トリプルパンケーキ

短歌を詠む3人 雨宮真由、斎藤見咲子、坂中真魚 のノートです (イラスト:斎藤見咲子)

トリプルパンケーキ

短歌を詠む3人 雨宮真由、斎藤見咲子、坂中真魚 のノートです (イラスト:斎藤見咲子)

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最近の記事

肌と布団(往復書簡18)

このnoteは短歌ユニット「トリプルパンケーキ」の3人(雨宮真由、斎藤見咲子、坂中真魚)が「短歌と生活」をテーマに文通をするシリーズの18通目です。 今回のテーマは「布団、または毛布」です。 雨宮さんへ布団が心地よくて出たくない、という気持ちが深まる季節ですね。 寝具はもっとも身近でもっとも小さなシェルターだよなあと思いました。 歌も、二度寝してしまう感じが表記に出ていて面白かったです。 ちなみに私の場合、冬にはかなり層を重ねて寝ているので、毛布は布団の上にも下にも2枚あり

    • 布団から出られない(往復書簡18)

      見咲子さんへほほえましいお手紙ありがとうございます。 仕事をするのにより心地よい環境であることに超したことはないと思うので、見咲子さんがブランケットを持ち込むことができるようになってよかったです。 「着る毛布」、とても便利そうですね…!確かに立ったり座ったりするたびにどけたりかけたりしなくてもいいのはとても楽そうだし、見咲子さんの短歌のように毛の生えた生き物になった気分も味わえそうで楽しそう。私も買ってみようかなぁ。 雨宮から坂中さんへ日に日に寒くなって布団から出るのが

      • ふかふかの毛(往復書簡17)

        このnoteは雨宮真由、斎藤見咲子、坂中真魚による公開書簡シリーズの17通目です。今回からのテーマは「布団、または毛布」です。 斎藤から雨宮さんへ最近、寒い日が増えましたね。私はとても寒がりなため、寒さにおびえて毛布をたくさん買ってしまいました。 まず、ふわふわのブランケット。そして電気毛布。さらに着る毛布。 買った後で、「こんなにいらないのでは?」と思ったのですが、やっぱりあってよかったのでそのことについて書きます。 ブランケットは家にすでに一枚あります。二枚あっても

        • あたたかくない光(往復書簡16)

          このnoteは雨宮真由、斎藤見咲子、坂中真魚による公開書簡シリーズの16通目です。テーマは「照明」です。 明るいのが好きです。だから照明が好き。 でも明るいのはさみしい。 そんな感じのことを書いていきます。 以下は前回のお手紙からの引用です。 ーーーーーーー 私はもともと青色が好きで、冬のイルミネーションも青いLEDを使ってるものとか見るのが好きです。実際青いイルミネーションってよくあるし人気な気がします。でもそれってよく考えてみるとなんか不思議じゃないですか? 白

        肌と布団(往復書簡18)

        マガジン

        • 照明(明かりと短歌)
          3本
        • 布団・毛布
          3本
        • 窓と短歌
          3本
        • 歌会録
          2本
        • 眠りと短歌
          3本
        • 家事の短歌
          2本

        記事

          青い光(往復書簡15)

          雨宮真由から見咲子さんへ坂中さんの照明を含めた「光」についての変遷の記事、面白く読みました。 そもそも〈和歌〉の時代はマジの自然光=「ひかり」だったんだよなあと、現代人の私はたまにびっくりします。 これを読んで思い出したんですけど、私が学生時代を過ごした街は首都機能の一部移転を目指して計画的につくられた都市だったんですね。で、街をつくるときに「真の闇というものを残して科学技術のありがたみがわかるようにしよう」という方針で、あえて明るいところと暗いところを作った、みたいな話

          青い光(往復書簡15)

          街の明かりが生まれるまで(往復書簡14)

          このnoteは雨宮真由、斎藤見咲子、坂中真魚による公開書簡シリーズの14通目です。今回から「照明」がテーマです。 坂中真魚から、雨宮さんへ窓の「隔てる」機能について、面白く読みました。 "一応は自分に関わりのないこととして考えて、いつまでも見つめていられる。" という部分、窓が好きな自分たちの「ずるさ」を知覚していることの潔さが心に残りました。 見咲子さんも窓は「調整役」だと書かれていて、現代住宅に不可欠な存在であることを再認識しました。 ”いいとこどりみたいな場所が窓辺

          街の明かりが生まれるまで(往復書簡14)

          やって来る、出てゆく(往復書簡13)

          このnoteは雨宮真由、斎藤見咲子、坂中真魚による公開書簡シリーズの13通目です。「窓」がテーマです。 前回の雨宮さんの手紙で、「どんな窓が好きか」と聞かれて、そういえばそんなふうに考えたことはなかったな、と思いました。 とにかくいっぱい空が見える窓が好きです。広くて大きくて、視野を空で満たすことができる感じの。 新しい駅ビルの、ビルとビルの間に架かっている歩道橋から眺める外の景色とか。(あなたにとっての新しい駅ビルを思い浮かべていただきたい) 窓枠に区切られた空はパズル

          やって来る、出てゆく(往復書簡13)

          私とあなたを隔てるもの(往復書簡12)

          (前回の坂中さんの書簡からの引用) なぜ短歌が好きになったのかなと考えたとき、短歌は窓に似ていると思いました。知らない人の目や耳や皮膚をとおした感覚が認知と言語で変換されて差し出されている。誰かの家に遊びにいくときみたいに空間が新しく構築される。 「短歌が窓に似ている」という話、とても興味深く読みました。確かに、人によって感覚の切り取り方が違うこと、そしてそれを覗くことができる、という点で窓みたいだなぁと思います。 雨宮から見咲子さんへ私にとって窓がどういうものか考えるに

