111. お遺影騒動。
「ゴールデンウイークな、ちょっとみんなで帰ってきてくれんか」
突然、父親から電話がかかってきたのは、4月の第一週の週末。仕事では科研費の不採用通知をもらい、所長に連日「だから論文を出さないと」と嫌味小言を言われ続けてげっそりしていた土曜日の朝である。
「話すと長なるんやけど、とにかく、文(あや)ちゃん連れて来てくれんか。3日でええ。今年はどうやったっけな、3連休は…3、4、5とあるやないか。ここでええ。新幹線予約して」
こちらがどう考えているのかなど無視して来る。いつものこ