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君じゃない誰かに微笑みを
「おはよう。私、諦めないから」
朝登校して一番に元カレのアキラに挨拶をする。一限の必修はアキラと同じ授業だ。
「もう彼女面すんなよ、お前とは終わったから」
アキラは冷たい目を私に向けた。
アキラの浮気相手は同じ学部の菱川蘭だった。体育会バスケ部の蘭は背が高く大人びていて、私とは正反対の人間だった。
一昨日、蘭とキスしている現場を目撃したときはあまりの衝撃に、よくこんな狭いコミュニティで二
約束の絵を見ることはないとしても
3月31日。ニューヨークの高級ホテル最上階スイートルーム。ルームサービスの御馳走が並び、外には自由の女神。日本人美大生、望(ノゾム)と優絵(ユエ)は窓の外を見ながら話している。
「子孫を残す目的ってさ、自分が死んだ後も生きた痕跡を残すことなんだよな。絵を描くこともまた、自分の死後も生きた証を残すことなわけで……。つまり作品のことを我が子って言うのはそういうことなんだろうな」
「何それ、もしかして