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三分の一私小説。

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本作の登場人物は全て架空のものであり、描かれている状況の2/3は虚構である。自称、意識低め小説。
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記事一覧

114. 夢の中の春。

 私は眠るのが下手だ。どれくらい下手かというと、保育園のお昼寝の時間に一度たりとも眠らな…

tikuo
2日前
3

113. 賞味期限を切らせて縁を断つ。

「先生、これ、食べます?」 事務の坂口さんが見覚えのあるお菓子を見せてきた。先月の学会の…

tikuo
10か月前

112. 赤いカラス。

 それは2月の終わりの朝だった。乗換駅であるO駅東口で昼食を買うためコンビニに向かっている…

tikuo
1年前
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111. お遺影騒動。

「ゴールデンウイークな、ちょっとみんなで帰ってきてくれんか」 突然、父親から電話がかかっ…

tikuo
1年前
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10回に一度の反省。楽屋トーク。その11。

 そういえばこういうコーナー有りましたね。前回が1年ちょっと前。もうやらないかと思ってい…

tikuo
1年前
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110. 四十肩と秋の空。

 イテテテ…。 時刻は11月最後の日曜の朝の6:30。11月の終盤にもなると、6時を回ってもまだ…

tikuo
1年前

109. 休日出勤者の憂鬱。

 休日出勤が憂鬱になったのは、職場と家が遠くなってからだろうか。結婚当初までは、職場のビルから自転車で2kmくらいの田舎の4階建てアパートに住んでおり、毎週土曜日か日曜日に翌週の仕事の仕込みに顔を出していた。一時期、両方行けば効率良いなと考えて実行してみたが、どんどん体の具合が悪くなり、1週間に24時間は連続で職場を離れた方が良いことを悟った。なお、1日の場合は可能な限り、12時間職場から離れると体調が良くなるらしい。 家が遠くなり、休日に出るとなると時間外勤務、つまり残業

108. 学会に居場所がない。

 秋は学会シーズンである。関東で大きい学会というと、なぜか横浜でしか開かれないため、5時…

tikuo
1年前

107. 居眠りする少女。

 お盆である。お盆というと、8月の15日くらいと相場は決まっているが、これを常識としないほ…

tikuo
1年前

106. とある謝辞。

「あのッ!少しいいですかッ!」 2月某日。まだ日が出ず、外は薄明るい電車の中で、女子高生が声…

tikuo
2年前
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105. 仕事で学んだつまらないこと。

 学生生活を終えてから、私はかれこれ20年近く仕事をしている。大学院を出ている分、社会に出…

tikuo
2年前
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104. 原付を買う。

 原付バイクを買おう。そう思ったのは、1997年の初頭だった。思い立ったきっかけは、やはり寄…

tikuo
2年前
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103. 海外へ行きたい病。

 「海外、行きたいよねえー」 私とテクニシャンの川口さんが、リアルタイムPCRのミックスを黙…

tikuo
2年前
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102. 小説は裏の顔。

 小説を書いている。ネットで隠れて書いている。 もう50も手が届きそうな年齢に到達してきたけれども、公言はしていない。しかしネット上で公開はしている。 * 小説を書こうと思いたち、実際に始めたのは3年前だ。高校の頃にこっそりショートショートを数本書き、うち1本は匿名で高校の文芸サークルの会誌に載せてもらった。ブラックユーモアを題材にしたショートショートは、男子校に通う同級生たちにはそこそこウケていた。単に、壮大に歴史やファンタジーなどの長編小説を書くサークル員達の作風が、