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#迷言シリーズ「サンバを踊れば救われる」


「あなたもクワガタ、

 わたしもクワガタ、

 ガシガシガシ」。

スタエフライブ配信で、アークンのこのワード
に刺激されました。

その時のことを記事にされていて、

記事の中で、「先生の迷言シリーズ」
を募集されました。

私の中の「先生の迷言」をここに記します。


今でも覚えてる謎の先生がいます。

日本史のT先生という方です。自分を貫き通し
た先生やったな〜と思い出に残ってる先生で
した。

T先生は60才前後の方で、毎日朝ギリギリに
原付バイクであらわれて、夕方、必ず一番に
帰るというルーティンを貫き通す先生という
ことで、ある意味すでに全校生徒から、定時
の男としても有名でした。

とにかく、誰に何を思われようが、自分のル
ーティンというか、自分が思う行動とか発言
をやりたいように、繰り返す先生でした。誰
か他の先生方も注意しなくていいの?ってい
う感じだったのですが、言うことを聞いてく
れないというか、改まらないので、もうすぐ
定年やし、学校側も、おそらく定年を待って、
引退されることで、解決しようという感じだ
ったのだと思います。

当時、どんな謎の行動をしていたか。

まず授業のチャイムがなっても、なかなか教
室に来ません。やっと教室の前まで来たと思
ったら、なぜかさーっと通りすぎて行ってし
まいます。たまらず教室の中から生徒が、
「先生、先生、ここです!」って呼んだら、
「あ、はい」みたいな感じでようやく教室に
入ってきてくれる貫きっぷりです。
で、入ってきたら入ってきたで、いきなり今
度はルーティンのように、号令を自分でかけ
だします。ちょっと聴き取りにくいんですけ
ど、「はい、きりつ」、まあこれは普通なん
ですが、続いて、ちゃくせき、と言って、最
後にれいって絶対に言われました。規律・着
席・礼の順で必ず言うのです。その通りに、
まず起立して、着席して、最後に礼をしたら、
関西でいうと、机に頭をゴンとぶつけること
になります。あまりにも毎回この号令を貫か
れるので、一時、生徒の中で、号令の最後に
机におでこを生徒みんなでぶつけるみたいな、
吉本新喜劇みたいに楽しむことがちょっと流
行ったあるくらい、毎回のルーティンになっ
ていました。かなり貫く先生で、それは面白
かったんで、生徒の中でも比較的受け入れる
ことができていました。

ただ、1番生徒が困っていたのが、教科書をお
そらく読んでおられるんだろうと思うのですが、
9割程は、何を言ってるのかわからないことで
した。ボソボソ、ボソボソって話されるので、
どれだけ集中して聴いても、絶妙に聴き取れま
せんでした。

「とくゴマ、ゴマゴす」。

「え、今のって徳川家康?」。

みたいに、かなりこちちの想像力をかりる感じ
の話ぶりでした。黒板にもチョークで何か書か
れてるんだろうと思うんですけど、ミミズみた
いな文字というか、かなり古い時代の文字をか
いているかのような文字が書かれて、歴史っぽ
いといえば、そんな雰囲気も味わえたのですが、
でもやっぱり何を書いてるのかわからないまま
でした。そういう授業を1年中貫き通す先生で
した。

唯一わかったというか、先生の言葉として伝わ
ってきたのが、規律・着席・礼の号令と、あと
いつもブツブツ言いながら黒板に文字を書いて
るときに、必ず、突然笑いながら、ゆっくり振
り返って、発せられるフレーズでした。

「サンバを踊れば、救われると、

 いうことなんですよ〜」。

そのフレーズだけは、力強く、はっきりと聴き
取れました。

「え、な、なんて?」。

前後関係なく急に、「サンバを踊れば救われる」
みたいなことを言われるのです。その言葉だけ
はハッキリと。

「何の決め台詞やねんっ!!」。

と、生徒全員が思っていました。

そもそも日本史の授業なんで、ブラジルとか、サ
ンバのこととか、関係性もよくわからかったです
し、先生本人ももちろんサンバ感は全くありませ
んでした。でも、授業中に一回はどこかで必ずこ
のサンバのくだりが入っていました。

「サンバを踊れば救われる」。

こんな授業が一年間貫かれることになるんですが、
もうサンバのくだりが名物になって、このくだり
が出たら、全員が「お〜っ」、と歓声があがるく
らいまで流行した時期がありました。

でも、予測できると思うんですけど、そんな授業
を貫かれると、もちろん、誰も授業をきかなくな
ってしまったし、その先生の時間は自由時間みた
いな認識になってしまいました。

そしていつしか、私達の会話の中でも、トークが
つまらない内容になってしまった時の奥義として、

「サンバを踊れば救われるっ!」

と、発することが、

いつしか流行するようになっていました。

そんな使い方をしてしまっていました。

今思えば、その先生はおそらく精神的に病んでた
のか、認知症だったかもしれないなと思いますが、

とにかく、

「サンバを踊れば救われるっ!」。

今でも、

私達の胸に、刻まれています。

いまだに、

このフレーズの意味に、

辿り着けていないのですが。


先生、

あれは迷言だったと思うのですが、

いつの日か、

名言に変わる日が、

くるのかもしれないなとも思えています。


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