で騒いでいる。なぜこうなってしまったのか、私は犯人を突き止めるべくここ二週間のことを反芻した。 ある日のことである。 私は【日本文化同好会】の部室で漫画を読みながらゴロゴロしていた。 山田は今度の俳句コンクールに出す俳句を作るのに頭を抱

        • 大学生13

          【日本文化同好会】と書かれた部屋へ私たちは歩み入った。 そこからは地獄であった。 何を思ったのか、山田は私と葵井さんに日本の文化の素晴らしさを小一時間説き続けたのだ。 憔悴しきった私を尻目に葵井さんは「素晴らしいですね」と感心しているようであった。 葵井さんは【日本文化同好会】へ入るらしい、私も何となく入ることになってしまった。この後葵井さんは秘められし文学の才能を遺憾なく発揮し俳句のコンクールを破竹の勢いで駆け上がることとなる。 「それはそうと、一ヶ月後に催される花火大

          壁に張り手

          模試の出来悪かったって親に言った。 「どこに就職するか考えとけよ」 「何で今考えなかんの?」とキレ気味に言ったら 「当たり前だろ」と言われた。 吐きそうな気分で夕食をかき込んだ、 こう言う気分の時決まって喉の奥がいつもより開いて吐く前の準備運動みたいになる。 脳みそがぐわんぐわんなってジェットコースターに乗ったみたいになる。 車酔いの最中みたいになる。 親が物に当たるなと小さい頃に教えてくれたから物には当たらない主義だが、流石に壁に張り手をした。 隣の家に面している壁だから

          壁に張り手

          大学生12

          山田はしまったという顔をした。 「なんだよ、言えよ」私は圧をかけた。 「実は…」 と山田は男と敵対するに至った経緯を話し始めた。 「なるほど、それは悪かったね」と男は言った。 「葵井さんに謝ってください」 「今度謝りに行くよ、彼女は同じ落語サークルでね、最近見なくなったからつい宣伝に起用してしまったんだ彼女は画面映えするからね、まさか実家の水がこんなにも反響を呼ぶとも思っていなかったし、興味本位だったんだほんとにすまない」 「それは本人に言ってください」顰めっ面の山田は言っ

          大学生12

          日記

          最近あった事を一気にかきます。 頭痛すぎて帰ろうか悩んでとりあえずリポD飲んでから考えようと昼間のバカ暑いコンビニの前でリポDを流し込んだけど頭痛が治らなかったから帰った。 帰る途中駅で降りそびれていっこ向こうの駅に流れ着いてしまった。 引き返すために向こう側のプラットホームに移った、快晴、真昼の太陽と無人のプラットホーム、頭痛 なぜか頭の中でザ・クロマニオンズの「生きる」が流れてこれがパンクロックかと思った。ちなみにさらに電車間違えて余計に遠回りした。遠回りもロック!!

          大学生11

          とある日、怪しい水を売る大学生とマフィアのような屈強な男数人、堕落した大学生2人という謎めいた集会がとあるアパートの一室で行われていた。 男に差し出された珈琲を訝しんで睨んでいると、 「大丈夫、何も入ってないよ、インスタントのやつだし」 と言って男が珈琲を飲みだしたので、 何も入ってないと思い、つられた私はそれを飲んだ。 いや、飲むなよ!という声が出てくるかもしれないが、この場の雰囲気は、さっきとは、うって変わって、のほほんとしている、男からは少しの戦意も感じなく、ただの友

          大学生11

          大学生10

          私たちは、正義の味方ではない。 つまり、真っ当な、正面からの戦いなど、断固として拒否するような男たちなのである。 そんな奴らが、悪と対峙する時、やることは決まっている、 【詐欺師!!】と書かれた手紙数十枚と数種類の虫(ゴキブリやバッタなど)をポストに詰め込み、ポスターに書いてあった電話番号にこれでもかと無言電話を決め込んだのだ。現代社会において、このようなことをすると、否応なく、罰せられるが、相手は、反社に片足を突っ込んだ大学生である。 慈悲などいらない。 詐欺師の部屋の

