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色々なものの感想を書きます。 小説を書けるまで文章の書き方を忘れないようにします。 Twitter→ https://twitter.com/tri_iwantwarmth Misskey.io→ https://misskey.io/@trisankaku333

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「文章を残す」ということ

 前提知識として、僕は「今すぐ死ぬ」か「永遠に生きる」ことでしか人生を肯定できないということを念頭に置いてほしい。  永遠に生きる、とは、古代エジプト神話における死生観のように子々孫々の記憶、情緒の中で生き続けるということではなく、僕が僕のまま僕の身体と僕の知識と僕の感性を保ち、僕の一貫性に於いて生きるということだ。だから、仏教における輪廻転生というものは恐怖の対象だ。自己同一性を失ったまま生命の始まりには魂がまた一から始める。しかも前世からの業がつきまとっているのに僕にはそ

    • 彼岸の研究|『霊的ボリシェヴィキ』高橋洋

       僕は怖いのが苦手で、この作品は二日に分けて視聴したことは先に断っておく。一日目は夜中に真っ暗な部屋の中で観たのでヤバいと思ってはじめの30分程度で止めてしまった。二日目はそれなりに怖かったが一日目程ではなかった。そして、作品として面白いか面白くないかで言われると首をひねるという評価になってしまうだろう。  舞台である廃工場は、各所に集音マイクが設置され録音されている。七人の老若男女は、それぞれが他者の死に立ち会った話を携えてここに集められる。話が進む内、廃工場内は超常的な

      • 『近畿地方のある場所について』、関係ない話だよって自分に言い聞かせることで恐怖から身を守っている

        • 鰯の頭も信心から、飾らないのも信心から|近畿地方のある場所について

           はじめに断っておくと、僕は無類にホラーが苦手である。  中学の頃にフリーゲームの『猫鮪』をプレイしていたとき、心臓が早鳴りするのに体の末端はどんどん冷えていったのを覚えている。同じく中学の頃、元友人の姉がプレイしていた『かまいたちの夜』が恐ろしすぎて見れなかった。ネットフリックスで観た黒沢清『回路』の終盤、男の霊が迫ってくる場面では耐えきれずに目を瞑ってしまった。  それくらいには、ホラーに対して免疫がない。  まぁお察しのとおりに本書もホラーである。書簡体といえば良いの

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        「文章を残す」ということ

        • 彼岸の研究|『霊的ボリシェヴィキ』高橋洋

        • 『近畿地方のある場所について』、関係ない話だよって自分に言い聞かせることで恐怖から身を守っている

        • 鰯の頭も信心から、飾らないのも信心から|近畿地方のある場所について

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          キャットファイトは犬にも食わせぬ|アリスとテレスのまぼろし工場

           正直に言うと、岡田麿里作品としては前作『さよならの朝に約束の花をかざろう』のほうが良かった。が、それは「他人同士が家族になる話」が好きという個人的な趣味の話になるため、そこは度外視しよう。  前作同様、いちばん言いたいメインテーマは大変にシンプルであり、しかも明確であるためその部分だけは面白かった。つまり、父を好きになった娘の恋敵は少女時代の母である、ということである。エディプスコンプレックスの一形態であるが、相手は父であるが父でない「過去の父」であるという点ではまだしも

          キャットファイトは犬にも食わせぬ|アリスとテレスのまぼろし工場

          何故記事が出てないかというと本を読み終わってなかったり映画を見てなかったりするからですね。今週アリスとテレスのまぼろし工場公開なので近々にこれについて書くかもしれません。

          何故記事が出てないかというと本を読み終わってなかったり映画を見てなかったりするからですね。今週アリスとテレスのまぼろし工場公開なので近々にこれについて書くかもしれません。

          機械の舟盛り、あるいは擬人化の罪|Detroit: Become Human

           ディレクター兼シナリオのデヴィッド・ケイジのアンドロイド(AI)と人間に関する思想が透けて見えたと思う。つまり、彼は人間とアンドロイド(AI)は違うものであるとア・プリオリに規定している。  なお、アンドロイドたちは男性形も女性形もあり、本来のギリシャ語の「andro-(男性)」「-oid(を模したもの)」を組み合わせた語の原義からは外れるため、ヒューマノイドと呼ぶべきだが、ここでは作中の使用に統一して「アンドロイド」と呼称する。  事件捜査支援モデルアンドロイド=コナー

          機械の舟盛り、あるいは擬人化の罪|Detroit: Become Human

          大人になりな|オオカミの家

           子供の魔法・ナーサリーマジックは、扱い方を間違えれば途端に術者に破滅をもたらす。妖精の国に迷い込んだら、特別な知恵がなければ元の世界には戻れない。 『オオカミの家』は、チリ出身のビジュアル・アーティスト、クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャによるストップモーション・アニメである。  その内容はといえば、少女が「魔法」によって現実を改変し、しかしのぞみのものは結局得られないという、ナーサリーライムの常套句で締められる。言ってしまえばそれだけであるが、この二作の引き出す

          大人になりな|オオカミの家

          生きるに値する|エブリシング・エブリウェア・オールアットワンス

           アルベール・カミュの『シーシュポスの神話』に、次のような一節がある。  主人公の中国系アメリカンのエヴリンは、繁盛しないコインランドリーを経営し、優しいがパッとしない夫のウェイモンド、古い価値観で説教し介護も必要な父・ゴンゴン、生活にだらしなくレズビアンである娘のジョイ、そして税金に板挟みにされている。  そんなエヴリンは、ある日「別の世界線からやってきた」と称する、武術に長けたウェイモンドに促され、多元世界すべての能力を借りながら、世界の命運を掛けた戦いに身を投じていく

          生きるに値する|エブリシング・エブリウェア・オールアットワンス