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旅と映画と本と世間話。 Instagram: @xxmslopexx

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マガジン

  • 旅と映画と本と。

    訪れた街とお気に入りの映画と本のお話。

最近の記事

PAPICHA

PAPICHAとは、アルジェリアのスラングで『愉快で魅力的で常識にとらわれない自由な女性』を意味する。 でも、この物語の舞台に女性の自由は存在しない。 塀に囲まれた学校。 着たい服を着たら命を狙われる社会。 女性は教育など受けず、 黙って家にいればいいという男たち。 ネジュマたちの世界は常に抑圧されている。 立ち直れなくなるような出来事が何度も起きて、 それでも前を向こうとしても、現実は彼女たちの前に悲しみと悔しさばかり残していく。 ムスリムの女性の解放について話をすると

    • 青と白の世界で

      Chamonixを選んだのは、何となく山が見たくなったから。 モンブランの麓にあるフランスの町、Chamonix。 フランスと言ってもスイスの国境近くにあるので、Zurichからバスで向かう。 冬はウィンタースポーツのためにたくさんの人が訪れ、夏は避暑地としてハイキングやスカイダイビングを楽しめる町だ。 フランスなので、食事も美味しい。少しクセのあるチーズたっぷりのグラタンがとても美味しかった。 ハイキングや氷河の洞窟も旅の目的だったものの、いちばんの目的はモンブランの山

      • Little Women

        自粛解除となったので、早速ストーリー・オブ・マイ・ライフを観に行きました。 南北戦争時代はもう150年以上前の話なのに、 ここ数年の自分の中の悩みや葛藤にシンクロする部分がある映画です。 女性の幸せは結婚だけじゃない。 自分で働いて自立して生きる道もある。 でも社会がそれを許さなかったり、 自分の中にある孤独や寂しさがその考えを曇らせる。 周りが結婚し、家庭を築く中で不安はどんどん広がっていく。 昔々のお話なのに、世の女性たちの悩みは殆ど変わっていない。未だに結婚や家庭に入

        • なりたい「私」になるために

          先進国でありながら、ジェンダー格差111位の日本。 国際女性デーを前に、今まで自分が感じてきたことを書きたいと思った。 少し長い話をしようと思う。 中高大学と何となく女子校を選んできた私は、 隣の共学を羨むこともなく、性別を意識せずに学生時代を過ごしてきたと思う。 「女だから」と抑圧されることもなく、「女性らしく」みたいな感覚もあまりなかった。 それはおそらく私の通った学校の創始者たちが、 誰よりも女性の教育や権利を大切にし、その思想が今でも受け継がれているからだろう。 思

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        • 旅と映画と本と。
          16本

        記事

          ミモザと春を告げるカーニバル

          ニースに行ったのは、ちょうど2年前の今頃。 夏がベストシーズンの南仏だけれど、2月は素敵なお祭りがあります。 このお祭りはヨーロッパ三大カーニバルのひとつと言われており、その歴史は15世紀の謝肉祭から始まります。毎年2月の中頃から2週間ほど開催され、昼間はたくさんのお花で飾られた山車とミモザの花が綺麗な花合戦、夜は「王様」をテーマにしたパレードが行われるのです。 曜日によってイベントも違うので、詳しくはホームページで要チェック。 私が訪れる1年前、このカーニバルは大きなテロ

          ミモザと春を告げるカーニバル

          JOJO RABBIT

          ジョジョはイマジナリーのアドルフおじさんと会話してしまう、拗らせたナチス信者。 でも臆病で、優しくて、甘ったれで、ママが大好きで、自分で靴紐が結べない、どこにでもいる10歳の少年である。 母ロージーは父親不在の中、女手ひとつでジョジョを育てる。勇敢で、愛に溢れ、戦争を嫌い、ジョジョを深い愛で包み込む母親だ。 ある日ジョジョは屋根裏の隠し部屋で匿われているユダヤ人のエルサに出会う。 『野蛮』『角がある』などナチスが行ってきたプロパガンダに洗脳されているジョジョは、戸惑いながらも

          JOJO RABBIT

          『パラサイト』

          おそらくこの映画は観る人によって受け取り方が違うのだろう。 今まで挫折を経験した事がなく、映画に出てくるような裕福な家庭であるパク一家の側にいた人は、この映画のエンディングが理解できないのではないだろうか。 そして半地下の家族であるキム一家の行動や感情に共感できた人は、どこかで彼らが裕福な家族に抱いた感情と同じものを感じた経験がある人だろう。 坂の上と下で世界は異なり、パク一家の庭には陽の光が降り注ぎ、キム一家の家には酔っ払いが用を足す。 しかし物語序盤はキム一家は貧困から

          『パラサイト』

          『アナと雪の女王』と『もののけ姫』

          「会いに行くよ。ヤックルに乗って。」 アナ雪2のエンディングの後、私の頭の中に響いたのはこれだった。そう、もののけ姫。 もちろんこの映画にヤックルはいないし、エルサは森で育った野生児でもなければ、エルサとアナは姉妹である。 しかし森の民とアレンデールとの関係性が、シシ神の森とたたら場の関係性に似ているのだ。 もののけ姫は両者の全面戦争であるが、アナと雪の女王はダムでの出来事がそれにあたる。 たたら場はもののけ姫において、人々の豊かな暮らしの象徴である。製鐵産業により村を

