マガジンのカバー画像

legosigno

178
個人的な栞(しおり)として皆さまの作品をピン留めしております。ヒマなときに見てもらうと、ひょっとしておもしろいかも。
運営しているクリエイター

2021年4月の記事一覧

大人げのない文人たち

大人げのない文人たち

 文章が人格をあらわすとすれば、書き表したものは年相応の経験が反映されて然るべきだ。若書きという言葉があるように、若い頃は思いが表現に先行して筆が滑りがちになる。私自身、若いころは論理性のかけらもない、わけのわからない文章ばかり勢いで書いていた。若い芸術家であれば舌鋒鋭く、感性を思うがままにぶつけることができる。しかし、尖ったロックミュージシャンも、中年壮年になればたいがい、やさしく丸い音、愁いを

もっとみる
2018 小説の書き方本のすばらしい言葉を集めてみたよ

2018 小説の書き方本のすばらしい言葉を集めてみたよ

小説の書き方本のすばらしい言葉を集めてみたよ

 自分用の覚え書きなので、漢字やひらがな、送りがな等は正確ではありません

□書くことについて スティーヴン・キング 小学館文庫 2013年

怪物も、時と場合によっては、怪物でなくなる。人々はそこに美を見出し、ストーリーに恋するようになる。千ページ読んだあとでも、読者は作者がつくりだした世界を去りがたく、そこに生きる架空の人物と別れがたくなる。それ

もっとみる
「シュリンクス-誰も語らなかった精神医学の真実」の読書メモ

「シュリンクス-誰も語らなかった精神医学の真実」の読書メモ

キャプションの写真はフロイト先生のようです。アメリカ精神医学業界のこの100年くらいの歴史を記述した上記の本を読みました。一般向けの読みやすい内容ですが、なかなか面白くまた勉強になった事も多かったので、読書メモをまとめておきます。

●著者はDSM-5がローンチされた時にアメリカ精神医学会の会長をしており、DSM-5の編集にも関わった、精神科医・精神医学研究者。
●19世紀~20世紀前半までは、精

もっとみる
迷子

迷子

小さい頃、よく迷子になった。気付くと知らない街でひとり、ぽつんと取り残されていて、しばらくすると血相を変えた母が僕を探し当てるという、そんなことが多々あった。

その日も、デパートでパフェを食べようと言うのでうきうきしながら母の買物のうしろを歩いていたら迷子になった。突如として消える母。いきなり襲ってくる「世界」という怪物。僕は上から下まで階段を何度も行ったり来たりしては、それでも見付からず最後は

もっとみる

【ラジオRADIO】NEMURENU35th 解題と投票

(校正前の文章です。不手際あればこっそり教えて下さい。)

眠れぬ夜の奇妙なアンソロジー、「NEMURENU」です。
2021年4月号で第35集を迎えました。次回で三周年です。

眠れぬ夜の奇妙なアンソロジーは一つのテーマでnote記事をつなぎます。文芸、音楽、イラスト、写真。ジャンルはオールOK。新作・過去作問いません。自薦、他薦も問いません。お気軽にご参加ください。

35集のテーマは「ラジオ

もっとみる
邪悪な龍の子ども

邪悪な龍の子ども

 子どもの龍を拾った。たぶん、子どもなのだと思う。ひざに乗せられるくらいの大きさだし、目は大きくてつぶらで、全体的に丸っこくて愛らしい。龍と言えば見上げるくらい大きなものなのだと思うから、たぶんこれは子どもだ。もちろん、それがわたしの龍を見た最初だから、正確なところはわからない。その大きさで大人だという種類の龍の可能性だってある。
 雨の降る夜だった。わたしはアルバイト帰りで、クタクタで、コンビニ

もっとみる