オーガニック神話は尊くない
オーガニック食品の疾患治療、健康維持に関する有効性についてはこちら ↓
発達障害/精神疾患の治療という趣旨から離れますが、よく話題にあがるので自分の考えを書いておきます。
自然は敵でも味方でもない
池澤夏樹という理系出身の作家がいます。
理系といえどSFではなく自然をテーマにした純文学作品を書いています。
この人がエッセイに書いたのですが、
「自然は人間の味方でも敵でもない。ただ無関心なだけだ。」
という考え方に僕は強く共感します。
山や海の美しさに感動するのも人間の勝手で、それが神聖で尊いかどうかなど山や海にとってはどうでもいいでしょう。
人は自然から多くの恵みを手にできますが、同時に大きな損害も被ってきました。
(大地震などの例を出さなくても、食ったら即死する植物はいくらでも自生しています)
そしてまた、人間がどんなに分子をこねくり回し、動植物の遺伝子を組み替え、時には核分裂などを引き起こそうとも、それは自然現象の範囲だと思ってます。
自然から生まれた人間の営みだからです。
食べた物が人間をつくるが
僕はヒネクレた理屈屋なので常々思います。
「人は食べた物からできている」という言葉はその通りですが、だから何?、と。
食べたものが消化という化学反応を経て、人体の一部に再合成されたなら、それは口に入れる前とは全く違う物質です。
原子は結合する相手が変わると全く違う性質を持ちます。
たとえば、食塩は塩化ナトリウムですが、ナトリウム自体は空気に触れるだけで発火する危険な金属です。
無味乾燥な考え方ですが、それが「ビタミン・ミネラルの補給はサプリがベスト」である理由のひとつです。
つまり、人体は有害と無害を(ある程度)区別できますが、自然とそれ以外を区別できません、
区別する意味がないからです。
化学の話など出さなくても、口に入る食物は農耕・牧畜の歴史とともに品種改良され続けてきました。
発達障害/精神疾患の原因になりうるグルテンですが、自然に生えてた小麦はグルテンの含有量がかなり少ないです。
(古代小麦といいます。)
疾患治療や健康維持のためオーガニック食品に手を出す人がいますが、無農薬有機栽培でも現代の小麦は(人によっては)有害です。
農薬や食品添加物の危険性などプラスアルファにすぎません。
人が手を加えてないものだけ口にして生きるなら、山にこもり自給自足するしかないと思います。
「自然」の対義語
…以上述べたことにより、「オーガニック」という概念にはそもそも意味がないです。
人間として生きる以上、人が手を加えたものを体に入れないのは不可能です。
でもそれは大きな意味での自然です。
人間自体が自然の一部だからです。
「じゃあこの世界に自然(=物質)以外存在しないじゃん。」
と言われそうですが、
物質以外のものもちゃんと存在します。
あなたが読んでいる文章です。
スマホやPCの画面は物質ですが、それが伝える情報は個々の精神にしか存在せず、触って確かめられるものではありません。
情報を受け取り、理解し、行動を変化させていくこと。
それは最も人間らしい営みではないでしょうか?
僕がうつ状態から社会復帰するにあたってマインドフルネスの習慣化を行ったのも、スピリチュアルな信仰からではありません。
先人の工夫にある程度の可能性を感じ、やってみたら効果が実感できた、だから自分用にカスタマイズした、そういう流れです。
スピリチュアリズムのカケラもない、単なる知識と経験による創意工夫です。
自分や親しい人が発達障害/精神疾患に苦しみいたたまれないのなら、情報を集めて行動し、状況を変えていきましょう。
そこにあって動かない自然と違い、人間は前へ進もうとするものです。
このマガジン「健常者になろう!」はそのような考えで書いております。
頂いたお金は新しい治療法の実験費用として記事で還元させていただいております。 昔の自分のようにお金がない人が多いと思いますので、無理はしなくて結構です。