【プレビュー】『役割と特長』~第20節ファジアーノ岡山VS東京ヴェルディ~

マッチプレビュー

競争高まる岡山。守備に求めるのは、信頼か、機動力か。

岡山はチーム内の競争が高まる中で、3位の東京Vをシティライトスタジアムに迎え撃つ。

前節の徳島戦はヨルディ・バイスを欠く中で3バックを選択。本山、柳、鈴木の組み合わせは初めてだったが、頻繁にコミュニケーションを取ってマークの受け渡しを徹底し、それぞれが強みを出して無失点を達成した。また、後ろが安定したことにより、プレスの強度を高めて徳島のビルドアップを阻害し、ロングカウンターから2点を奪って勝利。システム変更は選手を複雑なタスクから解き放ち、個人の特長を引き出し、90分を通してチームの力の最大値を出すことができた。

[3-5-2]のシステムは、7日におこなわれた北九州との天皇杯2回戦でも採用され、ヨルディ・バイスがCBの真ん中で先発し、U-20W杯を戦った佐野と坂本も後半途中からプレーした。そのため、東京Vと対戦する今節も[3-5-2]を基本布陣になることが予想され、徳島戦で好プレーを見せた選手と今節からリーグ戦に復帰する選手のポジション争いは注目の一つになる。

最大の焦点はCB。本山か、バイスか。東京Vの前線はスピードがあってスペースを突く動きが得意な河村、切れ味鋭いドリブル突破が持ち味のバスケス・バイロンが出場している。バイスは木山監督から信頼されており、優れた状況判断や相手の攻撃を跳ね返す力強さで屋台骨を支えることができる選手だ。ただ、機動力を担保する意味でも本山の起用は魅力的な選択肢だ。背番号15は昨年のアウェイ・東京V戦で失点に関与して涙を流した。前節の活躍を評価されて2試合連続で先発に選ばれれば、昨年の悔しさを払しょくするためにも奮起するはず。信頼か、機動力か。指揮官はどちらをセレクトするのか。

コラム

役割分担で勝利に導くFW陣

直近の試合では自分たちの戦い方と相手の戦い方を踏まえて、2トップの人選を変更して臨んでいる。相手のビルドアップを阻害していきたいときは、ルカオとステファン・ムーク。スペースを突いて得点を奪いたいときは、チアゴ・アウベスと櫻川の組み合わせ。序列を設定するのではなく、試合ごとに2トップに求める役割があり、それに適した特長を持つ選手を起用している印象だ。

得点を取ってチームを勝利に導きたいFWの選手にとって、より長くプレーできる先発出場を望む思いはあるだろう。チアゴは練習でも試合でも得点を取ること第一に考え、ルカオは移籍後初得点を渇望し、ムークは結果を残すことが絶対的な地位を築くと信じて取り組み、櫻川は自分の得点でチームを勝たせたいと強く思っている。

FWとしてのエゴを持つ中で、誰も不満を表すことなく力を発揮できているのは、特長を出しやすい状況と明確な役割を与えられているから。今節に対戦する東京Ⅴは19試合で11失点と守備が堅いが、岡山は2トップの選手が与えられた役割を全うし、4人の力でゴールをこじ開ける。


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