          『アナと雪の女王』と『もののけ姫』

          買ってよかったもの2019

          日本に帰ってきて、新居に移りいろいろ買い足した1年でした。 世の中に便乗して、買ってよかったものをご紹介したいと思います! ①HITACHI スチームアイロン CSI-RX2 なぜ今まで買わなかったのか。便利すぎる。予算と軽さを考えてこのタイプになったわけだが、十分満足。あっという間に服の皺がとれる。もう着ようと思ってた服に変な皺があり、泣く泣く違う服を着て1日ブルーになることもない。全てのOLの味方。 ②ダイソン V8 SLIM ブラックフライデーセールで安くなってい

          買ってよかったもの2019

          雪のノイシュヴァンシュタイン城

          せっかくなら雪に覆われた城を見てみたいと思い、1月にミュンヘンを訪れた。 雪が少ないロンドンに比べて、到着したミュンヘンは雪で真っ白だった。 街に着いたのは金曜日の夜。ホテルに荷物を置いてから夕飯を食べに行くことに。 雪が音を吸収しているせいか、金曜なのに街は静かに感じる。繁華街に着いても煩い感じはなかった。  観光地のはずなのに不思議に感じたが、その謎はすぐに払拭された。 観光雑誌にもよく掲載されている、ミュンヘンで1番有名なビアホールは大勢の人で賑わっていた。 そう、み

          雪のノイシュヴァンシュタイン城

          Love the Coopers

          perfectly imperfect. クリスマスマーケットに続いて、 クリスマスの映画をひとつ。 邦題は『クーパー家の晩餐会』 タイトル通りクーパー家という家族のお話なのだけれど、単に幸せな家族の話というわけではない。 Mr.CooperとMrs.Cooperは熟年離婚寸前、その娘は婚約者に浮気された傷を引き摺って独り身なのに、見栄を張って空港のバーで出会った男性に恋人のフリを頼む。息子はリストラされたことを元妻にも息子にも隠して就活中で、その子供は反抗期真っ只中。

          Love the Coopers

          クリスマスマーケット-2

          宿に着いたのは23時はとうに過ぎていたと思う。 朝ごはんを食べてから、ドイツのクリスマスマーケットを目指す。 夜には気づかなかったけれど、外は深い雪に覆われていて、空からは今にも雪が降り出しそうだった。 最初の目的地はハイデルベルク。ドイツ最古の大学があるこの街は、ゲーテやショパンにも愛された歴史ある街である。 クリスマスマーケットは前日に訪れたものより小さい。 ドイツのクリスマスマーケットだけあって、大きなソーセージやプレッツェルがストールに並ぶ。 マーケットのオリジナル

          クリスマスマーケット-2

          クリスマスマーケット

          到着した空港はドイツのシュトゥットガルト。 最初に目指したのはフランス、アルザス地方のクリスマスマーケットだった。 友人がレンタカーを運転し、牧場とワイン畑を横目に他のメンバーはGoogle MAPを確認していた。 1つ目のマーケットはコルマール。 ここはハウルの動く城に出てくる街のモデルと言われている。 微妙に歪んだ木の柱と窓枠、クリーム色やミルキーピンクで塗られた壁が童話の世界を彷彿とさせる。 可愛らしいストールで買ったのは、グリューワインとザワークラウトとソーセージ

          クリスマスマーケット

          『Millennium』

          世間では映画『ドラゴンタトゥーの女』の方が認知度が高いのかもしれない。 スウェーデンを舞台にしたこの推理小説は、リスベットという背中にドラゴンのタトゥーを入れた女性を中心に物語が展開されていく。 彼女の出生の秘密は徐々に明かされていくが、私がこの小説で何よりも推したいのは、雑誌編集長であるミカエルとリスベットの関係性である。 リスベットは天涯孤独の身であり、特異な能力がありながらも暴力と屈辱の世界に囲まれてきた。 彼女自身他者への興味はさほどなく、そんな世界の中でも逞し

          『Millennium』

          『JOKER』

          ー本当の悪は、笑顔の中にある。 アメコミファンではない私は、バッドマンにジョーカーという悪役が出てくるぐらいの知識しかなかったので、もちろんジョーカーがどんなキャラクター設定で、どんな残虐な悪役なのかも良く知らない。 ただ現代社会においてジョーカーになってしまった人間は少なからずいるのではないのだろうかと、先週末この映画を観たときに思った。 そもそも本邦公開前からアメリカではこの映画が物議を醸していた。 社会に虐げられた白人男性が、犯罪者に変貌していく。 これはまるで、

          『JOKER』

          贅沢なパンケーキの話。

          最近Twitterで話題になっていることについて、どうにもやもやしたので、映画と旅行の話は今週お休みにしようと思う。 タイトルからご察しの通り、例のパンケーキ事件の話だ。 事の発端は某番組で、笑顔で3,000円のパンケーキを食べる某政治家が映されたことなのだが、 それに対して批判が集まったというのである。 おそらく批判した人たちは、 税金で給料貰ってるくせに高いパンケーキなんて食べてけしからん!とか、 国民のために働かなきゃいけない政治家が、のんびりパンケーキなんか食べる

          贅沢なパンケーキの話。