甲賀護身の会

滋賀県湖南市で武術の稽古会をしております。とくに秘武器と呼ばれる武器類が専門です。15…

甲賀護身の会

滋賀県湖南市で武術の稽古会をしております。とくに秘武器と呼ばれる武器類が専門です。150cmの鎖分銅を使います。

最近の記事

創作、迷走、鎖分銅。

ここ半年ほど、自作で、武術で使う鎖分銅を作っている。当初、アイボルトという穴の空いたボルトに、焼き入れしたs45c(鉄に0.45%の炭素が入っている鋼鉄)のナットを取り付けて、アイボルトの穴に鎖を繋いで作っていた。 分銅が鎖の中間にもついている三連式鎖分銅というものである。 これが三連式鎖分銅である。 焼き入れしたs45cのナットなのであるが、中央の高ナットが生地でメッキがされていなかったため、他のナットも生地にするために、一度、トイレ掃除用洗剤のサンポールで全部のナットを

    • 印地打ちについて。

      印地打ち、一般では聞き慣れない言葉だが立派な武術、投擲(とうてき)武術である。 投擲武術には棒手裏剣なども含まれるし、ダガーナイフなどの投げナイフも投擲武術である。場合によっては脇差し、家庭内の包丁、カッター、ハサミなども、立派な投擲武術になりうるのだ。 だが印地打ちはもっと簡単に手に入る、小石が主な武器となる。専門的に言えば、石礫(いしつぶて)だ。または事前に用意した殺傷力を意図的に上げた鉄礫(てつつぶて)が印地打ちには用入られる。 古来、平安時代頃から、1月の正月と5月の

      • 玄翁術。

        今回、紹介するものは、武術家である私の創作武術にして秘中の秘、「玄翁術」である。 玄翁とはそもそも、両面が叩けるトンカチのことである。通常、平たい面で叩き、最後、木材に叩き込ませる(食い込ませる)ときに、後端の盛り上がっている面で叩く。であるが、写真の私が持つような200匁(750g)のような大型の玄翁は、ノミの尻を叩くものなので、釘を打ったりはしない。 ここで、私の玄翁の紹介をしたい。 私の玄翁は200匁(750g)の菱貫玄翁の今井金物店特別仕様である。 菱貫玄翁とは、

        • 手の内、鍛練棒“金剛鉭”。

          私が素手でも使えるし、武器術でも使えると、日頃からやっている手の内の鍛練を紹介したい。 実際これで、鎖分銅のコントロールが格段に上手くなったし、姿勢鍛練でも身体のバランスが良くなった。 基本的に、私の剣術の師匠が考案した、「浮き握り」と「獅子畳み」という手形を使う。今回の画像の真ん中と左端のものだ。「浮き握り」は、武術雑誌の秘伝の2019年10月号でも、私の師匠が出て紹介された。 順番では、まず強い体幹力を引き出せることで「獅子畳み」が開発され、次に空手の三戦での体幹力を引

        創作、迷走、鎖分銅。

          肩の0ポジション。

          通常バラバラである腕と肩と肩甲骨の関係性で、まとまりが出て一つに使える位置関係に、肩の0ポジションというものがある。元はインドの整形外科医が提唱した言葉で、肩甲骨と上腕骨の向きを揃えることである。 肩甲骨の出っぱりの肩甲棘と上腕骨のジョイント部分を一直線に揃えるのがコツだ。 この肩の0ポジション、医学界の次に採用したのが野球界である。ピッチャーの肩の故障を防ごうというのだ。とくにピッチャーの負担が大きい高校野球で積極的に取り入れられている。 こういう背景から私は、肩の0ポジ

          肩の0ポジション。

          双対打ち(そうついうち)。

          私がやっている萎えし術で、新たに「双対打ち」というものを考案した。自分で一種の入れ替え打ちかとも思ったが、通常、杖などを入れ替えで打つときは両手をそえて、体も一重身から一重身へと、全身で打つ。だが考案した「双対打ち」は、片手でバトンの中心を持ってクルクル回す要領で、棒の中心ではなく手前3分の1ぐらいの場所を持ち、バトンを回すように入れ替えて打つやり方だ。 私の経験上、蔵書の参考文献、またはネットでの検索、などで類似の打ち方を探ってみたのだが、似たものが無かったので、私が代表の

          双対打ち(そうついうち)。

          行住坐臥。

          「行住坐臥」とは、「立っているときも座っているときも行いのすべてが修行である」という意味…だったと思う(汗)。 なぜこの言葉が頭によぎったのかというと、私の武術の考え方が、少し深くなったからだ。 ある私の秘武器術の師の言葉だが、「マジシャン(奇術師)のように稽古をしないと一生かかってもモノにはならない」という。どういうことか? マジシャンという人種は、人に手品を見せる予定がないときも、ネタを仕込んで持ち歩いているそうだ。当然、隠し持っているということだろう。 武芸百般の秘武器

          金剛角力立禅。

          私は、甲賀護身の会の講師という立場で、秘武器錬成会と金剛角力会の代表、それと剣技斬流会の副代表を務めている。剣技斬流会は剣術とステッキ術、秘武器錬成会は剣とステッキ以外の雑多な武器術、金剛角力会は素手の体術という分け方だ。金剛角力会の“金剛”は、「剛よく柔を断つ」をイメージしている。 そして今回は、その金剛角力会の基本鍛練に、「金剛角力立禅」というものが出来た話をしたい。 金剛角力会はその名の通り、角力=相撲、の基本鍛練を重んじている。西洋のトレーニングや大陸的な鍛練ではダ

