tokyostory
夏休みが終わったというのに、教室の中は蒸し風呂のような状態になっていた。 天気予報によるとピークは過ぎたが、まだまだ夏のような暑さが続くらしい。 「あぢぃー」 …
いつからだろう。夏の終わりを意識しなくなったのは。子供の頃は夏の終わりが寂しかった。毎日が自由で冒険に溢れ、活き活きとした生活の日々が終わり、学校へ行く日常に戻…
タカシが僕を連れ出したのは ちょうど梅雨が明けた日だった 僕はその日 ひどく落ち込んでいた 得意の鉄棒で失敗し クラスのみんなに笑われてしまったのだ みんなからしてみ…
雨の匂いがした気がして 窓を開けてみた 空には灰色の重たい雲が広がり 体に湿気が纏わりつくのを感じられた 雨は降っていなかった いや 降ってはいなかったが 干していた…
他人の人生に影響を与えるのが怖くなって 誰とも関わらずに生きていきたいと思った 自分の存在を否定するかのように 殻に閉じこもり 自ら創り上げた世界に逃げ込んだ でも…
太陽が いつか西の地平に沈むように 悲しみも いつか消えていくと思いたい 夕焼けが 一日のある瞬間にだけ現れるように 私の人生も ある瞬間は輝いていると思いたい 幻想的…
2021年9月25日 18:44
夏休みが終わったというのに、教室の中は蒸し風呂のような状態になっていた。天気予報によるとピークは過ぎたが、まだまだ夏のような暑さが続くらしい。「あぢぃー」声に出し教科書で体を扇いでみるが、生暖かい風が吹き付けられるだけだ。マスクを着けているから、暑いのは勘弁してもらいたい。教室の窓から外を見ていると、突然肩を叩かれた。振り返るとニヤニヤしたカズの顔が目の前にあった。「顔
2021年8月29日 14:16
夏の終わり
Mash
いつからだろう。夏の終わりを意識しなくなったのは。子供の頃は夏の終わりが寂しかった。毎日が自由で冒険に溢れ、活き活きとした生活の日々が終わり、学校へ行く日常に戻るのが僕の気持ちを沈み込ませた。特に夏休み後半の1週間は寂しくてしょうがなかった。カレンダーを見るたびに1ヶ月前に戻ってくれないかと、本気で何度も願ったものだ。そして最後には諦め、また来年の夏の始まりを待ち始めるのだった。夏休みの最後の日、
2021年8月2日 18:21
夏の航跡波
タカシが僕を連れ出したのは ちょうど梅雨が明けた日だった僕はその日 ひどく落ち込んでいた得意の鉄棒で失敗し クラスのみんなに笑われてしまったのだみんなからしてみれば 一度の失敗でしかないでも僕からしてみれば それは死刑宣告にも似たものだったまるで自分を中心に回っていた世界が 突如崩れ落ちて行くような僕はその日の残りを 恥ずかしさと絶望感を持ち過ごすことになったそんな学校の帰り 大し
2021年6月27日 13:05
紫陽花-ajisai-
雨の匂いがした気がして 窓を開けてみた空には灰色の重たい雲が広がり 体に湿気が纏わりつくのを感じられた雨は降っていなかったいや 降ってはいなかったが 干していた洗濯物は濡れていた僅かな時間だけ雨を降らせて 雨雲はどこかへ行ってしまったようだ思えばいつもそうだ僕は何かにつけて 大事なことに気付くのが遅すぎるもっと早く気付いていれば 解決していた問題があったかもしれない何度そのことを
2021年5月23日 19:57
Grow up the shadow
他人の人生に影響を与えるのが怖くなって誰とも関わらずに生きていきたいと思った自分の存在を否定するかのように殻に閉じこもり 自ら創り上げた世界に逃げ込んだでも結局 人と全く関わらずに生きていくことなどできないどんなに自分の存在を否定してもどんなに自分を違う世界へ送り込んだとしても人は場所を取り 食物を取り込み そして時の流れに流されていくそれは命あるものの宿命であり この宇宙の法則
2021年4月19日 17:39
あの日見た夕焼け
太陽が いつか西の地平に沈むように悲しみも いつか消えていくと思いたい夕焼けが 一日のある瞬間にだけ現れるように私の人生も ある瞬間は輝いていると思いたい幻想的な瞬間が あっという間に消えていくようにこの命の灯火も あっという間に燃え尽きてしまうそれでも私たちは 泣いたり笑ったり怒ったり地下から水が湧き出て来るように 感情を次々に生み出して生きているそう生きている 悲しみに襲