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色々なものの感想を書きます。 小説を書けるまで文章の書き方を忘れないようにします。 …

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色々なものの感想を書きます。 小説を書けるまで文章の書き方を忘れないようにします。 Twitter→ https://twitter.com/tri_iwantwarmth Misskey.io→ https://misskey.io/@trisankaku333

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記事一覧

彼岸の研究|『霊的ボリシェヴィキ』高橋洋

 僕は怖いのが苦手で、この作品は二日に分けて視聴したことは先に断っておく。一日目は夜中に真っ暗な部屋の中で観たのでヤバいと思ってはじめの30分程度で止めてしまった…

trisankaku
7か月前

「文章を残す」ということ

 前提知識として、僕は「今すぐ死ぬ」か「永遠に生きる」ことでしか人生を肯定できないということを念頭に置いてほしい。  永遠に生きる、とは、古代エジプト神話におけ…

trisankaku
8か月前
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『近畿地方のある場所について』、関係ない話だよって自分に言い聞かせることで恐怖から身を守っている

trisankaku
10か月前

鰯の頭も信心から、飾らないのも信心から|近畿地方のある場所について

 はじめに断っておくと、僕は無類にホラーが苦手である。  中学の頃にフリーゲームの『猫鮪』をプレイしていたとき、心臓が早鳴りするのに体の末端はどんどん冷えていっ…

trisankaku
10か月前
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キャットファイトは犬にも食わせぬ|アリスとテレスのまぼろし工場

 正直に言うと、岡田麿里作品としては前作『さよならの朝に約束の花をかざろう』のほうが良かった。が、それは「他人同士が家族になる話」が好きという個人的な趣味の話に…

trisankaku
11か月前
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何故記事が出てないかというと本を読み終わってなかったり映画を見てなかったりするからですね。今週アリスとテレスのまぼろし工場公開なので近々にこれについて書くかもしれません。

trisankaku
11か月前
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機械の舟盛り、あるいは擬人化の罪|Detroit: Become Human

 ディレクター兼シナリオのデヴィッド・ケイジのアンドロイド(AI)と人間に関する思想が透けて見えたと思う。つまり、彼は人間とアンドロイド(AI)は違うものであるとア…

trisankaku
1年前
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大人になりな|オオカミの家

 子供の魔法・ナーサリーマジックは、扱い方を間違えれば途端に術者に破滅をもたらす。妖精の国に迷い込んだら、特別な知恵がなければ元の世界には戻れない。 『オオカミ…

trisankaku
1年前
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生きるに値する|エブリシング・エブリウェア・オールアットワンス

 アルベール・カミュの『シーシュポスの神話』に、次のような一節がある。  主人公の中国系アメリカンのエヴリンは、繁盛しないコインランドリーを経営し、優しいがパッ…

trisankaku
1年前
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彼岸の研究|『霊的ボリシェヴィキ』高橋洋

 僕は怖いのが苦手で、この作品は二日に分けて視聴したことは先に断っておく。一日目は夜中に真っ暗な部屋の中で観たのでヤバいと思ってはじめの30分程度で止めてしまった。二日目はそれなりに怖かったが一日目程ではなかった。そして、作品として面白いか面白くないかで言われると首をひねるという評価になってしまうだろう。

 舞台である廃工場は、各所に集音マイクが設置され録音されている。七人の老若男女は、それぞれ

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「文章を残す」ということ

 前提知識として、僕は「今すぐ死ぬ」か「永遠に生きる」ことでしか人生を肯定できないということを念頭に置いてほしい。
 永遠に生きる、とは、古代エジプト神話における死生観のように子々孫々の記憶、情緒の中で生き続けるということではなく、僕が僕のまま僕の身体と僕の知識と僕の感性を保ち、僕の一貫性に於いて生きるということだ。だから、仏教における輪廻転生というものは恐怖の対象だ。自己同一性を失ったまま生命の

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『近畿地方のある場所について』、関係ない話だよって自分に言い聞かせることで恐怖から身を守っている

鰯の頭も信心から、飾らないのも信心から|近畿地方のある場所について

鰯の頭も信心から、飾らないのも信心から|近畿地方のある場所について

 はじめに断っておくと、僕は無類にホラーが苦手である。
 中学の頃にフリーゲームの『猫鮪』をプレイしていたとき、心臓が早鳴りするのに体の末端はどんどん冷えていったのを覚えている。同じく中学の頃、元友人の姉がプレイしていた『かまいたちの夜』が恐ろしすぎて見れなかった。ネットフリックスで観た黒沢清『回路』の終盤、男の霊が迫ってくる場面では耐えきれずに目を瞑ってしまった。
 それくらいには、ホラーに対し

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キャットファイトは犬にも食わせぬ|アリスとテレスのまぼろし工場

キャットファイトは犬にも食わせぬ|アリスとテレスのまぼろし工場

 正直に言うと、岡田麿里作品としては前作『さよならの朝に約束の花をかざろう』のほうが良かった。が、それは「他人同士が家族になる話」が好きという個人的な趣味の話になるため、そこは度外視しよう。

 前作同様、いちばん言いたいメインテーマは大変にシンプルであり、しかも明確であるためその部分だけは面白かった。つまり、父を好きになった娘の恋敵は少女時代の母である、ということである。エディプスコンプレックス

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何故記事が出てないかというと本を読み終わってなかったり映画を見てなかったりするからですね。今週アリスとテレスのまぼろし工場公開なので近々にこれについて書くかもしれません。

機械の舟盛り、あるいは擬人化の罪|Detroit: Become Human

機械の舟盛り、あるいは擬人化の罪|Detroit: Become Human

 ディレクター兼シナリオのデヴィッド・ケイジのアンドロイド(AI)と人間に関する思想が透けて見えたと思う。つまり、彼は人間とアンドロイド(AI)は違うものであるとア・プリオリに規定している。
 なお、アンドロイドたちは男性形も女性形もあり、本来のギリシャ語の「andro-(男性)」「-oid(を模したもの)」を組み合わせた語の原義からは外れるため、ヒューマノイドと呼ぶべきだが、ここでは作中の使用に

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大人になりな|オオカミの家

大人になりな|オオカミの家

 子供の魔法・ナーサリーマジックは、扱い方を間違えれば途端に術者に破滅をもたらす。妖精の国に迷い込んだら、特別な知恵がなければ元の世界には戻れない。

『オオカミの家』は、チリ出身のビジュアル・アーティスト、クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャによるストップモーション・アニメである。
 その内容はといえば、少女が「魔法」によって現実を改変し、しかしのぞみのものは結局得られないという、ナーサリ

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生きるに値する|エブリシング・エブリウェア・オールアットワンス

生きるに値する|エブリシング・エブリウェア・オールアットワンス

 アルベール・カミュの『シーシュポスの神話』に、次のような一節がある。

 主人公の中国系アメリカンのエヴリンは、繁盛しないコインランドリーを経営し、優しいがパッとしない夫のウェイモンド、古い価値観で説教し介護も必要な父・ゴンゴン、生活にだらしなくレズビアンである娘のジョイ、そして税金に板挟みにされている。
 そんなエヴリンは、ある日「別の世界線からやってきた」と称する、武術に長けたウェイモンドに

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