やって来る、出てゆく(往復書簡13)
このnoteは雨宮真由、斎藤見咲子、坂中真魚による公開書簡シリーズの13通目です。「窓」がテーマです。
前回の雨宮さんの手紙で、「どんな窓が好きか」と聞かれて、そういえばそんなふうに考えたことはなかったな、と思いました。
とにかくいっぱい空が見える窓が好きです。広くて大きくて、視野を空で満たすことができる感じの。
新しい駅ビルの、ビルとビルの間に架かっている歩道橋から眺める外の景色とか。(あなたにとっての新しい駅ビルを思い浮かべていただきたい)
窓枠に区切られた空はパズルのピースみたいできれいだなと思います。
斎藤見咲子から坂中さんへの手紙
お元気ですか?
急に涼しくなったかと思えば暑く、でもやっぱり夜は冷えますね。
私はタオルケットを仕舞ってふとんを出してしまいました。
ちょっと早かったかもしれません。
窓からやってくるもの、窓から出てゆくもの、といえば何でしょう。
風です。(そうかな?)
風が入ってくる窓が好きです。窓から風が入ってくるとうれしくてたくさん呼吸したくなります。
秋になって、風がさわやかになってきて、ますますいい感じです。
風を感じるとうとうとと眠くなり、自分がなにかの植物になって葉を揺らされているような気持ちになります。
部屋の中にいたいときもあるし、外に出ていろんなものを浴びたいときもあります。その中間というか、いいとこどりみたいな場所が窓辺なのかな。外も見えるし、光も風も受け取れる。でも外に出ているわけじゃないから、過剰なものを受け取らずに済む。
外部からの、虫とか人とか雨とかの侵入を防ぎたい、でも光や風はとりこみたいという希望を叶えてくれる、それが窓なんだなと思います。
すべてを受け入れるわけにもいかないし、何も受け取らなかったら生きていけないし、そのへんを調整してくれるのが窓という存在なのかも。
そう考えると窓ってけっこう重要?
でもほかの設備(扉とか)も重要だし、窓だけが重要なわけじゃないか。
今、住んでいる部屋も、誰かが考えてくれてこのようになっているんだよなあとぼんやり思います。どこに窓をつくるかとか、部屋のかたちとか。
考えてくれてよかった。
でも網戸がぼろいから替えてほしいなあ、とも思います。これは管理会社に言わないとだけど。
とりとめがなくなってしまいました。このへんで終わらせます。
窓を閉め忘れたままで歌ったり閉めないままで眠ったりした/斎藤見咲子
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