日記109:「おいしそうな本は不味い」
食わない。
本を読むと、どこか食事をしている気持ちになる。本をめくる手は魚をさばく手、文字を拾う目は伸ばされる箸、脳内で声色の存在しない声で再生される言葉は味蕾の躍動。
まあ、魚などさばいた経験はないのだが、それはさておいて…本を読むとそういう気持ちになるのは、読めば読むだけ自分の中に蠢いている口と舌みたいなものが育つような気がするし、読んだ本の文体がうつったり学習されたりするところがあるからだ。けれどももうひとつあるのは、大事なのは、その動きを食事みたいだとかと捉えても嫌