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20240906 イラストエッセイ「私家版パンセ」0048 我慢について 子どもを不幸にする方法

 ルソーが言いました。「子供を不幸にするのは簡単だ。子供に欲しいものを与えれば良い。」
 子どもに欲しいものを何でも与えると、子供は欲しいものが何でも手に入る状況を当たり前と思うようになります。
 ところがやがて手に入らないものが必ず出てくる。ルソーによれば、「星を取ってくれ」と言い出しますけれど、星を与えることは不可能です。
 星が手に入らないと知ると、子供は不幸になります。自分の望むものが手に入らないことが、不幸になるように育ってしまったんですね。

 欲望を満たすことは必ずしも幸福ではない。
 そういうことです。

 ニーチェは言いました。「自分自身にうち勝つのは難しいが、一つ方法がある。一日に一回、何かの欲求を我慢することだ。こうすれば次第に自分をコントロールできるようになる。」

 これも、欲望を我慢しないことが、自分を弱くする、不幸にするというお話です。

 高度消費社会が道徳に影響を与えた結果、欲望を満たすことは美徳、我慢は悪徳ということになったように見受けられます。
 しかし我慢することほど人間を育てるものはないんです。
 もちろん、ものには限度があることも確かですけれど。

 豊かな社会で子供に我慢を教えるには、相当な知恵が必要です。
 学校の存在価値について、ひろゆき氏が興味深いことを言っています。
 「学校の存在価値は、世の中は理不尽だということを学べることだ。」

 学校には多くの理不尽があります。制服とか、校則とか。
 思い通りにならないことがたくさんあります。特に人間関係がそう。そして恋愛も。
 我慢しなければならないこともある。嫌いな教科の勉強とか学校行事とか。
 意地悪な先生もいます。
 けれどもそういうものを全てなくしてしまうことが、本当に子どものためになるのかというと、それは疑問なんです。

オリジナルイラスト ルソーの肖像






私家版パンセとは

 ぼくは5年間のサラリーマン生活をした後、キリスト教主義の学校で30年間、英語を教えました。 たくさんの人と出会い、貴重な学びと経験を得ることができました。もちろん、本からも学び続け、考え続けて来ました。 そんな生活の中で、いくつかの言葉が残りました。そんな小さな思考の断片をご紹介したいと思います。 これらの言葉がほんの少しでも誰かの力になれたら幸いです。

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