          大学生10

          大学生9

          とある休日、のどかな日差しの差し込む部屋で、うたた寝していた時である。 私の優雅なる休日(毎日、休日のような物であるが)を台無しにするように、携帯が鳴り響いた。 山田からであった、私は、私の束の間の幽栖(毎日、休日のようなものであるが)を邪魔する魔物を根絶やしにしてやるという様な感情を覚えたが、私は紳士なのでキレ気味で返事をした。 「はい」 「こちら山田です」 「わかっとるわい」 「突然だけど今から送る住所に来てくれたまえ、タクシー代は出すから」 「人の静かな休日(毎日、休日

          大学生8

          ある日、葵井さんから、とある相談を受けた。 それは、どうやら怪しい水を売りつけている、 大学生の団体が、勝手に彼女の顔写真を使って、ポスターを作り、それに誘われた男どもに怪しげな商談を持ちかけ、金を巻き上げているという相談であった。とんでもないやつがいたものだ、そんな極悪非道なやつは、僕の悪友として名高く、競馬依存症のあの男以外に見たことがない。 山田は激怒した。 「そのような邪智暴虐の限りを尽くす悪党は生かしてはおけません」 山田には人の心というものがわからぬ。山田は今日ま

          大学生7

          唐突だが、僕は雷雨というものが好きだ、 特に夜11時頃、雷雨のせいで眠れなくなることは読者諸賢や大体の人は好まないことだろうが、僕はそれすらも楽しんでしまう。 一応言っておくが、僕が雷鳴に向かって1人、孤独に(ライトニングアタック!!)などと叫んでニタニタとしているような物悲しい人物ではないことは断っておく。 つまりは非日常感だ!なんのイベントもない日常に降りかかる非日常、これが僕をワクワクさせてやまないのだ!! 僕は私立大学文学部一年であり、周りからは「山田」と苗字で呼

          大学生 6

          私たちは近くの居酒屋へと歩み入った。 どうやら外国人の名前は「ニック」といいカナダから日本へ観光しに来ているらしい。 私たちは少し英語がわかるので、拙い英語で会話を交わした。 ニックは前日酔い潰れたせいで、二日酔いになり観光に一緒に来ていた仲間に置いていかれ、やけ酒をしながら、途方に暮れていたところを私たちが遭遇したらしい。 どうやら先日、日本の神社で、酔っ払って暴れてしまったらしいことを、とても反省していた。 そして、その神社で、謎のお面を被った、2人の不審者に襲われそうに

          大学生 6

          大学生 5

          私は暇を持て余していたので山田と意味もなく会った。山田と会うのは存外簡単で、ただ不吉な雰囲気のする方へ進んでいけばいいのだ。山田とはそう言う男である。 私と山田はラーメンを食べ亡霊のようにあてもなく街を彷徨っていた。 夕方のことである。 例の神社の近くの飲み屋街を歩いていると人が倒れているではないか。山田と違って私は比類なき優しさを持っている。すかさず近づき声をかけた。 「大丈夫ですか?」 私たちは仰天した。なんという運命であろうか、その人はこの前除霊したはずの外国人観光客

          大学生 5

          大学生 4

          思えば大学の入学式。桜が狂ったように咲き誇り。狂ったような面白くない上辺だけの会話がそこら中で行われていた、 4月こそが地獄の始まりだったという他ない。 出会ってしまったのだ。おみくじが言うところの「待ち人」候補に。 私は入学式、そこら中で新しい出会いに花を咲かせる新入生を尻目に足早にキャンパスを 闊歩していた。 私はそのような楽しげな会話に馴染めそうにないのだ、独り、キャンパスに入り、階段を登った先の踊り場で、単語帳片手に、突っ立っている変人と一瞬、目があったが、生物の本

          大学生 4

          大学生 3

          境内を歩いていると、何やら外国人が騒いでいる、おおよそのところ観光だろう。 日本の観光産業化にも呆れたものだ。地元の神社という小さな聖域に立ち入る穢れた魂を持ったものは2人だけでいい。 その外国人は数人のグループでお賽銭箱に座って写真を撮っている。 さらには神社の所謂「ガラガラ」にぶら下がって遊んでいるではないか。 いくら天使退学処分済みの我々でも看過できない出来事であった。毒を持って毒を制すというが、今まさに オーバーツリーズムの権化のような毒 VS毒〜留年の危機、競馬で負

          大学生 3