大学生7

唐突だが、僕は雷雨というものが好きだ、
特に夜11時頃、雷雨のせいで眠れなくなることは読者諸賢や大体の人は好まないことだろうが、僕はそれすらも楽しんでしまう。
一応言っておくが、僕が雷鳴に向かって1人、孤独に(ライトニングアタック!!)などと叫んでニタニタとしているような物悲しい人物ではないことは断っておく。

つまりは非日常感だ!なんのイベントもない日常に降りかかる非日常、これが僕をワクワクさせてやまないのだ!!

僕は私立大学文学部一年であり、周りからは「山田」と苗字で呼ばれることが多い。
普段は、なんの罪もない外国人観光客を追いかけまわすような冷淡卑劣な男と一緒にいるが、今日は違う。

と言うのも今日は、先日、とある縁で出会った「ニック」と言う男と感動的な別れをしたせいで、人恋しさに駆られ久しぶりの大学へ出陣した次第である。

今日はグループワークであった。
大学生であるにも関わらず大学を避け続け、サークルだけには顔を出すような生活をしていたためか、グループを組むのは一苦労であった。
が、幸い、余り物同士でより集まってなんとか耐え忍ぶことができた。
その余り物というのが、僕と「葵井さん」だ
彼女は知的で大学を休みまくっている妖怪のような僕とは、一生関わることがなさそうなほど優秀であり、グループワークは一瞬のうちに終わってしまった。なんという手際の良さであろうかと僕は感動した。

この出会いはまさに落雷であった。
むさ苦しい男同士で二人、天狗ごっこや競馬などに憂き身をやつし、荒み切っていた心がどんどん澄み渡っていった。

彼女はどうやら入学早々、サークルの勧誘をしつこくしてくる上級生の喧騒を一ヶ月ちょっとの間、冷たく押し除け、避け続けた結果、周りから冷淡な性格と思われて孤立してしまったらしい。落語サークルへ入ったが、馴染めず、サークル仲間の顔を覚える前に辞めてしまったと言っていた。僕の所属する「日本文化同好会」へと誘ったが、今更入っても、と断られてしまった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?