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『アナと雪の女王』と『もののけ姫』

「会いに行くよ。ヤックルに乗って。」

アナ雪2のエンディングの後、私の頭の中に響いたのはこれだった。そう、もののけ姫。
もちろんこの映画にヤックルはいないし、エルサは森で育った野生児でもなければ、エルサとアナは姉妹である。

しかし森の民とアレンデールとの関係性が、シシ神の森とたたら場の関係性に似ているのだ。
もののけ姫は両者の全面戦争であるが、アナと雪の女王はダムでの出来事がそれにあたる。

たたら場はもののけ姫において、人々の豊かな暮らしの象徴である。製鐵産業により村を豊かにし、人々は天候不順などにより不安定な農業よりも安定した収入を得ることができる。しかしさらなる豊かさを求めるが故に、エボシは神々の森に侵攻し、森を守るモロや乙事主と対立することとなり、最終的には腕を失う。

アナ雪でエボシにあたるのがエルサとアナの祖父である故アレンデール国王、モロや乙事主にあたるのが森の民である。
ダムは治水や水力発電を担う一方で、建設するために森を切り拓き、古くから住む者たちの住処を奪う側面を持つ。また、人為的に自然環境を大きく変えるため、環境に与える変化や影響も大きい。
アレンデール国王が森の民をどのように言い包め裏切ったのか、詳細な描写に欠けているものの、アレンデール国王は自国の防衛と繁栄のためにダムで彼らを抑えつけようとし、森の精霊たちの反感を買うこととなった。

しかし、物語には対立する両者の架け橋となる存在がおり、それがサンとアシタカ、エルサとアナになるのである。
自然と人がお互いを壊すことなく生きる道を歩んでいくエンディングも、2つの作品に共通する特徴である。

ただ、これ以外にもアナ雪ともののけ姫に共通することがあると私は考えている。
それはエルサとサンである。どちらも人間の社会において『異質』な存在であり、それぞれに生きづらさを感じている。
サンはモロに育てられ、人間の社会を知らずに生きてきたが、アシタカに出会い人間の社会を知る。しかしそれは彼女にとっての居場所ではなく、結果としてサンは種族に属するのではなく、生きてきた森を自身の居場所として選んだ。

ではエルサはどうだろう。

前作で『perfect girl is gone』と歌っていたわりには、今作序盤では完全に『いい子なエルサ』を発揮している。
自身の未知の力ゆえに生きづらさを感じながらも、結局国民や家族のために自身を犠牲にし、彼女の扉は未だ閉じられていた。
そんなエルサを呼んだのが精霊であり、最初は声を拒んだエルサも、最後は自身の生きる場所として森を選ぶことになる。

こんな感じでアナ雪ともののけ姫の共通点を考えてしまった昨年末。
今年もたくさんいい映画に出会いたいな。


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