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いまどきのスナフキンの歩き方
「手伝うよ」
「いえ大丈夫です。一人で出来ます」
「借り」を作ることに抵抗を感じる後輩が増えた。困っているのだったらと、気にしなくていいからといっても、援助を断る。金銭ならともかく仕事のサポートでも、相手に負担をかけるような、返せないかもしれない借りは作りたくないらしい。その結果、奮闘する姿をヒヤヒヤしながら見守ることになる。手伝いに回る側には率先してなるため、余計な人間関係を避けるというわけで
「トップガン・マーヴェリック」に見るトム・クルーズ
近年の映画にしては珍しいくらい、単純明快なプロットだ。主人公の悩みは浅く、優しい女性と理解のある仲間に支えられ、ハッピーな大円団をむかえる。脚本スクールで提出すれば落第必死の物語が、世界中で大ヒットした。理由は単純で、トム・クルーズに自分を重ねて生き様を肯定したいし、彼の勇姿に勇気をもらうのだ。富も名声も手に入れた男が、気さくな笑顔で肩を抱いてくれそうに近くに感じる。注意深く行動し幸運に恵まれれば
もっとみる空想インタビュー企画 「堂本教子」
・企画意図
舞台の裏側を知ってもらうことで、楽しみ方の新たな発見をしてもらいたい 。シリーズ化を予定しています。
・掲載メディア
劇団が運営する配信サイト 演劇情報サイト
・視聴者
演劇ファン デザインに興味を持っている人全般
・インタビュー場所
仕事場にカメラ2台を設置し、映像も収録させて頂きたいと考えています。
・インタビュー時間
90分を予定しています。(別:カ
髑髏城の七人 season花
世間の流行りは、ファスト動画に、Tik Tok。誰もが有益な情報をコスパよく集めている。だとすれば、高いチケットを手に入れて3時間も座り続ける演劇を見ている人は、絶滅危惧種なのだろうか。ならば、2017年の「劇団☆新感線」の舞台を映像に閉じ込めた「髑髏城の七人 season花」を愛を持って紹介したい。これは「ゲキxシネ」という、舞台を収録した映画の話である。
織田信長という漫画や映画やゲームで馴
future generation Z
アメリカの政治家であり投資家でもあるバーナード・バルークの言葉を借りれば、「自分がいくつになっても、老人とは自分より15歳年上の人を指すもの」らしい。昨年の流行語にもなった「Z世代」は、バブル崩壊後に生まれ、子供時代に就職氷河期やリーマンショックを見てきた世代だ。1990年代半ば以降に生まれた世代の彼らから見ると、今の時代を作った前の世代に、恨みをいう権利もあるだろう。このワードの代表として、壇上
もっとみるmemory from 80's
子供の時には、世界は知らないことだらけで、概念を吸収することに精一杯になる。自意識が芽生えてから間も無く、知らないものは全てキラキラと映り、触らずにはいられない。
大人になると、世界から驚きが減り、現実への対応に上手いやり方を探すようになる。あらゆる問いに対しても、曖昧な答えを既に持っているため、そんなに遠くない正解を導くことが出来る。
思春期に出会うものは、概念と現実のバランスが均等に調和し、世
100億の男たちの夢
なんて胡散臭いタイトルだろう。新手の投資セミナーの集客かと思うような、怪しげなバズワードが散らばっている。それでも参加してみる気になったのは、ヤマガタデザインの山中大介氏が、登壇するからだった。彼の地方都市での取り組みに、興味があった。
山中氏は、山形県庄内市の先端技術研究所に付随した、会社スパイダーに就職したものの、まだ事業部が立ち上がっておらず、隣の敷地で行っていた地元の街づくりの課題を手伝
”新しき世界” 映画評
潜入捜査を描いた映画には傑作が多い。「インファナル・アフェア」「フェイク」「レザボア・ドッグス」などに並んで、「新しき世界」も、この作品群に連なるだろう。監督の演出にも、過去の映画から引用されたと思われる場面も多く登場する。
フィルム・ノワールでは、男同士の信頼と裏切りが、暴力や事故によって事態が複雑化していく。問われるのは、最後に握っているのは誰の手かという、ブロマンス映画ともいえる。
主人公
Interview hers filmschool
帰国子女で英語を話せ、好きな業界で頑張っていると、傍目にはそう映る。けれど、現状の仕事に大きな不満は無いが、何となく上手くいってる風にも思えない。そんな漠然とした彼女の現状と展望を、少し歴史をさかのぼりながら、一緒に探っていく事にした。
福岡県出身の彼女は、普通の高校に通いながら、ヒューマンアカデミーを通して留学の道を探った。小さな頃からの、海外への明確な目標や憧れがあった訳ではない。「世界ウル
ジャパニーズ・キャッスル
好きな城は? と聞かれたら、どう答えるだろう。城下町に住んでいれば、地元の城をあげるだろうが、詳しくなければマニアックな話は勘弁と身構えるかもしれない。起業家なら俺の会社、商売人なら俺の店、新婚ならマイホームと比喩的に答えるかもしれない。概念や象徴としての城のイメージは、誰もが共通して、守るべきホームポジションとしてある。だがここで話したいのは、天守や石垣のある、本物の城の話だ。
昔から城が好き
リバース・エンジニアリング
映画を見始めて、集中できないほどつまらないと感じた時にとる方法がある。作品の「リバース・エンジニアリング」だ。既存の製品を分解または解析し、その仕組みや仕様、構成部品、技術や設計、などを明らかにすることをいう。作品がつまらない時の原因を探る時、それを素材に、集中を奪う原因が、演技なのか、演出なのか、話の展開のスピードなのか、素材を頭の中で組換えながら、監督の視点や動機や、理解しきれていない文化背景
もっとみるフィールド・オブ・メモリー
ジョギングコースの中に、駒沢オリンピック公園がある。一周2km強のランニングコースがメイン競技施設を取り囲んでいる。休日の朝には、早起きしたシニアの集団が、裸足でのんびり歩いている風景を、よく見かけた。もちろん、コロナ前の話だ。
前回のオリンピックの時に建てられた、特徴的なフォルムの陸上競技場やアーチが天井を吊る形状の屋根の体育館など、昭和文化遺産としても見る価値は高い。その中でも印象的なのは、中
ひとり空間の都市論 読了
臭って賞味期限を判断するため、冷蔵庫の中は、常に最小限のものしかない。習慣になっていたミニマムな生活スタイルが、コロナ禍で一変した。スリッパで行ける距離の近所のスーパーは、安定した食料の供給は約束してくれず、巣篭もりを推奨してきた。スーパーを中心に構成された地域の共同体は、各家庭に小分けされ、「ひとり」を強く意識するきっかけになった。
本書内で紹介される「TOKYO STYLE」に写っているの誰か