【レビュー】『納得感のある0‐0』~第16節Vファーレン長崎VSファジアーノ岡山~

試合結果

2023 J2 第16節
5/17 19:03K.O. @トランスコスモススタジアム長崎
長崎(0‐0)岡山

スタメン

マッチレポート

互いに最後の精度を欠いたスコアレスドロー

ともに3試合ぶりの勝利を目指した長崎と岡山。互いに志向する形からチャンスを作ったものの、最後の精度が上がり切らずにスコアレスドローに終わった。

2連敗中の長崎は、前節から先発5選手を変更。宮城がSHで8試合ぶりに先発を飾り、最前線には8得点のフアンマ・デルガドが復帰した。

2試合連続で引き分けが続く岡山も前節から先発5選手を変更し、GKと左SBに堀田と鈴木が復帰する中、2トップにはルカオとステファン・ムークが入った。

キックオフを迎えると、アウェイチームが連動したプレスを仕掛けた。2トップが中盤の底に立つ鍬先をケアしながら相手最終ラインに寄せ、サイドに追い込んでいく。敵陣でSHがボールを奪い、そこからのショートカウンターでゴールに向かう。28分、高木のボール奪取から、ルカオがミドルシュートを放つも、GKの正面に飛んだ。38分にはムークとのワンツーで中央を突破した田中がPA手前から右足を振り抜く。しかし、シュートは枠を逸れた。

ホームチームは、ボール保持時にシステムを[3-4-2-1]に変化させ、幅を使った攻撃を展開する。右サイドはSBの増山が高い位置を取り、左サイドはSHの宮城が張り出すと、両サイドへのロングボールで岡山のプレスを回避してゴールに迫った。宮城が左サイドを突破していく中、右サイドからも増山のクロスでチャンスを作る。41分はフアンマ、44分には宮城が頭で合わせるも、どちらも枠を捉えることができなかった。

スコアレスで迎えた後半は、両チームが積極的に選手交代をおこなって、攻撃のスピードアップを図る。長崎が58分にクリスティアーノ、66分にクレイソンと都倉を投入し、岡山は59分にチアゴ・アウベス、69分に櫻川と高橋諒を加えた。オープンな展開になる中で、それぞれの途中出場の選手が持ち味を発揮してチャンスを作り出すも、ゴール前での精度が上がり切らない。勝敗を分ける1点が最後まで生まれないままタイムアップの笛が鳴った。

岡山は連動したプレスからのショートカウンターで、長崎は突破力のある選手を生かしたサイド攻撃で少なくないチャンスを作った。しかし、互いにラストパスとシュートの精度を欠き、高い集中力を発揮した守備陣を崩すこともできなかった。納得感のある0‐0で岡山は3試合連続の引き分けとなり、長崎は連敗を『2』でストップさせた。

コラム

良い守備から良い攻撃が生み出す好循環

今節の結果を受けて、岡山は3試合連続の引き分けとなった。16試合を終えて引き分けの数は11試合。今季のリーグ最多であり、早くも昨季の12引き分けに迫る勢いだ。今節も勝ち切れないもどかしさを感じる結果になったが、収穫もあった。それは、良い守備から良い攻撃が好循環を生み出すということだ。

ルカオとステファン・ムークの2トップでスタートした今節は、連動したプレスからチャンスを作り出した。彼らが縦関係になり、長崎のビルドアップの舵取り役を担う鍬先をケアしながら、相手の最終ラインにプレッシャーを掛けていく。勢いに任せた単発的なものではなく、どちらか一方が鍬先をマークできたことを確認してから、もう一人がプレスのスイッチを入れていた。2トップが首を振って自分の後ろの状況を確認する姿が印象的だった。そしてサイドに誘導すると、SHが素早くアプローチしてボール奪取を狙う。その形からショートカウンターを発動させ、ミドルシュートでゴールを脅かした。

個人に目を向けても、連動したプレスでリズムを掴むことができた。特にプレスのスイッチを入れるルカオとムークは、攻撃でも持ち味を発揮。ルカオはポストプレーとスペースを突くランニングプレーを使い分け、ムークは中央の狭いエリアでパスワークのテンポを上げるだけでなく、サイドに流れて深さを作った。良い守備から良い攻撃がチームとしても、個人としても力を発揮することにつながっている。

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