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不動の姿勢について。

最近、鍛練姿勢を行う直前の準備姿勢において、気をつけ、つまり不動の姿勢を取り入れている。別に精神の精強性を目指したり、見た目にこだわっているわけではない。あくまでも合理的に、スムーズに運動に移れる準備姿勢として、不動の姿勢が最適だと思ったのだ。
武道を私はやってはいないが、私のやっている日本武術や中国武術にも、起勢に通じる開門式で不動の姿勢を取ったりする。もともと所詮は礼式だろうと無視をしていたが、今は、「古来、即、命に関わる世界で、そんな無駄な姿勢を取るだろうか?」と思っている。
第一として、戦前と戦後の不動の姿勢に違いがある。私は元自衛官だが、現在の不動の姿勢は顎を引き、腰を前に突き出している。だが戦前の不動の姿勢は、顎を若干突き出し、腰から上体を前傾させている。今回の画像がそれである。学校教練必携から借用した。
宮本武蔵は五輪の書で「おとがい(顎)を出す」と述べている。戦前の不動の姿勢が、まさにその姿勢に当てはまると思う。

「倒木法」という力の使い方がある。前に進むとき、倒れる力を最大限使う技術である。
戦前の不動の姿勢で動き出すときは、足の踵を揃えた状態から前へ傾け、倒れる勢いで動き始める。不動の姿勢の準備姿勢から、腰割三戦の鍛練姿勢に移るときも、不動の姿勢で揃えた踵に圧力をかけていき、体勢が傾いたところから一気に膝を抜いて腰割三戦になるのである。
気をつけ、つまり不動の姿勢を取ると、姿勢がフラフラする。自衛隊ではよく不動の姿勢でフラフラし、どやされたが、フラフラするのが正しいのである。
フラフラするのは不動の姿勢が、きわめて動的な姿勢だからに他ならない。大いにフラフラして、次の姿勢に繋げる準備姿勢として活用すべきだ。

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