大学生9

とある休日、のどかな日差しの差し込む部屋で、うたた寝していた時である。
私の優雅なる休日(毎日、休日のような物であるが)を台無しにするように、携帯が鳴り響いた。
山田からであった、私は、私の束の間の幽栖(毎日、休日のようなものであるが)を邪魔する魔物を根絶やしにしてやるという様な感情を覚えたが、私は紳士なのでキレ気味で返事をした。
「はい」
「こちら山田です」
「わかっとるわい」
「突然だけど今から送る住所に来てくれたまえ、タクシー代は出すから」
「人の静かな休日(毎日、休日のようなものであるが)を邪魔しよって、貴様のたくらみには乗らんぞ」
「毎日、休日みたいなもんじゃないですか、兎にも角にも早くきてくだせえ」
山田にしては、正論だ、一生の不覚。
紳士たる私は憤りを胸に、山田に伝えられた場所へと向かった。

伝えられた場所には、天狗のお面を被った不審者、山田がいた。
「あそこのアパートの一階の一室に諸悪の根源がのさばってます」山田が囁き声で言った。
「諸悪とはお前のことじゃないのか」
「ちがいやすぜ、とても卑劣な奴らです、詐欺師です」
「それは許しておけんが、私には関係のないことだ」
「つれないですな、純粋たる乙女が被害に遭っているかもしれないというのに」
「それは断固として許せんな!!」
私は決意を固め天狗のお面を被った。

毒を持って毒を制すというが、今まさに、
毒〜詐欺師を添えて〜VS毒〜留年の危機、一文なしの妖怪二人を添えて〜
という今世紀稀に見る泥試合がなされそうとしていた。

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