トーキョー王(アキウ-14)

【アキウ-14】

 事務所あてに送られてきたURLへアクセスすると、高井さんとそのチームの皆さんが映った動画だった。

 なぜか全員アフロ…というか、なんか焦げたみたいにアタマがチリチリになっている。

 それぞれスマホの画面をのぞいていた大沢さんと僕は、目をあげて顔を見合せた。なんだこりゃ、という大沢さんの片頬がひきつっている。イメチェンですかね、と僕は吹き出しそうになるのをこらえながら云った。

 画面中央、すっかりへこんだ面持ちの高井さんの下の方、画面外から白い紙が舞い上がってきたかと思うと、折り畳まれていたらしいそれは、高井さんの胸のあたりの高さでひとりでに開いた。高井さんはあらかじめわかっていたようにその紙をつかまえて、カメラに向けて広げたままにした。

 ーーお姫さんへ。無用無謀の喧嘩を仕掛けぬよう、ファンの躾はきちんとしておくように。

 そう書いてあるのを読み取る以前に、何があったか僕たちは理解していた。内容以前の問題だった。高井さんの前に飛び出してきたとき、あの「手紙」は人の形をしていた。あの紙はひとりでに飛び上がって、「自分」に書かれた内容をカメラに「見せた」ーー式鬼に違いなかった。

 高井さんをこてんぱんにできて、式鬼を操り、姫ちゃんと高井さんのつながりを知っている者ーー心当たりはあの二人しかいない。

 姫ちゃんに何か云われてのぼせあがったのか、こないだの「手打ち」の件で頭にきたのかーーアフロ高井さんたちのしょんぼり顔を見ながら大沢さんは、どうにか真剣な表情をつくっているようだった。誰かに余計な入れ知恵でもされたんですかね、と僕が云うと、大沢さんは彼らの気が大きくなってしまうほどの魔力供給があったとしたら…とつぶやいた。

 「備蓄」の確認が必要だった。  **Tokyoking**

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