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本と珈琲さえあれば

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読書感想文です。
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記事一覧

【読書記録】そして勝利のQ.E.D

【読書記録】そして勝利のQ.E.D

 定期的に自己啓発本を読むことで、チューニングと軌道修正を図るようにしている。基本的に、自己啓発本に目新しいことが書いてあることはない(高倉が選ぶ本に偏りがある所為かもしれないが……)けれど、同じことを別の人の言葉で摂取することで新たな発見を得ることもある。
 ゲイリー・ジョン・ビショップ著「あなたはあなたが使っている言葉でできている」を手に取ったのもこの一環だ。

 言葉によって自分の思考を支配

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【読書記録】カラスがいる世界しか

【読書記録】カラスがいる世界しか

  松原始著「もしも世界からカラスが消えたら」を読んだ。

 カラスが結構なトラブルメーカーだということは知っている。奴らはゴミを漁るし、鳴き声はカアカアうるさいし、フンは落とすし、繁殖期には人を襲うくらい狂暴化する。以前移動無線基地局関連の作業をしていた頃は、「アンテナにカラスが巣を作っていて、作業ができません」という報告を受けたこともある。
 この本では、カラスが消えた場合その穴を誰かが埋め得

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【本棚紹介】こういう本が好きだということ

【本棚紹介】こういう本が好きだということ

 部屋に心理が現れ、棚に性格が滲むのであれば、本棚には性癖がまろびでるのではないでしょうか。本棚を晒すことは、或いは裸を晒すくらい恥ずかしいことなのかもしれません。
 そんなわけで、今日は眞木高倉の本棚紹介です。note企画「春の連続投稿」のお題に #わたしの本棚 があるので、つまりこれは裸祭りですよね。みんなで脱ぐなら怖くありません。

 高倉の部屋には棚が二本置いてあって、本はそれぞれの棚に分

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【読書記録】賢者と英雄

【読書記録】賢者と英雄

 嘆かわしいことに、知は不可逆である。本は、一度読んでしまうと読む前の自分にはもう戻れない。再読の楽しみもあるけれど、何も知らないまっさらな状態から読む鮮烈な衝撃には代えられない。
 アンディ・ウィアー著「プロジェクト・ヘイル・メアリー」は、頭をぶん殴って記憶を消してからもう一度読みたい一冊だ。

 以下、ネタバレです。未読の人は本当に本当に読まない方が良いです。本当です。この本は絶対事前情報ゼロ

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【読書記録】メルカトル鮎に解けない謎はない

【読書記録】メルカトル鮎に解けない謎はない

 麻耶雄嵩著「メルカトルと美袋のための殺人」を読んだ。

 探偵は往々にして人格に難を抱えているが、メルカトル鮎は難が探偵の服を着ているようだった。読みながら「メルてめぇ~~~~~~!!!!最悪か~~~~!?!?」って百回言った。助手の美袋三条も、常識人みたいな顔をしているが結構な駄目で、奇人メルカトル鮎に大変お似合いだ。
 これは短編集で、どの物語でも倫理が欠如したメルカトル鮎が拝めて大変楽しい

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【読書記録】世界を変える善行

【読書記録】世界を変える善行

 マーク・レクラウ著「習慣を変えれば人生が変わる」を手に取ったきっかけは至極単純で、高倉がクソみたいな生活習慣の中にいることを自覚ているからだ。さらに、最近追加でクソみたいな行動を毎日毎日取っていて、これ以上生活習慣がクソゴミクズになっていくのを阻止したかった。
 高倉は自堕落に自堕落を重ねた結果、InstagramやTwitterで世間の怒りや不条理に精神をすり減らし、二言目には悪口が出る人間に

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【読書記録】きっと石板が立っている

【読書記録】きっと石板が立っている

 高倉のバイブル、近藤康太郎先生「三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾」の一節だが、高倉はこの意味がいまひとつ分かっていなかった。インターネットには集合知がある。奇想天外は存外そういうところに落ちているのではないか。
 しかし、寺田寅彦先生の「知と疑い」を読んで考えを改めた。

 もっと早くこの一文に出会いたかった。最近になってやっと寺田寅彦先生の名前を知ったという浅学を恥じ入る。

 情報が

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【読書記録】Hurt people hurt people.

【読書記録】Hurt people hurt people.

 鋼の自己肯定感を得られる本がAmazon Prime 会員読み放題対象になっていたので読んでみた。世の中、自己肯定感は高い方が何かと過ごしやすいらしい。無料で鋼の強度にできるならば、それに越したことはないだろう。

 自己肯定感とは、自己の有様を肯定できる力。自分の好きな部分も嫌いな部分も、すべて愛するべき自分なのだと受け入れること。何があっても一番に自分を愛することこそが、状況に左右されない、

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【小説紹介】背骨も肺もある不幸

【小説紹介】背骨も肺もある不幸

 小説は刺激物である。綴られた活字はしばしば頭蓋骨を貫通して、脳を熱し、溶かし、完膚なきまでに叩きのめす。そして質が悪いことに、中毒性がある。高倉は小説からしか得られないこの刺激を愛している。
 しかし、しかしだ。それにしたって刺激が強すぎやしません!?と叫びだしたくなる本がある。否、叫ぼうにも叫ぶ膂力すら奪われて、立ち直るにかなりの時間を要した本だ。表紙を見るだけで沈痛な溜息が漏れる。
 そんな

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【読書記録】撃鉄を起こして、ばん

【読書記録】撃鉄を起こして、ばん

 朝日新聞記者、近藤康太郎氏の著書「三行で撃つ 〈善く、生きる〉ための文章塾」からの抜粋である。
 良著だった。以降高倉はこれをバイブルよろしく参照し続けるだろう。

 この本を手に取ったきっかけは単純、文章が上手くなりたかったからだ。
 noteで偶然見かけた、「最初の一行で殴りにくるようなエッセイじゃないと読む気がしないんだよな」という何処かの誰かの呟きが、高倉のエッセイに向けられた一言のよう

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【小説紹介】秋の夜長のお供は

【小説紹介】秋の夜長のお供は

みなさ~~ん!!Kindle 本大型セール開催中ですよ~~~~!!

 最大50% OFFであらゆる本が手に入ってしまう恐ろしいセール。本を積むには良い日和ですね。これを機に手に入れたかった本、気になっていた本、気になっちゃった本をどんどん積んで参りましょう。高倉はすでに数冊積みました。
 今回は9/30 時点でセール対象になっている本のうち、高倉が気になっている本、高倉が好きな本を紹介しようと思

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