【治療例4】慢性疲労・集中低下・起床不能(31歳女性)
4年前から疲労・倦怠感に悩まされ、朝起きれない、情緒の不安定、集中力低下などの症状に悩まされた女性が約半年で症状を劇的に改善させた事例です。
ソース:宮澤医院(東京)
症状
患者:女性、31歳
症状:とにかく疲れていて、朝に起きられない。気分の落ち込みが激しく、食事を抜くとひどくなり、甘い物がやめられない。集中力・思考力の低下と関節や筋肉の痛み、微熱などもあり。
経歴:4年前から疲労感を感じ始め、朝起きられなくなったため、睡眠クリニックで治療するも異常なしと診断される。治療開始時点では上記の症状にも悩まされていた。
根本原因
治療結果
治療開始1年後には微熱もなくなるが、服薬(抗菌剤)を断薬するとぶり返すことがあるため治療継続中。
鑑別・治療ステップ
抗菌治療
血液検査によるマイコプラズマ抗体の陽性反応から、細菌感染による慢性疲労症候群を疑ったのが本事例のハイライトです。
「細菌感染」というものは、「炎症」や「アレルギー」と同様に、一般的なイメージと実態がかけ離れた言葉です。
よく想像される症状には、下記があると思います。
…が、これらはある種の細菌のもたらす急性症状にすぎません。
つまり氷山の一角であり、そういった急性症状がない限り、細菌に感染しても自覚症状は出ません。
発達障害/精神疾患のポピュラーな要因の一つであるカンジダ菌の繁殖と同様です。
(「自覚症状が出ない」というのは、正しくいえば「原因不明の不調と因果関係が結べない」ことです。)
細菌は脳に容易に入りこんで炎症を起こし、さまざまな精神・神経症状を起こします。
アルツハイマー病の主原因として「βアミロイド」というタンパク質の脳内蓄積がありますが、近年の研究では特定の細菌やウィルスの侵入と排出能低下も原因に加えられているそうですね。
また、根本原因として、尿中有機酸検査から判明したビタミンB群の著明な不足が挙げられています。
腸内フローラ(腸内細菌)は正常な状態では自動的にB群を産生して健康維持に役立ってくれますので、このケースではマイコプラズマ菌が腸内を荒らしていたのだと思われます。
また、症状で「甘い物がやめられない」がありましたが、一部の有害細菌の繁殖は糖分を餌に起こるため、ある程度増殖した段階で細菌は脳神経を刺激し、宿主(人間)に餌の供給を強制するようになります。
これはカンジダ菌も同じです。
(というか、ソース記事にある尿中有機酸検査の項番7,19,21を見る限り、カンジダ菌も増殖していた可能性があります。)
ソース記事にすべて明記されていませんが、以上のことから治療は、
加えて、重金属の蓄積判定のため毛髪ミネラル検査を行っていて、カルシウムの著明な不足が発見されました。
(毛髪ミネラル検査とは、髪の毛の2~3センチから排出される微量な金属の量を測定して、重金属の自然排出量と必須ミネラルの量を調べる検査です。)
なので、
をしたのでしょう。
ここまで聞くと、
「ビタミンミネラルの欠乏が原因って、健康的な食生活してればあり得ないんじゃない?」
と思うかもしれませんが、そうではないです。
疾患性の栄養欠乏は、食事では補えないレベルのビタミン・ミネラルが必要になり、原因不明(あるいは心神性)といわれる不調がよく起こります。
大事なのは検査でもって欠乏の有無を客観的に確認することです。
重金属の排出
さらに、毛髪ミネラル検査では極端な重金属(有害金属)の排出がみられませんでしたが、その場合、下記の2パターンが考えられます。
・自然排出量を上回る蓄積がない(治療不要)
・蓄積があるが自然排出できていない。
このケースでは後者を疑い、上記に加えて排出治療を行った可能性があります。
(あるいは上記の原因群がグルタチオン等のデトックス物質の体内生産を妨げていて、それらの治療による自然排出力の向上を狙ったのかもしれません。)
Before
毛髪ミネラル検査の結果
After
治療途中。似ていますが、こちらは尿中メタル排出検査。
キレート剤(DMSA)を使用すると、かなり排出されるようになっています。
まとめ
今回のケースは、患者は治療途中とのことでしたが、半年で主要な症状にかなりの改善が見られました。
知ってほしいのは、細菌感染や栄養素欠乏というものは、意外と簡単に陥って、自覚症状もなく、やがて原因不明の体調不良や精神疾患になります。
この患者は4年間も深刻な状態にあったので、精神症状等の根本原因がつかめていない方は、できるだけ早いタイミングで治療に踏み切ることをお勧めします。