夏目隆成

某ネット作家の3つ目の別アカウント。夏目は、明治の文豪、漱石にあやかったもの。いろいろ…

夏目隆成

某ネット作家の3つ目の別アカウント。夏目は、明治の文豪、漱石にあやかったもの。いろいろと書いていきます。今現在、長編連載小説『流刑地』を連載中。皆様、どうぞよろしく!

最近の記事

長編連載小説『流刑地』第133話。

 タクシーがホテルのある方向に走っていくと、あたしも、トルーニャも、寝ていて、気が付かなかった。熟睡してしまう。実際、ロシアのツンドラ気候は、冷える。タクシーが、ホテルの入り口に横付けされると、あたしたちは出て、建物へと歩いた。春でも、氷が溶け残っている。冷えるじゃ済まない。また、済むわけもない。ホテルに入ると、トルーニャが、 「ミチ、今夜はここに泊まってもらうけど、明日、寝坊しないように、気を付けてね」  と言ってきた。実際、あたしは、旅行などになると、目覚まし時計を3つぐ

    • 長編連載小説『流刑地』第132話。

       食事が済んで、レストランを出ると、外は寒い。あたしも、トルーニャも、疲労が出ていて、やってきたタクシーに乗り込むと、座席に凭れ掛かって、寝てしまった。でも、いい。あとは、この近辺を散策して、ホテルに戻るだけだ。確かに、あたしも、仕事はきつい。こんなロシアの地にやってきても、疲労感は抜けない。また、あたしたちにとって、疲れが出れば、遠慮なく、仕事をするのだ。実際、クタクタになる。1日が終われば、お風呂に入って、休む。実際、あたしも、トルーニャも、疲れていた。それが、勤め人の現

      • 長編連載小説『流刑地』第131話。

         ロシア人の食の豪快さは、あたしも知っている。食べるのだ。トルーニャも、レストランに行けば、次から次に、料理を頼む。あたしが、 「大丈夫?」  と訊くと、 「平気平気」  と返して、料理を頼み続ける。タクシーの外は、ツンドラだ。寒い。コートの襟を合わせないと、冷える。トルーニャが、 「ミチ、この通りを直進したところに、良いレストランがあるの。そこで、腹ごしらえしましょ」  と言った。さすがに、若い。食べる事に関しては、豪快だ。また、こういった寒い気候だと、食べない

        • 長編連載小説『流刑地』第130話。

           タクシーに乗り込んだ瞬間、お腹が減ったので、トルーニャに、 「何か食べない?」  と訊いてみると、金髪碧眼の少女が、 「オバサン、良いの?また、お腹出るよ」  と言って、笑う。小娘だ。あたしは、普通に接していて、トルーニャのこういったところに、活発さを感じる。実際、ロシア人は、食べるし、豪快だ。あたしも、そういった事が分かっていた。実際、不自然さはない。風土がそうなのだ。元々、食に関して、ある一定の豪快さがある。(以下次号)

        長編連載小説『流刑地』第133話。

          長編連載小説『流刑地』第129話。

           トルーニャは、買ったばかりのコートを羽織って、アウトレットを出ると、停まっていたタクシーに乗り込んだ。疲れていると思う。あたしも察した。お腹だって、減っているだろう。実際、ロシア人は、食べるのだ。あたしも、太っちょさんだけど、実際、食べないと持たない。ロシアは、風土が厳しい。風は冷たく、ツンドラが広がっている。実際、あたしたち日本人が来ても、難しいのだ。あたしも、タクシーに乗り込んだ瞬間、お腹が減った。空腹なのだった。(以下次号)

          長編連載小説『流刑地』第129話。

          長編連載小説『流刑地』第128話。

           たかが、ロシアのお金で数十ドル程度を出し惜しみしないところを見ると、トルーニャは、お金持ちだった。元々、使わないのだ。ロシア人が、金銭感覚に於いて、徹底しているのは分かる。実際、わずかなお金でも、出し惜しみしない。あたしは違う。叔父からお金をもらっていて、給付してもらっている。でも、それも、長くは続かないだろうと思った。実際、叔父だって、新しく、何かを出来る感じじゃないのだから……。また、それが、真相だった。(以下次号)

          長編連載小説『流刑地』第128話。

          長編連載小説『流刑地』第127話。

           トルーニャは、その場で回って見せて、 「ミチ、このコートにする。買うから」  と言って、レジへと向かった。アウトレットは、混雑している。辺りは人出が多い。あたしも、ある意味、こういった店は、難しいと思うのだ。実際、トルーニャは、やや躊躇いがちに、レジに行き、コートを差し出した。店員が、バーコードを押し当てる。すぐに精算され、コート代は、トルーニャがポケットマネーで出した。ほんの、ロシアのお金で、数十ドル程度だ。安い。実際、トルーニャだって、出し惜しみはしない。(以下次号

          長編連載小説『流刑地』第127話。

          長編連載小説『流刑地』第126話。

           トルーニャは、着ていたコートを翻し、ゆっくりと、あたしに、 「ミチ、似合う?」  と改めて、訊いてきた。 「うん、良いわよ。似合ってる」  あたしが即答すると、トルーニャが、 「そう?あたしは、痩せ体型だから、このコートが良いな」  と返し、ゆっくりと、その場で回って見せる。ロシア人の少女は可憐だ。また、愛嬌があって良い。あたしはそう思った。実際、寒冷地にいれば、自ずとそうなるのだ。寒い気候が、人を鍛える。(以下次号)

