大学生14

今私は大学の文化祭のために建てられた野外ステージの上で体を縛り付けられている。
「離せ!」と抵抗してみるが、相手は聞く耳を持たない。「お前ら祟って枕元に出てやるからな!!」隣で山田は半泣きになりながら抵抗している。大勢の観客が狂ったような熱気で騒いでいる。なぜこうなってしまったのか、私は犯人を突き止めるべくここ二週間のことを反芻した。


ある日のことである。
私は【日本文化同好会】の部室で漫画を読みながらゴロゴロしていた。
山田は今度の俳句コンクールに出す俳句を作るのに頭を抱えている。
古いクーラーのカビ臭い匂いが充満していて窓の外に縦横無尽に伸びた木が手入れされてないのか窓の至近距離まで伸びている。
そこに止まっているセミが蝉が鳴いていてとてもうるさい。
「こんな不毛な事をしていていいのかな」と私は不満を漏らす。
「俳句の何が不毛なのですか?素晴らしい文学ですよ!」と
無駄に元気な山田は言った。
お察しの通り【日本文化同好会】は
同好会とは名ばかりの夏の暑さを凌ぐための手頃な避暑地となっていた。
他の部員はバイトや恋愛、車の免許を取るのに大忙しだ。残ったのは私と山田だけである。そんな不毛な日々をただあてもなく消費していた時である。

「助けてくれ!!」
と大声で叫ぶ謎の男が愉快な真夏の楽園【日本文化同好会】の部室へ入り込んできた。
うたた寝しそうになっていた私は飛び起き、山田は驚いて1メートル後ろへ飛んだ。

ミネラルウォーター成金水野であった。水野はミネラルウォーターと言う油田を実家の裏山から掘り当てて、ひとたび億万長者とは行かないものの金をたくさん稼いだ男だ。しかし周りへの借金の返済ですぐに首が回らなくなり、途方に暮れていたところを謎の男2人に襲撃され、なけなしの貯金も警備代に消えてしまったらしい。この仕打ちには流石に同情せざるおえない。全く酷い奴がいるものだ。一応数少ない私の友人であるのでそんな奴がいたらとっ捕まえてやろうと胸に誓った。

水野はサラサラのロングヘアーが無造作に顔に覆い被さり汗だくであった。しかし、なぜか写り映えてて少し腹が立った。
「お前ら俺のために死んでくれるか?」唐突に水野が言う。
「今は戦国時代じゃないし僕はあなたの家来じゃないです」と山田。
「何なんですか?」と私。
「いや、大変なことになってしまったよ」
と水野は語り始めた。

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