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『Millennium』


世間では映画『ドラゴンタトゥーの女』の方が認知度が高いのかもしれない。

スウェーデンを舞台にしたこの推理小説は、リスベットという背中にドラゴンのタトゥーを入れた女性を中心に物語が展開されていく。

彼女の出生の秘密は徐々に明かされていくが、私がこの小説で何よりも推したいのは、雑誌編集長であるミカエルとリスベットの関係性である。

リスベットは天涯孤独の身であり、特異な能力がありながらも暴力と屈辱の世界に囲まれてきた。
彼女自身他者への興味はさほどなく、そんな世界の中でも逞しく(どちらかというとかなり暴力的に)生きている。
そこに現れた興味を抱く存在がミカエルである。
映画ではダニエル・クレイグが演じているが、このミカエルはかなり魅力的な男性である。
そして暴力的なリスベットの世界で、唯一「誠実な男性」に見える人間と言っても過言ではない。

リスベットが彼に抱く感情は、少女が年上の男性に抱く恋という名の憧れそのもので、あんなに奇抜な彼女も可愛らしく思えるから不思議だ。
初恋実らず、肉体関係を持っても恋人にはなりえない2人ではあるが、その関係は友人とも説明し難いものである。
ミカエルの前だけ態度が柔和になるリスベット。
そんな彼女の態度に絶妙に鈍いミカエル。
恋愛小説でもないのに2人のすれ違いに何故かやきもきしてしまう。笑

物語の展開もテンポがいいので、巻数が多くてもあっというまに読めてしまうオススメ小説。

ちなみに映画では、ダニエル・クレイグ演じるミカエルが、PCを操作しながらベッドに寝そべるリスベットの服の下に、さり気なく手を滑り込ませて撫で撫でするシーンが最高にエロいので是非観ていただきたい…!


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