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スタジオ・ジブリ全開!バルセロナのグラシア祭

毎年8月に開催されるバルセロナのグラシア地区のグラシア祭

ここカタルーニャ州では、村や町の一番のお祭りは「Festa Major」(カタルーニャ語表記)と呼ばれ、ユネスコの無形文化財にも登録されている「人間の塔」や巨大な張子の人形のパレードなど様々な催しが行われます。バルセロナでは地区(昔の村単位)ごとに開催され、グラシア祭もその一つ。他の地区と違うことろは25年ほど前から通りを装飾するようになったこと。そして、グラシア祭の次の週に開催されるサンツ地区のサンツ祭も通りを装飾することで知られています。

グラシア祭では20を超える通りが参加し、毎年テーマを決めて通りを装飾し競い合います。

グラシア祭地図。赤で塗りつぶした通りに装飾されます。

大体1ヶ月ほど前くらいからそれぞれの組合の建物の前などで飾りを作っているのを見かけるようになり、それを見ると「もうすぐグラシア祭だな」と季節を感じます。

今年は8月15日から21日までの1週間開催されていました。


手作り感満載、装飾された通りの数々

どこの通りもステージがあり夜間はコンサートなどを行い、お酒の販売も行っていて、演奏が始まると通りによってはクラブシーンへと変化することも。普段公共の場所での飲酒は禁止されていてなかなかない機会のため羽目を外す人もいるよう。

お祭りは夜通し続き、最近では住民から「夜寝れない!」と苦情があるらしく、今年は初めて日曜日の夜は音楽やマイクの使用は禁止としたそうです。

今年の装飾の一部をここでざっと紹介し、そのあとは今年気になったことと大賞に輝いた通りを紹介します。

青いニューヨーク

なかなか良くできたニューヨークのスカイライン。

楽器がぶら下がっています。青いラプソディーというテーマなのでニューヨークのブルースを表しているのでしょうか?

ヘンゼルとグレーテル

こちらはヘンゼルとグレーテルのお菓子の家。

キャンディーやアイスクリーム、ポップコーンなどが吊られています。

釜戸に落とされた魔女。

ドイツっぽい家。ヘンゼルとグレーテルの家でしょうか?

サンゴ礁や海洋生物がテーマ

今年は海がテーマの通りがいくつかありました。

珊瑚がかなり本格的に再現されていました。

そしてこちらも海洋生物がテーマの通り。良くできた大きなウミガメが泳いでいます。

そして一面クラゲ。とても神秘的でした。

定番の日本テーマ、折り紙

日本のテーマは結構人気なグラシア祭。スペインでは嬉しいことに日本文化が好きな人が多いです。こちらのテーマは折り紙

折り紙っぽくなかなか良くできています。

昔ながらのワイン醸造風景

カタルーニャ州はカヴァをはじめワイン生産が盛ん。昔ながらのワイナリーを再現していました。なかなか立派な入口。

ブドウ畑。欧米のブドウ畑は日本のように棚になっておらず低いのですが、ここはなぜか日本のようなブドウ棚。

電動で足が上下に動き、樽からはちゃんとワインが流れ出てくるという演出。

カジノ三昧ラスベガス

ラスベガスのカジノを再現した通り。

スロットマシーンやルーレットなどが並びます。

マリオなどのアーケードゲームが盛りだくさん

こちらもポケモンやマリオも含んだアーケードゲームがテーマ。

パックマンやマリオが。

インベーダーゲームも。

出口も様々なキャラが。かなり良くできています。

ラスベガスのウェディング・チャペル

今回第2位となったのはこちら。ラスベガスのウェディング・チャペルを再現していて左手にチャペルが見えます。

マジカルなライトで、多分実際のラスベガスのチャペルより綺麗です。

オランダへひとっ飛び!

オランダがテーマのこの通り。雨模様の天気(笑)。

オランダと言えば木靴。

アムステルダムの町を再現しているのですが、1階部分をよく見ると…レッドライト地区。娼婦がショーウィンドウで踊っています。

オランダと言えば、チーズにチューリップ。大がかりなものはありませんがなかなか良くできていました。

最近世界で騒がれたアレも…

そしてこちらの通りは「Enfonsem La Fotuda Copa America」とカタルーニャ語で書かれています。「くそアメリカズ・カップを沈めろ!」の意。右の立て看板にはたまに町を歩いていて見る「Tourists Go Home」の文字。

アメリカズ・カップは今年バルセロナで開催されている4年に1回のヨットレース。最近の社会的現象を描写したもので、観光客帰れのメッセージを伝えるものではないと願ったのですが、アメリカズ・カップがバルセロナにもたらす悪影響としてオーバーツーリズムやジェントリフィケーション、環境破壊などが書かれていました。「外国人観光客」の軽蔑的な表現である「Guiris」という言葉が使われているのが気になります。

アメリカズ・カップのヨットは新聞紙でできていて、それに乗るのは恐らくドブネズミ。「かちかちやま」の泥舟のように沈んでしまえ!ということなのでしょうか?

先日グエル公園を2日間閉鎖して行われたアメリカズ・カップのメイン・スポンサー、ルイヴィトンのファッションショーをドブネズミが行っている図。スポンサーの名前には✕印が。

アメリカズ・カップ反対運動は反オーバーツーリズム運動の一貫で、行政だけに向けられたメッセージではないようで不穏な空気が伝わってきました。このほかにも不穏要素があったこのグラシア祭。また追ってまとめて書こうと思います。

ジブリをテーマにしたモーツアルト通りが優勝

最後に今年大賞を受賞した通りが、モーツアルト通りのスタジオ・ジブリの世界を再現した作品の数々。とにかくマジカルで素晴らしかったです。

入口の銭婆が巨大!しかもクオリティがまるでプロ。

千と千尋の神隠しの屋台街の雰囲気が良く再現されています。

屋台のグルメの数々。

頑張って書いたと思われる手書きの日本語。

電車に乗るカオナシ。

いろいろなキャラがいました。

そして「となりのトトロ」はもちろん。

トトロとネコバス。そして嬉しそうに写真を撮りまくるバルセロナの人々の姿が印象的でした。

もののけ姫のこだまも。

ステージの後ろにある出口。こちらもディダラボッチの光がとても神秘的で圧巻。

そしてこのモーツアルト通りのステージでは、ジブリのテーマ曲を演奏していました。ビデオで↓

このほかにもスペイン人にとってはお馴染みのドラえもんの曲も。ほかの通りがノリノリの音楽を演奏している中、ほっこりする音楽。

そしてバルのメニューもなかなか凝っています。

今年の初めにロンドンで鑑賞した「となりのトトロ」の舞台を思い出し、また余韻に浸かりました。

普通の近隣住民が作っているにしては完成度が高く、マジカルなジブリの世界を再現していて感動的でした。バルセロナの夏の風物詩グラシア祭、今年はジブリのお陰でずいぶん楽しめました。

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