          私とあなたを隔てるもの(往復書簡12)

          他人の窓が見たい (往復書簡11)

          このnoteは雨宮真由、斎藤見咲子、坂中真魚による公開書簡シリーズの11通目です。今回から「窓」がテーマです。 坂中真魚から、雨宮さんへ小学生のとき「プロフィール帳(プロフ帳)」って流行りませんでしたか? ひとり1枚ずつ書いてクラスメイトと交換する、自己紹介カードのようなものです。 調べたら今でもあるらしいです。すみっコぐらし柄とかで。 「いちばん好きなテレビ番組は?」という項目に「世界の車窓から」と答えたのを覚えています。渡したら相手に微妙な顔をされたので覚えている。

          他人の窓が見たい (往復書簡11)

          夜の廊下、昼の廊下

          このnoteは雨宮真由、斎藤見咲子、坂中真魚による公開書簡シリーズの10通目です。今回は「眠り」をテーマにしたリレーの最終回、坂中真魚から斎藤・雨宮への手紙です。 夜の廊下就職おめでとう!そして、お気に入りのアプリを教えてくれてありがとう。みさこちゃんがセイに出会えて本当に良かった。みさこちゃんがセイを感受できるくらい世界に対してひらいてくれて良かったと思います。 私は風呂嫌いを克服したくて「ふろ恋」というイケメン入浴コンシェルジュアプリを使ったことがあるのですが、長続き

          夜の廊下、昼の廊下

          入眠のための音楽・寝息

          このnoteは雨宮真由、斎藤見咲子、坂中真魚による公開書簡シリーズの9通目です。今回は「眠り」をテーマにリレーしていきます。 雨宮さん、お手紙ありがとうございます。 眠るのは好きです。たくさん寝れるとラッキーと思います。 私も眠ったまま目覚めなくていいと思っていたことがあるので、お手紙を読んでちょっと驚きました。 坂中さんへ お元気ですか? 私は最近、再就職してひさびさに仕事をしているので疲れています。 でも自分の働きがお金になるのはうれしいことです。 「眠り」をテーマ

          入眠のための音楽・寝息

          往復書簡8:眠りと死

          このnoteは雨宮真由、斎藤見咲子、坂中真魚による公開書簡シリーズの8通目です。今回は「眠り」をテーマにリレーしていきます。 見咲子さんへ見咲子さんは眠るの好きですか?私は多分好きなんだと思います。 平日はやりたいことがいろいろあってなんやかや少なくとも日付が変わるくらいまでは起きていて、朝は出勤の都合で6時には起きるので、さほど寝ぼすけってわけでもないと思いますが、休みの日とかほんと、時間と隙があればいくらでも眠れます。 眠ってる時間にできることはたくさんあるから、そ

          往復書簡8:眠りと死

          家事の連作へのコメント

          前回の連作に対して、3人が互いに他のメンバーの歌にコメントを書きました。 雨宮真由「普通の人生」へのコメント 斎藤見咲子より 鼻歌でも歌いながら皿を洗ってその後全部叩き割りたい/雨宮真由 一読して、「わ、わかる~」となりました。 なんだろう、あの皿洗いのむなしさというかいらだちというか。 料理のなかで一番めんどくさい行為が皿洗いなのでは? 1コマ目でふんふんふーん、と皿を洗って、 2コマ目でガシャーンガシャーンガシャーン!!!って叩き割る、 みたいな理不尽2コマ漫画のよ

          家事の連作へのコメント

          家事の連作

          このnoteは雨宮真由、斎藤見咲子、坂中真魚による公開書簡シリーズの8通目です。今回は「家事」をテーマにそれぞれ連作を編みました。 ごみ捨てる 斎藤見咲子にんじんの皮って食べたほうがいいらしいと思いつつ皮をむく 蛇口から思ったよりも水が出てあたり一面びしゃびしゃになる ななめから床を見てみる 足の裏のかたちの汚れがちゃんとついてる まだあまり乾いていない ベランダが狭くて横にしか動けない 冷蔵庫を開けたら果物しかなくて朝ごはんみたいな夕ごはん ないものを補充するこ

          寄せ書き「巧いと思う歌」

          このnoteは雨宮真由、斎藤見咲子、坂中真魚による公開書簡シリーズの8通目です。今回は「短歌と食べ物」から少し離れて、それぞれの思う「巧い歌」について考えました。 前回のnoteはこちら。 「良い/悪い」「好き/嫌い」などを超えるには「巧い」を磨くしかないのではないかという疑問の提示でした。 斎藤見咲子の「巧い歌」自販機は味方であろう万物が敵と味方に分かれたならば / 木村友「ピン・ポン」 『かばん』2020年7月号より引用 木村さん独自の考え方や世界観があって、それが

          寄せ書き「巧いと思う歌」

          往復書簡7 新しさ=懐かしさ

          このnoteは雨宮真由、斎藤見咲子、坂中真魚による公開書簡シリーズの7通目です。 坂中真魚 から斎藤見咲子 への手紙------------------------------------- 見咲子さん 「『今までにない視点』とは何か」という問題、私もよく考えます。 そして、短歌において必ずしも新規性は重要ではないーーなぜなら個人の体験はそれぞれ一回性のものだからーーという見咲子さんの立場に同意します。 私は新発売のアイスクリームが大好きだし、目新しいモノはなんでも試

          往復書簡7 新しさ=懐かしさ