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それは大きな共感(2023/08/13)

・ファンタスティック・プラネットを見た。

・不気味である。この映画はおよそ一年以上前から見たい見たいと思っていて、その独特なタッチとキャラクターにずっと惹かれていた。映画のパッケージだけでもその世界観の異様さは感じ取れる。


・いざ映画を見始めると、その世界にどっぷり浸かってしまい、目が離せなくなってしまった。作中に登場する生き物や機械が、どことなくサルバドール・ダリの絵画に出てくるような様相で、シュルレアリスムが感じ取れた。そういえば字幕版で見たけど、ちょいちょいフランス語が聞こえてきたため、フランス映画なのだろう。その辺が繋がっている。


・というかこれが50年ほど前の作品ということに驚愕している。Amazonプライム、割と古くて歴史的に重要とされている作品を多く配信しているのでとても助かる。古めの映像だと入手をすることすら困難であったりするので、サブスク配信の恩恵を存分に享受している。色々議論がなされているかもしれないが、こういった点ではサブスク配信も悪くはない。


・ファンタスティックプラネットでは、人間が虫けら同然の世界で、ドラーク族(赤い目に青い皮膚の、上記のリンクのやつ)という巨大な生き物が支配をしている。この世界では人間は小さいし弱いため、ドラーク族のペット(といっても扱いは猫や犬に対するそれではない)的な立ち位置で、例えるとカブトムシを可愛がっている感じだ。そのため人間からすると理不尽な仕打ちとかをバンバン食らう。ここで私は自然と人間側に感情移入をしていたことに驚いた。当たり前なんだけど自分は人間であるという自覚があるらしい。いずれドラーク族に支配されても、その誇りだけは忘れずに持っておきたい。


最果タヒ「きみの言い訳は最高の芸術」

・最果タヒ「きみの言い訳は最高の芸術」を読んだ。

・最果タヒはこのエッセイ集を「共感してほしいという気持ちは一切なく、ただ読んでほしい」と評していたけど、私は勝手に共感した。共感を誘発していない本で共感したのだから、それはそれは大きな共感である。

・例えば。

めちゃくちゃ好きなものができたときに、他人にすすめるということがやっぱりどうもできなくて、というかおすすめしたいとか共有したいとも思わなくて、好きなものを持ったら持ったで、その内容によって優劣をつけたがる他人がいるのだということにうんざりもしていた。

出典:最果タヒ「きみの言い訳は最高の芸術」P41

という一節がある。彼女は共有することにいささか懐疑的で、本文でも何度かそのことについて触れている。私も似たような感覚があって、なぜか本当に好きなものを他人に共有したいと思うことがない。けれど自分が好きなものをひっきりなしに勧めてくる人っていうのは世の中に少なからず存在していて、そちら側の気持ちはあまりよく分からなかった。今まではこのあやふやな気持ちは言語化ができなかったけれど、今なら少しだけ深く考えられる気がする。

・エッセイを読んでいてここまで共感したことはなかったかもしれない。どちらかというとエッセイは他人の思考を覗くという気持ちが強く、その中で自分との共通項を探し出すという読み方をしていたが、今回は逆で、共通項の中に他人の思考が少し混じっているような感覚だった。この出会いは大事なので大切にしたい。最果タヒの本は他にも積読しているので、徐々に読んでいく。次は詩集かな。


・実は日中は本屋に出かけるなどしていたので、映画見たり本読んだりはほとんど夜に行った行為である。日記なんだから日中の話をしなさい。明日は。

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