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メガネの女の子が好きです。 Plagやってました。

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メガネの女の子が好きです。 Plagやってました。

マガジン

  • トーキョー王/Tokyoking

    空想魔術Plag小説「トーキョー王<キング>」の集積所。まあせっかくだから。

最近の記事

トーキョー王(コウ-15)

【コウ-15】  ヤクザの発砲と交通事故と犬の大脱走という、映画みたいな大騒ぎの渋谷から幡ヶ谷に移動した僕は、スーの運転するデミオに乗せられて環七を南下した。このままスーの家にでも連れて行かれるのかと思ったら、そこは洗足あたりの中華料理店だった。けっこう年季の入った、いわゆる街中華のお店で、まあなんというか正直ボロい。  つけ麺の後でおまえまだ食うのかよ、と呆れる僕を無視してスーは店内に入った。店内は予想どおりに古びていて、今どきあまり見ない赤いビニール張りのスチールイスの

    • トーキョー王(アキウ-16)

       大沢さんと僕とが訪問し、なんだか異様な気配を感じていたあの団地――その異変に「事務所」が気づいたのは、週刊誌に記事が出る直前のことだった。  あの団地では何人もの失踪者が出ていて、なのに団地の人々はそのことについて口を閉ざしているのだという。団地に住む子の同級生の発言として「ちょっと変な感じの、警備員みたいなことをするオジサンたちがいて怖かった」と書いて、「閉ざされたコミュニティの中で何が」的な話になっていた。  記事を読んで僕と大沢さんは、そりゃまあそうだろうなと顔を

      • トーキョー王(スリン-17)

         ――さあ、一座の始まりだ。  〈察知と通信〉の男は宣言した。  彼らが荒川区の自動車修理工場に構えたアジトは、〈隠蔽と遮断〉の力に守られていた。若い隊員は自分にはたいした力がない、と云っていたが、その力は攻撃的でないというだけだった。  一座という言葉に、何か演劇でも始めるのだろうかとスリンは訝ったが、その意味はすぐにわかった。  彼らの〈プランB〉は、荒川区に住む一人の少女だった。私立小学校の卒業を控えた6年生である。比較的裕福な育ちの彼女は、彼らの当初の計画であったあ

        • トーキョー王(サヤ-11)

          【サヤ-11】  渋谷で私たちを襲った男たちと、クルマに細工をして運転手さんに怪我をさせた犯人はつながっていた。スーツおじさんの報告を聞くとサエ姉さんは、たいして興味もなさそうにうなずきながら、そんで私らどうしたらええのと彼に訊いた。  全焼か、それとも丸焼けか、と爪を磨きながら訊くその様子は、なんだか悪の親玉みたいだと私は思った。こういう興味なさげな態度のサエ姉さんは、とても怒っている。  全焼も丸焼けも同じなのはサエ姉さんの冗談だったが、スーツおじさんはいつもよりさら

        トーキョー王(コウ-15)

        マガジン

        • トーキョー王/Tokyoking
          27本

        記事

          トーキョー王(アキウ-15)

          【アキウ-15】  幸いなことに、僕たちのストックしておいた魔力--実際にはそれらを宿した御札やら鏡やらといったアイテム類だけど、それらに高井さんたちが手をつけた形跡はなかった。  もともと高井さんたちのチームは姫ちゃんに近かったけれど、大沢さんや僕のような意味では「姫ちゃん陣営」ではなく、ちょっと遠ざけられていたんだ。なんというか、姫ちゃんを大切に思うのはいいんだけど、どうにもそれが行き過ぎる感じで、姫ちゃんも扱いかねているというか、あからさまに嫌ったりは性格的にも立場

          トーキョー王(アキウ-15)

          トーキョー王(アキウ-14)

          【アキウ-14】  事務所あてに送られてきたURLへアクセスすると、高井さんとそのチームの皆さんが映った動画だった。  なぜか全員アフロ…というか、なんか焦げたみたいにアタマがチリチリになっている。  それぞれスマホの画面をのぞいていた大沢さんと僕は、目をあげて顔を見合せた。なんだこりゃ、という大沢さんの片頬がひきつっている。イメチェンですかね、と僕は吹き出しそうになるのをこらえながら云った。  画面中央、すっかりへこんだ面持ちの高井さんの下の方、画面外から白い紙が舞

          トーキョー王(アキウ-14)

          「トーキョー王」 バックステージ#9

          ・ずいぶん時間が経ってしまいました。 ・その間にPlagはSolaと名を変え、2019年4月10日、ついにその4年にわたるサービスを終了しました。 ・「空想魔術Plag小説」と銘打って、物語のどの断片がどういった順番で届くかわからないという、Plagのアーキテクチャを利用した表現形態だったのですが、サービス中にきちんと完結させることができず残念です。 ・サービス終了の直前ではありましたが、最後のカードとしてエピローグともいうべき内容を投稿しました ・急ごしらえではありましたが

          「トーキョー王」 バックステージ#9

          トーキョー王 #9

          【CJ-22】 金髪の少女は床の「少年王」――もはや「元・少年王」と云ったほうがよいかもしれない彼にもう一度、恥を知りなさいと厳しく云った。暴力の論理を支持する者たちに暴力で応じてはあなた自身が、その論理を支持する者になりますのよ。 英語が通じるようではなかったが、彼女も期待はしていないようだった。云うだけ云うと興味を失ったように踵を返し、このような者の力は喜んであなたがたに差し上げますわ、とCJたちに言い捨てた。 そのまま部屋を出ていこうとするが

