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長編連載小説『流刑地』第133話。

 タクシーがホテルのある方向に走っていくと、あたしも、トルーニャも、寝ていて、気が付かなかった。熟睡してしまう。実際、ロシアのツンドラ気候は、冷える。タクシーが、ホテルの入り口に横付けされると、あたしたちは出て、建物へと歩いた。春でも、氷が溶け残っている。冷えるじゃ済まない。また、済むわけもない。ホテルに入ると、トルーニャが、
「ミチ、今夜はここに泊まってもらうけど、明日、寝坊しないように、気を付けてね」
 と言ってきた。実際、あたしは、旅行などになると、目覚まし時計を3つぐらい持ってきていて、寝坊など、するわけがないのだ。朝は、血圧が高い分、早めに目が覚めてしまう。病院でもらっている睡眠導入剤も、効きが悪くなってきていた。(以下次号)

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