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宛先のない手紙 vol.2

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ほぼわたしの考えを垂れ流すエッセイのようなもの。その2。
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2019年1月の記事一覧

モノサシの違い

モノサシの違い

人は割と無責任にあれこれと口出しをする。口を出した本人は無責任だと思っていないことも多く、むしろ善意から口を出しているつもりなのだけれど、だからといって発言に責任をとるわけでも、またとれるわけでもない。

口を出す相手は見知らぬ他人だけではない。むしろ、子どもやパートナーであることも多い。特に子どもへのアドバイスは、そのほとんどが心から子どものためを思ってなされるものだ。わたしも親のひとりだから、

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「恥ずかしいよ」に潰される欲

「恥ずかしいよ」に潰される欲

土曜参観の帰り道。一年生はいつも通り集団で下校し、親は我が子とは別行動で帰ったり、集団下校の後方について帰ったりしていた。

わたしは次男とともに長男のグループにくっついて歩いた。急に走りだす次男をたしなめたり、長男と参観について話したり。そんななか、ふいに、長男が「手、つなご?」と言った。

「え、つなぐの?」
「うん」

周りには彼の同級生たちが歩いている。ほー、長男はこの状況で手を母親とつな

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マイナス評価を基準にしすぎない

マイナス評価を基準にしすぎない

どこへ行っても優秀でいられるほど、できた人間はほとんどいない。もちろん、わたしも例外ではない。

ところ変われば平均点が上下する学校のように、場所によって及第点の位置付けは異なるから、ある場所では合格でも、別の場所では赤点になるなんてことは、当たり前のように起こりうる。



わたしの通っていた中学校は、その当時市内の中学校のなかでレベルが低く、そのなかでわたしは「賢い」部類にいた。「賢い」立ち

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住人になれない

同じ土地で生まれ育ち、「ここが地元」だといえる人を、いいなと思う。生まれ育っているわけではなくとも、「この場所が好きで、この場所のためになることをしたい」と思って動いている人のことも、いいなと思う。



わたしは愛知県で生まれて、小学校2年生のときに大阪に引っ越した。23歳の年に結婚を機に東京に移り住み、25歳になる直前に埼玉にやってきて今に至る。転勤族の人はもっと多くの場所を移り住むわけだか

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ひとりを引き受け、ひとりを味わう

ひとりを引き受け、ひとりを味わう

受験生の頃に受けたAO入試の小論文に、「一人」と「独り」について書いた。「“独り”を避け“一人”を好む若者たち」。携帯やネットで他者といつでも簡単に繋がれることなどについて書いたその小論文は、二次試験の面接官である教授に「おもしろかったです」と褒められる。うれしかった。

昔流行った動物占いで、わたしは「ひとりを好む狼」だった。人は好きだ。人と話すのも、共に過ごすのも好きだ。けれども、誰かと過ごす

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ヘロヘロのヘロちゃん

ヘロヘロのヘロちゃん

仕事で夜更かしをしてしまい、寝坊する。長男は通学班の集合時間に間に合わなかった。反省。「目覚まし時計買ってあげるよ……」と己で起きてもらうべく小一に言う母は、母としてどうなのだろう。でも、早急に買い与えたいと思う。

寝坊の原因は夜更かしではなく、アラームの設定がなぜか解除されてしまっていたためだった。まあ、夜更かししていなければ自然と起きられたかもしれないから、夜更かしのせいともいえる。アラーム

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それはまるで、片想いの恋

それはまるで、片想いの恋

心の琴線に触れるものに出会うと、わたしは呼吸が浅くなる。心は目に見えないけれど、まるでこれ以上震えが大きくならないように息を止めているのではないかという気持ちになる。

ひとことで言えば、それは「好き」なわけだけれど、さらっと好きだと言葉にできない。「好き」のひとことでは到底足りないのに、どこが、どういうところが、どんな風に好きなのか、言葉に表せる気もしなくて。言葉にすればするほど、感じたときの「

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黒を通して見える白

黒を通して見える白

「元気なうちに、通帳をまとめて写真を撮っておいてくれ」
正月に帰省した実家で、父が祖母にそう頼んでいるのだと聞いた。祖母はまだまだ元気だけれど、元気だからこそ言えることだ。保険も、通帳も、一体何がどうなっているのやらわからないという。

父に、「父さんらもやで」と返した。「何かあってからやったら縁起でもなくて頼めやんから、ほんま元気なうちにやっといて」と。わたしも、親の通帳やら保険やらについて、何

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サイクル・くるくる

サイクル・くるくる

排卵日後、2週間が経つと生理がくるのだと知ったのは、結婚後長男を授かる前のこと。排卵日だろうときから2週間が経とうという頃になると、毎月そわそわして一喜一憂していた。

当時は排卵日といわれても、いつがその日なのかもよくわからず、何となくの予測でしかなかった。基礎体温計を持っていなかったから、あまりズレない生理サイクルだけをあてに考えていたのだ。

産後は体質が変わったのか、憎らしいほどの痛みが排

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「つらい」は誰にも侵されない

「つらい」は誰にも侵されない

書き上げては下書きに放り込むことを繰り返していた。思考回路がブツ切れで、靄の中にいるみたいだ。小さな虫が頭の中を這いずり回って、回路を食い散らかしているような気がする。ブツン、ブツンと遮断され、スムーズに思考が働かない。リハビリがてらnoteを書き、下書きに送り込む。今日は公開できたらいい。



以前よりも音に弱くなった。特に子どもたちが騒いだりはしゃいだりする声がダメで、母親なのに我が子の声

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新年、厄祓い、友人のこと

新年、厄祓い、友人のこと

年末、「年明けに厄祓いに行こうや」と友人に誘われた。数え年で33歳。女性の本厄なのだと聞かされる。

昨年が前厄だったことも把握していなかった体たらくなのだけれど、「行く行く」と返事をする。厄祓いは父のときに家族で行った以来だ。

厄年を信じているわけではないのだけれど、父のときに聞いた「何かあったときに“行っていたら”と思わずに済むため」の言葉が記憶に刻み込まれていた。

父も「後悔するよりまし

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