          トーキョー王 #9

          「トーキョー王」バックステージ#8

          ・名前を出す機会の少ない展開で、気づけば人をさすのに「少女」とか「男」とかばっかりになって誰のことかわかりにくい――! ・はい、なんだかアリスンもディアナもCJも、いまいちハデな立ち回りをすることなく「都営花畑団地の王とおもちゃの兵隊」編が終わろうとしています ・ていうか花畑団地の人ゴメン。他意はないんだ ・対抗できるような相手が出てこないせいでCJやアリスンが一方的に暴力ふるってるみたいな、京都の双子とは別の意味で見せ場のない展開となっておりますが…まあこのへんあんまりハ

          「トーキョー王」バックステージ#8

          トーキョー王 #8

          【CJ-16】 CJがいくらか頭を下げて前傾した直後、廊下の壁のところで大きな音がした。見ると彼の頭の高さぐらいの壁に、拳ほどの大きさのへこみができていて、壁材が剥がれ落ちていた。 やはり「横殴り」か、とCJは思った。彼女の見えない<武器>が、自分の左――窓側から彼の頭を襲ったのだ。 ディアナが、あわてた様子で部屋から出てきた。いつも危機感を見せない彼女が、今は固い表情をしている。廊下の少女を見つめるディアナを見ながら、CJは珍しいなと思った。

          トーキョー王 #8

          「トーキョー王」バックステージ#7

          ・はい、というわけでようやく「居酒屋まさ最後の日」編が終わり、変わって「都営花畑団地の王とおもちゃの兵隊」編の量が増してくる形です ・とくに意識してませんでしたが、並行しつつだんだん量的な「重心」がそっちに移っていく、というのはよかったかなと思います ・Plagプラットフォームでやる以上、どのエピソードがどう届くかは作者が制御できないのですが、それでも「流れ感」みたいなものを出そうとすると、そこは「量」なんですよね ・ここんとこやたらサエさんの関西弁ばっかり届くなーとか、ディ

          「トーキョー王」バックステージ#7

          トーキョー王 #7

          【アキウ-11】  気がついたとき僕はお店の床に寝かされていて、もう全てが終わっていた。前に会ったときと同じ、自信満々の笑みをうかべた京都のご姉妹の姿を見て、彼女たちが状況を――やりかたはどうあれ収めたことがわかった。  京都のお姉さんがたに連絡しておいたのは、僕の「保険」だった。あからさまな態度の敵はきっと実力に自信をもっているのだろうし、もし僕たちより強い相手だった場合には、ご姉妹が切り札になるかもしれないと思ったからだ。私ら来いひんかったらどないするつもりやったん?と

          トーキョー王 #7

          「トーキョー王」バックステージ#6

          ・なんだか週末にどどっと投稿したりしていますが、「トーキョー王」つづいております。 ・いちおう同じ場面を、その場に居合わせた人々の目線から描いているので、あんまり順番どおりにカードがまわってくる印象にするのもなあ、と思って、あえてドバーと一気に流して「何がどういう順番でまわってくるか制御不能」みたいな感じの「Plagノベル体験」にしようとしています。 ・とはいえフツーのときもあんまり「順を追って」読まれるようにするのはPlag的ではないので、もしかしたら結局は「週イチで何本か

          「トーキョー王」バックステージ#6

          「トーキョー王」 #6

          【コウ-8】  下の交差点で悲鳴があがったとき、最初は何が起こったのかわからなかった。急ブレーキのきしむような音、クルマのぶつかるがしゃんという音、そしてパンパンと――銃声?  なんとも物騒なことだと、とりあえず安全なカフェの席で僕は思う。客たちは窓際に集まってきていた。窓際のカウンターに座っていた僕のところにも、見る間に人が張りついてくる。眼下の道路では一台のクルマが立ち往生、その周りにいくらか距離をおいてまたクルマが三台、その陰に何人か隠れるようにしゃがんで、立ち往生し

          「トーキョー王」 #6

          「トーキョー王」バックステージ #5

          ・今回はそこそこ早めのペースで第5集となりました。 ・あれですね、日常生活でプレッシャーのかかると別のことがしたくなる、試験前に勉強部屋の掃除を始めるみたいな。 ・セルフキャッピングっていうらしいですけどね。 ・さて今回は前半のクライマックス(ええッまだ前半なの)、「居酒屋まさ最後の日」編と「都営花畑団地の王とおもちゃの兵隊」編をクロスしてお送りしております。ていうか団地とか特定していいのか。 ・フルパワーでやればもっともっと引っ張れる、具体的にいえばこれが夢枕獏なら「居酒

          「トーキョー王」バックステージ #5

          「トーキョー王」 #5

          【ミノル-11】  出社したとき松尾さんがコーヒーを淹れてくれて心が和んだが、部長から預かったという茶封筒を渡されて、いくぶん心が沈んだ。封筒に入った書面には、私が行きつけにしている居酒屋の二階住居に賊が押し入ってその家のお嬢さん、就職活動中のレナさんではなく下のほうのお嬢さんを襲ったことが書かれていた。  賊は家族によって窓から叩き出され、下を通りがかった大学生によって取り押さえられたのだが、その賊というのがパク氏――北の工作員ヤンとユンの二人に連れられて私が訪問した、あ

          「トーキョー王」 #5