中村心太
幻想的な短編童話集です。
さぬき映画祭第4回シナリオコンクールで大賞を受賞した作品です。映画化され、さぬき映画祭2022で上映されました。
39地蔵寺·墓地(翌朝) 公子が先代住職の父の墓前に線香を供える。 公子「お父さん…私は私なりにこのお寺を一生懸命守ってきたつもりです。お父さんはいつも、世間にど…
34地蔵寺·境内(夕方) 掃き掃除をする灯。表情は虚ろである。カラスが灯の方を見てカアカアと鳴き、飛び去る。 ゴミをまとめてゴミ捨て場へ向かう途中、植え込みか…
23地蔵寺・外観(夕方) 夕日に染まる地蔵寺。 ゴーンと辺りに響く鐘の音。 24母屋・居間(夜) 席に着き、玄宗を待つ公子と灯。 玄宗、入って来てテーブルを見て…
11母屋·居間(夜) 公子と里見玄宗(60)が向かい合って夕飯を食べている。痩せた七面鳥のような玄宗、おかずをちまちまつついている。公子はテキパキと作業のようにご…
さぬき映画祭第4回シナリオコンクール大賞を受賞したシナリオです。 両親から虐待を受けて親戚の寺に引き取られた少女が、寺の地蔵に一日中話しかけている謎の男と出会う…
2022年7月17日 17:08
39地蔵寺·墓地(翌朝)公子が先代住職の父の墓前に線香を供える。公子「お父さん…私は私なりにこのお寺を一生懸命守ってきたつもりです。お父さんはいつも、世間にどう思われようと正しいことをしなさいって言ってたよね…。でも、私にはできなかった。耐えきれなかったの。どうしても、灯に……優しくできなかった。ねえ、お父さん、人の弱さは…罪なのでしょうか?」公子、肩を震わせて涙を流す。40同·境
2022年7月14日 21:39
34地蔵寺·境内(夕方) 掃き掃除をする灯。表情は虚ろである。カラスが灯の方を見てカアカアと鳴き、飛び去る。ゴミをまとめてゴミ捨て場へ向かう途中、植え込みから男の腰から下が生えているのを見つける。灯 「きゃっ!」 下半身はもぞもぞ動き、植え込みから地蔵調査官の上半身が出て来る。灯 「おじさん!そんなところで、何してるの?!」地蔵調査官「これは失礼しました、驚かせてしまっ
2022年7月13日 21:38
23地蔵寺・外観(夕方) 夕日に染まる地蔵寺。ゴーンと辺りに響く鐘の音。24母屋・居間(夜)席に着き、玄宗を待つ公子と灯。玄宗、入って来てテーブルを見て、玄宗「どうしたんだ、これは?」 テーブルには一人一つずつパンが置かれている。公子「どうもこうもないよ。うちの食料はあの物乞い坊主が全部食っちまったよ!」玄宗「…冗談はよしなさい」公子「冗談でもなんでもな
2022年7月11日 21:44
11母屋·居間(夜) 公子と里見玄宗(60)が向かい合って夕飯を食べている。痩せた七面鳥のような玄宗、おかずをちまちまつついている。公子はテキパキと作業のようにご飯を口に運ぶ。灯、入って来て、灯 「公子さん、掃除終わりました」公子「そうかい」灯 「あのー、私の…」灯の席には食事が用意されていない。公子「…あんた、あの気ぐるいと話してただろ?」灯 「……」公子「
2022年7月10日 22:54
さぬき映画祭第4回シナリオコンクール大賞を受賞したシナリオです。両親から虐待を受けて親戚の寺に引き取られた少女が、寺の地蔵に一日中話しかけている謎の男と出会うお話です。映画化され、さぬき映画祭2022で上映されました。1闇の中 シャン…シャン…シャン…という音が一定のリズムで響く。2地蔵寺 香川県高松市にある地蔵寺の参道にて。笠を被り白装束の行者が錫杖を突いて歩いてくる