マガジンのカバー画像

歴史本書評

67
オススメ歴史本の読書記録。日本史世界史ごちゃ混ぜです。
運営しているクリエイター

2022年5月の記事一覧

【書評】竹田いさみ『海の地政学』(中公新書)

【書評】竹田いさみ『海の地政学』(中公新書)

 国土を海に囲まれている日本にとって、海洋政策が重要であることは言うまでもありません。

 海は資源をもたらし、交通路として外国への窓口となります。海洋政策をめぐる歴史を学ぶことは、日本人にとっても有意義なはずです。

 本書は、大航海時代によってヨーロッパ人が世界に進出し、「海洋覇権」をめぐる争いが始まってからの400年の歴史をまとめています。

 スペイン・ポルトガルに始まり、覇権はオランダ、

もっとみる
【書評】乃至政彦『平将門と天慶の乱』(講談社現代新書)

【書評】乃至政彦『平将門と天慶の乱』(講談社現代新書)

 平安時代中期、関東地方で中央に反乱を起こした「逆賊」として知られる平将門。東京・大手町に残る首塚や怨霊伝説で有名です。

 一方、彼の生涯や人物像について知っている人はあまり多くないと思います。本書では、良質史料である『将門記』を中心に、平将門の実像に迫っています。

造られた怨霊伝説 本書の序章は、著名な「将門の祟り」を検証しています。
 戦後、GHQが首塚(将門塚)を壊して駐車場にしようとし

もっとみる
【書評】木村幹『誤解しないための日韓関係講義』(PHP新書)

【書評】木村幹『誤解しないための日韓関係講義』(PHP新書)

 日本と韓国の間には、歴史認識問題を始め多くの難題があります。「韓国崩壊」を見出しに掲げるウェブ記事や、書店に平積みにされる嫌韓本も今や見慣れたものとなりました。

 日韓関係はなぜここまで拗れてしまったのか。なぜ両国の国民の間ですれ違いが起きてしまうのか。これらの疑問に答えるのが本書です。

 著者は韓国政治の専門家ですが、学生の質問に答えて講義するという形式をとっており、丁寧でわかりやすい説明

もっとみる