          金剛角力立禅。

          親衛隊名誉リング。

          私が常に左手の薬指に着けているリングの話だが、ナチスドイツの親衛隊名誉リングである。これは1934年にナチ党親衛隊長ハインリヒ・ヒムラーによって定められた。 せっかくだからWikipediaに載っていない情報として、デザインがミュンヘンのジュエラーが手掛けたものである。人間の頭蓋骨の後ろで大腿骨?がクロスしているデザインで、よく「毒」を表す絵だったり、アニメなどで爆発あとのキノコ雲の代わりにこの頭蓋骨とクロスする大腿骨の絵がイメージであったりする。要するに「死」のイメージだ。

          親衛隊名誉リング。

          不動の姿勢について。

          最近、鍛練姿勢を行う直前の準備姿勢において、気をつけ、つまり不動の姿勢を取り入れている。別に精神の精強性を目指したり、見た目にこだわっているわけではない。あくまでも合理的に、スムーズに運動に移れる準備姿勢として、不動の姿勢が最適だと思ったのだ。 武道を私はやってはいないが、私のやっている日本武術や中国武術にも、起勢に通じる開門式で不動の姿勢を取ったりする。もともと所詮は礼式だろうと無視をしていたが、今は、「古来、即、命に関わる世界で、そんな無駄な姿勢を取るだろうか?」と思って

          不動の姿勢について。

          単え身での萎えし術。

          「単え身」という身体操作は、体幹をねじらないことが旨で、体幹を完全に横に向ける「一重身」とは違い、体は正面を向いている。これで萎えし術をしてみた。 通常、フォアハンドでの打ちの場合、内旋している右足が前に出るが、「単え身」では右側の骨盤の大転子が前に押し出されるため、逆の外旋している左足が前に出る。ちょうど、両足の踵とつま先で直角をつくるような感じだ。両腕両脚の四肢を外旋させながら足を踏み換えると、こうなる。 この踏み換え、フォアハンドでもバックハンドでも、打つ瞬間に踏み換え

          単え身での萎えし術。

          単え身による足さばき。

          「単え身(ひとえみ)」という身体操作がある。現代では「一重身」と書き、それに伴ってか、身体操作も変わっている。「単え」とは「単衣」とも書き、平安時代の部屋着である。 現代の「一重身」では、文字通り、体を一直線に揃えることを言う。敵法から見て、真横を向くような姿勢となる。 古来の「単え身」は、体幹をねじらないことを言う。こう言うと、現代の「一重身」も「単え身」の範疇のように思うが、私も何度も検証してみたのだが、体幹と脚の関係ではなく、体幹と脚の付け根である大転子、大腿骨頭が同調

          単え身による足さばき。

          「斫」と「切掌」について。

          「斫」は「シャク」と読む。コンクリートを人力で削ることを「ハツリ」と言うが、この「斫」という漢字があてられ、「斫り」で「ハツリ」と読んだりする。 対して武術には「切掌」という技がある。これが古くは「斫」と呼ばれていた。 今回の画像であるが、太極拳の「高探馬(こうたんま)」である。この「切掌」の用法がまさに「斫」になる。 「斫」はチョップに似ているが別物であり、相手の首や脇に滑り込ませながら打つ。 「高探馬」は私の得意技であるが、長年、レベルアップが頭打ちになっていた。今

          「斫」と「切掌」について。

          倒木法について。

          私がこれまでに武術で驚嘆し、感動したことが一度だけある。他のことは知識で予測ができたようなことばかりで、ことさら、驚嘆や感動というものではない。 さきに言ってしまえば、「倒木法(とうぼくほう)」のことなのだが、この「倒木法」という言葉は、そのことを知ったあとに知ったことで、ああ、あれは「倒木法」というのだったのだな、と分かった。 「倒木法」というもの自体は、珍しい技術ではない。単に、前方へ倒れる自然の力を利用した攻撃で、少々ウデのある者なら誰でもやっていることである。 では、

          倒木法について。

          外旋同側型と、内旋交差型。

          今週、一週間、腰割りと三戦で、どちらを鍛練の主軸にしていくか? で、ずっと悩んでいた。結論からいうと、「自分がしたいこと」と「自分に合ったこと」は、まったく違うということだ。 半年前に剣術の師匠から教わった、足を内旋させる立ち方と、長年追い求めてきた「首里三戦」に共通点があることを知り、頑張ってきたが、いわゆる適性がなかったようで、諦めた。ただ、なぜダメだったのか? を見直してみた。 要するに、四肢を外旋するか内旋するかで、様子が変わる。 「外旋同側型」と「内旋交差型」とし

          外旋同側型と、内旋交差型。

          腰割三戦。

          数年前のことだが、脚を外旋させる腰割りと、上半身を圧縮させる三戦とを組み合わせた、「腰割三戦」というのを考案した。 腰割りといっても腰の高い、足幅の狭い、腰割りである。これは書籍、白木仁著「腰割りで体が若返る」に記載されている腰割りを元に採用している。 私が腰割りにこだわるのは、歩くとき、しゃがむとき、すべての脚の動作に外旋が含まれており、底面積が広くとれることである。さらに日本人は大陸人よりも西洋人よりも、股関節の可動域が広いことがある。 私はこの「腰割三戦」で姿勢を取