          長編連載小説『流刑地』第126話。

          長編連載小説『流刑地』第125話。

           アウトレットの天井の暖房機は、稼働し出した。辺りには、暖房が利き始める。寒いから、猶更、有難い。あたしも、着ていたコートの襟を締めた。寒さで、きついと思って、だ。トルーニャは、着たばかりのコートを、あたしにひけらかす様にしながら、ゆっくりと、辺りを見回す。天井の暖房機は稼働していた。暖房が利き始めると、辺りは仄かに暖かくなる。救いだった。ロシアは寒冷地だ。寒いから、猶更である。あたしも、品川オフィスでは、暖房を利かせて、何とか凌いでいる。それしか、冬の寒さを凌ぐ方法はない。

          長編連載小説『流刑地』第125話。

          長編連載小説『流刑地』第124話。

           トルーニャは、コートを羽織ると、ゆっくりと、あたしの方を見据え、 「どう?似合う?」  と訊いてきた。 「ええ、とっても」  あたしが頷き、ゆっくりと、アウトレットの天井へ目を移した。天井には、暖房機が付いている。実際、暖房が利けば、ここは過ごしやすい。あたしも思う。冷える時は、やはり、暖房だと。実際、ロシアは凍土だ。凍て付き、寒い。(以下次号)

          長編連載小説『流刑地』第124話。

          長編連載小説『流刑地』第123話。

           トルーニャは、コートの1つを手に取ると、品物を見始めた。実際、手付きが器用だ。ロシアは、寒い土地である。コートがないと、凌げない。実際、凍て付く。あたしは、トルーニャに、 「それ、羽織ってみてよ。似合うと思うわ」  と言った。 「そう?あたしが若いから?」 「うん。それもあるけど、ロシア人の体型には、そういったコートが良いと思うわ」  あたしは、ストレートにそう言った。実際、その通りだ。(以下次号)

          長編連載小説『流刑地』第123話。

          長編連載小説『流刑地』第122話。

           仕事も、学業もバリバリのトルーニャは、コートコーナーで、コートを見ながら、金髪碧眼の青い瞳を輝かせている。良い目だ。また、あたしも、この子の目が好きである。実際、全く濁ってない。ロシア人というのは、実際、こういった感じだ。惹かれる物がある。また、コートコーナーにいても、目が爛々と光っている。ロシア人特有の目だ。あたしは、この子が大好きなのだ。(以下次号)

          長編連載小説『流刑地』第122話。

          長編連載小説『流刑地』第121話。

           コートコーナーで、トルーニャは、コートを見始めた。いろんな種類がある。実際、トルーニャは、いろんな事を経て、今まで来ている。ロシアの金髪碧眼の少女は、実際、仕事に於いても、感心だった。しっかりと頑張る。あたしは、そういったロシア人の気質が好きだった。実際、この国の人間は、いろんな意味で、苦労もしてきているし、辛い事だってあるだろう。でも、良い。トルーニャは、今が良い。大学生だ。学業も仕事も、バリバリである。(以下次号)

          長編連載小説『流刑地』第121話。

          長編連載小説『流刑地』第120話。

           トルーニャは、アウトレットに着くと、履いていたヒールの踵をカツカツと打ち、整えてから、歩き出す。コートコーナーへと向かった。実際、この子は、活発だ。何も、難しい事を言わない。また、真面目だ。あたしは、この子が、全く躊躇いなく動いているのを見て、良いと思った。また、トルーニャは、仕事に来ていても、実際、真面目に働く。あたしは、そういった姿勢が、良いと思った。実際、無駄なく、頑張っている。これが、ロシア人の勤勉さの表れだ。(以下次号)

          長編連載小説『流刑地』第120話。

          長編連載小説『流刑地』第119話

           実際、活発なロシア人少女は、目が曇ってない。あたしはそう思っていて、実際、トルーニャが何も曇った考え方をしてないと思った。実際そうだ。大学に行きながら、オフィスに仕事に来ている。感心だった。別に、あたしも、トルーニャが若い事は、ある意味、武器だと思った。女子大生とか、元が若いわけであって、あたしは、何ら抵触なく付き合えている。存在が曇ってないのだ。また、あたしは、そんなトルーニャが好きだった。ある意味、ロシア全土は、そうやって回っている。(以下次号)

          長編連載小説『流刑地』第119話

          長編連載小説『流刑地』第118話。

           難しいお年頃の少女は、実際、あたしだって、難しいと思った。でも良い。トルーニャは、良く物事を弁えている。あたしは、ゆっくりと息を吐き、前を見据えた。トルーニャは、仕事も捗るけど、私生活も結構、豪勢なのだ。あたしには分かる。実際、この子は、シャツやジーンズ、コート類は何着も持っている。実際、ロシアの子たちは裕福なのだ。タクシー代だって、そう大きな負担じゃないだろう。実際、大学に通いながら、オフィスに来ているのだし、疲れだってするだろう。でも、この子は、いろんな意味で、活発な存

          長編連載小説『流刑地』第118話。