【レビュー】『金山の好守が何度もピンチを救うも敗退』~天皇杯2回戦ファジアーノ岡山VS栃木SC~

マッチレポート

GK金山が好守連発するも、栃木に敗戦

メンバーを大幅に入れ替えて天皇杯2回戦に臨んだ岡山は苦戦を強いられた。

岡山は立ち上がりからチームとしてビルドアップにトライした。しかし、栃木の圧力を受けて効果的に敵陣に入っていくことができずにいると、攻め込まれてしまう。30分には松岡が右サイドから切れ込んで左足で鋭いシュートを放ったが、GK金山がしのいだ。

4試合ぶりの出場となった背番号13は結果を求めてゴールマウスの前に立った。この試合ではボランチでプロデビューを飾った杉山をはじめ、今季公式戦初出場の選手が先発入り。その中で、主将として、ベテランとしてチームを引っ張っていこうと試合に臨んだGK金山がチームを救うファインセーブを連発する。

後半に入っても栃木が攻める展開が続き、49分にはクロスから小堀にヘディングシュートを打たれたが、GK金山が横っ飛びで掻き出す。なかなかうまくいかない時間を過ごしたが、GK金山を中心に我慢強く守り続けると、60分にCKから白井がファーでシュートを放つ決定機が訪れる。シュートは枠を越えていきチャンスを仕留めきれなかった岡山は、その直後に絶対絶命のピンチを迎える。61分に五十嵐が右サイドを駆け上がってクロス。これを西谷がPA中央でコントロールし、フリーでシュートを放った。しかし、ここでもGK金山が立ちはだかる。背番号13は懸命に左足を伸ばして、シュートを弾き出した。さらに75分にも磯村にミドルシュートを許すも、GK金山がキャッチし、栃木にゴールを割らせない。

GK金山が連続した好セーブで、チームをピンチから救ってきたが、勝つことはできなかった。87分、左サイドからのクロスに途中出場のトカチがうまく左足を合わせる。シュートはGK金山の届かないコースに飛び、ネットを揺らした。

最後まで栃木の攻撃に抵抗し続けたGK金山だったが、無失点に抑えてチームを勝たせるという自身が求めていた結果を残すことはできない悔しい試合になった。また、最後尾から味方を奮い立たせる声かけをするも、状況は好転せず。出場機会の少ない選手たちで挑んだ試合に勝利して、チームを勢い付かせたかったが、それもできなかった。しかし、金山が気合の入ったセービングでピンチを救い続けたことは、リーグ戦へのアピールになっただろう。


コラム

プロデビューを飾った杉山耕二がお辞儀で示した感謝の気持ち

背番号50はスタンドに深々とお辞儀をし、プロのピッチに足を踏み入れた。

杉山耕二は東京ユナイテッドFC(関東リーグ)から完全移籍という形で今季からファジアーノ岡山に加入した異色の経歴の持ち主である。早稲田大学サッカー部に在籍し、4年次は腕章を巻いてプレー。プロサッカー選手を目指していたが、コロナ禍によってサッカー部が活動を自粛すると、当時具体的なオファーが無かったため、就職活動を始める。そして卒業後は内定をもらった一般企業に就職した。

企業人として4か月間を過ごす中で、現実と理想のギャップを感じた杉山はもう一度プロサッカー選手を目指す。東京ユナイテッドFCに所属してブランクを取り戻すべくサッカーに打ち込むと、練習参加を経て岡山に加入。プロサッカー選手になるという夢を掴み取った。

企業人からプロサッカー選手になるにあたり、強い覚悟を持ち大きな決断を下しただろう。その過程では多くの方の支えや理解があったに違いない。杉山のプロデビュー戦は感謝の気持ちを表すスタンドへの深いおじぎで幕を開けた。

初めてのプロの試合はチームとしても苦しい状況が続いた。さらに不慣れなボランチでのプレーにも関らず果敢にビルドアップにトライし、球際では体をぶつけて激しく戦った。76分に足をつってピッチをあとにすると、またもスタンドに深々と頭を下げた。常に感謝の気持ちを忘れない背番号50はプロ選手としてどんな道を歩んでいくのだろうか。

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