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手の内、鍛練棒“金剛鉭”。

私が素手でも使えるし、武器術でも使えると、日頃からやっている手の内の鍛練を紹介したい。
実際これで、鎖分銅のコントロールが格段に上手くなったし、姿勢鍛練でも身体のバランスが良くなった。

基本的に、私の剣術の師匠が考案した、「浮き握り」と「獅子畳み」という手形を使う。今回の画像の真ん中と左端のものだ。「浮き握り」は、武術雑誌の秘伝の2019年10月号でも、私の師匠が出て紹介された。
順番では、まず強い体幹力を引き出せることで「獅子畳み」が開発され、次に空手の三戦での体幹力を引き上げる経緯で、「浮き握り」が考案された。そして「浮き握り」から「獅子畳み」の手形に移行するときに発する力を利用することを「獅子流し」という。
だが、もっぱら、「浮き握り」のメリットが良すぎて、私の師匠は「浮き握り」一本で終始することが多くなり、世間に公表したのも「浮き握り」だけで、「獅子畳み」は我々弟子の間だけでのものとなった。
世間に「浮き握り」が公開された2019年10月より一年少し前の2018年5月、私は「浮き握り」のときに手の内に棒を握っておき、「獅子流し」で手の内で棒を転がし、「獅子畳み」でその手の内の棒を四指に引っかけるということを師匠と相談して考案していた。最初は両手で一本の棒を握る案を私が出して、それに対して師匠が棒は二本あったほうが良いとのことで考案され、2018年5月にステンレスの棒二本を作成して、“鍛練棒”としたのである。
だが、この手の内の操作と鍛練棒、世間に出るどころか、弟子の間で共有されることもなく終わってしまった。そもそも「獅子畳み」が一時的に弟子の間で共有されただけで、今はもうやっていないのだから、仕方ない。

さて、こういった経緯もあり、そして私は掌打が主体の太極拳から武の世界に入り、現在は角力を研究している立場から、世間に公表された「浮き握り」より「獅子畳み」を当時から重要視していた。「浮き握り」は「獅子流し」をして「獅子畳み」になる準備段階の手形という感じと位置付けである。
実際、「獅子畳み」で、相撲のてっぽうの要領でフック(鉤打ち)をすると、とんでもない威力である。一発で相手の脳震盪を狙えるのではないだろうか。

ここで今回の主題目であるが、2018年5月の鍛練棒の考案以降、弟子の間での共有も共同研究者もいないまま、独自に鍛練棒による「浮き握り」→「獅子流し」→「獅子畳み」を研究してきた。今年になって、鍛練棒の材質がステンレスからタンタルになり、鍛練棒を私の金剛角力会から名前を取り、“金剛鉭(こんごうたん)”とした(鉭はタンタルの漢字表記)。
操作方法も、基本的に、金剛角力立禅という姿勢鍛練の際に、「浮き握り」から「獅子畳み」で姿勢をかためるときに使っている。
実戦形としては、そのまま「獅子畳み」として相撲のてっぽうで相手をさばきつつ、先述の「獅子畳み」でのフック(鉤打ち)でトドメを刺す感じである。

最後になったが、この鍛練棒の金剛鉭での「浮き握り」と「獅子畳み」について書いておく。
今回の画像を見てもらいたい。まず金剛鉭(このサイズの棒ならなんでも良い)を手のひらのMP関節に置く。MP関節とは、単純に指の付け根の関節のことだ。今回は便宜上で画像の金剛鉭を置いている位置をMP関節としているが、実際は手のひらの真ん中付近が指の骨の付け根なので、本来のMP関節である。手の曲がり方は独特なので、足のMP関節より分かりにくいのだ。
その今回の便宜上の指の付け根のMP関節に金剛鉭を置いたまま指の第一関節を伸ばしたまま包み込むように「浮き握り」をする。
最後に、指の四指で金剛鉭を転がしながら「獅子流し」をして、最終的に四指に金剛鉭を引っかけて、「獅子畳み」とし、同時に前腕をかため、姿勢を整える。
これが金剛角力会式の手の内鍛練の全容である。

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