大学生8

ある日、葵井さんから、とある相談を受けた。
それは、どうやら怪しい水を売りつけている、
大学生の団体が、勝手に彼女の顔写真を使って、ポスターを作り、それに誘われた男どもに怪しげな商談を持ちかけ、金を巻き上げているという相談であった。とんでもないやつがいたものだ、そんな極悪非道なやつは、僕の悪友として名高く、競馬依存症のあの男以外に見たことがない。
山田は激怒した。
「そのような邪智暴虐の限りを尽くす悪党は生かしてはおけません」
山田には人の心というものがわからぬ。山田は今日まで、のうのうと、大学へもいかず、遊んで暮らしてきた。けれども、ハズレ馬券と邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。
「危ないのでやめておいた方がいいと思います」
「いいや、断固として許せん!!」

それから、僕は潜入捜査を開始した。
まず大学内の例のポスターを見つけ、そこに連絡した。
日時と場所を伝えられたので、早速、悪を根絶やしにしてやるという気概を持って、殴り込んでやろうかと思ったが、大人しく面会場所に指定された喫茶店に行き、説明を聞きにいった。面会相手は、どうやら同じ大学の三回生の男で。爽やかな好青年であった。このようなやつが犯罪に手を染めているとは、、
男は何やら怪しげな水を勧めてきた、僕は適当な相槌だけ打って、聞き流していた。
面会の後、僕は帰るふりをして、悪徳商法の主要メンバーと思しき大学生を尾行した。

「前の車追ってください」このようなセリフを現実で使う日が来るとは。タクシー運転手は、ノリノリで「探偵ですか?」と聞いてきたので、あえて「ただの学生ですよ」と含みのある返答をした。

敵の本拠地を突き止めた僕は、竹馬の友(悪友)である、セリヌンティウス(友人)に連絡をした。
僕が、とある女性の為に闘志を燃やしていると知られたらどんな冷やかしが飛んでくるか分かったものではないので勿論、葵井さんのことは内緒で。

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