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#2 ウクライナ軍事侵攻・ロシアの物資補給能力に?直近でみた米軍の凄まじさとは

ロシアによる今回の軍事侵攻はまさに情報戦です。ロシアの大部隊への補給がうまくいかず士気が落ちているのではないかなどの報道があります。たしかにロシア軍の何キロにも及ぶ長い車列などをみていると、この部隊への補給はなかなか難しいのではと素人ながらに思えます。

一方で状況は異なりますが、アメリカ軍の物資補給能力の高さを垣間見れる機会がありました。2010年2月、カリブ海の島国ハイチで大地震がありました。マグニチュード7の大地震、30万人以上がなくなる、もしくは行方不明になったといわれています。

当時僕はNY特派員でしたので、アメリカ人スタッフと共にただちにフロリダに飛んで、そこからアメリカの通信社がチャーターした飛行機に乗せてもらい現場に向かいました。当時、私たちが用意できたものといえば、NY支局のすぐ近くにあったスポーツ用品店で買ったTシャツなどの着替えのみ。ほぼ着の身着のままでした。

インフラを完全に掌握

現地についていざ取材をしようとしたら、まず驚かされたのはハイチの首都ポルトー・プランスの空港を米軍が完全に掌握していたということです。インフラを抑えないと物資の補給はできません。そして大型の輸送機ががんがん離着陸を繰り返して、がんがん米国本土から物資を送り込んでいました。

その空港からでて取材のため外に出てみたら、カオスでした。ほぼすべての建物が倒壊しているのではないか、という状況です。また、空港の出入り口はすべて米軍が管理・監視しています。ハイチ国民は脱出、もしくは米軍からの物資を求めて空港に大挙して押し寄せていましたが、米軍は誰1人空港には入れないようにしていました。これをみて、空港の外に出るのはかなり危険なのではないかと思いしばらく様子を見たのち、コーディネーターを雇って外へと出て行きました。

ただ、寝泊まりする場所がありません。

やはり空港が安全なのでは…と考えて、日中取材したあと空港に戻り、なんと大型輸送機が昼夜問わず離着陸を繰り返す滑走路脇の芝生の上に段ボールを敷いて野宿しました。

超大国・アメリカのネットワークとの大差

日本のテレビ局は海外ではなんの知名度もない、ただ5、6人でちょろちょろ動いている弱小局でしかありません。そうした僕らが、まるで戦地のような状況に陥っているカオスな現場に入っていったのです。

その一方で、アメリカのテレビ局はどうしていたかというと倒壊を免れたホテルを借り切っているという話を聞きました。そのホテルをみつけて交渉して私たちも部屋を分けてもらうことになったのですが、そこで目にしたのはアメリカのテレビ局もすさまじい物資補給能力を有していたということです。

入ってまず驚かされたのは、ミネラルウォーターの山。段ボールが堆く積まれていました。私たちは1本のペットボトルを手に入れることすら難しかったのに…一歩ホテルの塀の中に入ってみればペットボトルの山です。そして何より食べ物です。私たちは路上販売されていた干したバナナのようなものを食べて食いつないでいたのですが、彼らはバーベキューをしていました。ほんとにどこでもバーベキューするんだなと思ったのですが、ものすごく羨ましい光景でした。やはり「食」は士気に大きく影響を及ぼします。あれから10年がたったいまでもなお、バーベキューの肉の香りを思い出します。テレビの取材で行っている位だけでそう思うのだから、生き死にに関わる戦地ならばなおさらなのではないでしょうか。

私たちが平時にできることは何か…とにかく水を用意しておくことだと思います。水さえあればどうにかなります。でも水がなかったらなんにもできません。飲み水としてはもちろん、食事を作るのも、食器を洗うのもすべて水です。ハイチの人たちは、地震による断水の影響で、水不足に陥り、道路の側溝にたまった泥水の水たまりで服を洗っていました。僕の家では、必ずミネラルウォーターを10箱ストックしています。今一度、みなさんも「平時の備え」を見直してみてくださいね。

(voicy 2022年3月18日配信)


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