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君の事

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日常に追われて、時々忘れそうになるので。 大切な人との出会いを記録します。
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#恋人

出会いの場

初めての婚活パーティーは
ストレスでしかなかった。

会場に着いた段階で
全体を見渡したけれど
私が求めているような人はいなくて

横にいる友人も
私と同じ顔をしていたので
無言でアイコンタクトをとって
早急に切り上げることが決まった。

人見知りの私にとって
興味のない知らない相手と話すのは
想像以上にストレスで

初めのうちは相手に合わせるよう
頑張れたが
途中から相手への興味のなさが
モロに

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減点項目

長い間恋を初めていなかったので
新しい相手の探し方がわからなくて
友人に相談した。

友人も彼氏がいなかったので
一緒に婚活パーティーに行くことになったが

そうなってくると
プロフィールの
職業欄が
完全に足を引っ張ってくる。

28歳
趣味なし
無職

こんな女を
嫁にしたい人なんてきっといない。

慌てて就職活動を始めた。

一生独り身でいることも考慮し
長く続けられそうな
福利厚生のしっか

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それからの事

両親は2ヶ月弱で出戻った娘を
何事もなかったかのように
普通に迎え入れてくれた。

私の部屋は変わらずにあったし
持って行った荷物も少なかったので
引っ越しの片付けはすぐに終わり

まるで私は
少し長めの旅行にでも
行っていだぐらいの感じて
なんの違和感もなく
以前の日常に戻った。

年の瀬に祖父が亡くなった。

私が帰ってくるのを待ってたんだよと
母は言った。

葬儀や片付けで
バタバタした年末

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優先順位

彼は私が許すとでも
思っていたのだろうか。

ない。

絶対にない。

私はタバコを許さない。

タバコをやめてくれたことが
愛されている証だと思っていた。

私は愛されていなかった。

彼に別れを告げた

彼は泣いていたが
最後まで
タバコをやめるとは言わなかった。

いつから彼の優先順位が
変わっていたのだろう。

全く気が付かなかった

けれど、よく考えてみたら
8年も一緒にいて
プロポーズ

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彼の言い分

2人共なにも言わず
いつもの毎日を装っているはずなのに
部屋の中の空気は重たかった。

耐えきれず切り出した。

「なにか言うことはない?」

「タバコのこと?」

「そう」

「なんでバレたって気付いたのに
何も言わないの?」

「何も言ってこなかったから」

「普通謝ってくるよね?」

「ごめん」

「いつから吸ってるの?」

「ずっと前から」

「前から?やめてなかったの?」

「うん

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8年

彼とは別れる。

答えはとっくに出ているのに
踏み出す勇気がなかった。

私はタバコを吸う人とは
絶対に結婚しないと決めていた。

彼との同棲は
結婚への助走段階であったので
結婚する予定のない相手と
28歳の私が
これ以上一緒にいる理由は少しもない。

私は彼の事が

好きではなかった。

彼から好きだと言われたら
「ありがとう」
と返した。

彼に好きかと聞かれたら
「嫌いじゃないよ」
と答え

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2回目

それからはとにかく最悪だった。

彼は絶対に
私にタバコが見つかったことに
気付いているはずなのに

その事について
全くなにも言ってこなかった。

私も何も言わなかった。

ただ、
前回の一件以降
私は毎日
彼の鞄にタバコが入っていないかを
確かめずにはいられなくなった。

彼が寝たあとにこっそりと
鞄の中身をチェックする日々が続き

鞄からは何も出てこず
このままなかった事になるのかなと
思っ

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1回目

私の頭の中は
どうしようでいっぱいだった。

これはきっと彼のもので
何本か減っているタバコ本数から見ても
彼が非喫煙者ではないことは明らかだった。

寝ている彼を起こして
聞いてみることも出来たが
その勇気が
私にはなかった。

タバコとライターを
彼の鞄からそっと抜き取り
自分の鞄に入れた。

翌朝なにも知らない彼が
家を出るのを見送ったあと

私は駅の近くのコンビニのゴミ箱に
タバコとライタ

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非喫煙者

彼は私と付き合う前から
タバコを吸っていた。

元々友達だったので
彼が喫煙者であることは知っていたが
もちろん友達だから特に何も言わなかった。

彼から付き合って欲しいと言われた時
私はいいよと返事を返すと共に

条件ではなく
あくまでお願いとして

実はタバコが苦手だから
出来ればやめてほしいと頼んだ。

彼は二つ返事で了承してくれた。

タバコは依存性があると聞くが
そんなに簡単にやめられる

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マイルドセブン

私の父は
いわゆる昭和のお父さんで
亭主関白な仕事熱心な真面目な人だった。

朝は私が起きる頃に家を出て行ったし、
夜は私がお風呂から上がった頃に帰ってきて
さっさっと夕食を済ませてお風呂に入り
すぐに寝に行ってしまう。

私たち兄弟が
「おかえり」と声をかけても
父から
「ただいま」と
返事があることはほとんどなくて

一方通行な「おかえり」に
意味があるようには思えなかったので
私は父に「おか

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2つの箱

その日彼は
職場の先輩と呑んで帰ってきた。

酔っ払って寝てしまった彼の鞄を
何気なく
ほんとうになんの気なしに見たら
鞄の奥底に
ボロボロのコンドームの箱があった。

この箱に私は見覚えがある。

私達は1年以上していなかった。

彼は何度か求めてきたけれど
私はどうしても
彼に触れる気持ちになれなくて

頑なに拒み続けていたから
いつしか彼は諦めて
挑んでくることをやめていた。

この箱は
1

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想定外

彼と別れたのは
同棲を始めてもうすぐ2ヶ月経つ頃だった。

同棲をするにあたって
アパートを借りる場所は
彼の職場の近くにしようとなったので
私は引越しを理由に
当時嫌で仕方なかった職場を
寿退社的なかたちで円満に辞めた。

私は28歳で無職だった。

彼はお金がなかったので
同棲を始めるにあたっての資金は
半分以上私が出していた。

8年も付き合っていたので
もちろん結婚も意識していて
家具や家

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彼の好きなところ

彼は私のタイプではなかった。
それは付き合った時からずっと。

細身な人がタイプなのに
彼はどちらかというとガッチリしていたし
付き合っている間にさらに太った。

その姿は私をげんなりさせて
結果、私たちはレスだった。

彼のいいところはたくさんあった。

彼は運転が上手で、道に詳しかった。

私は車は持っていたけれど、とにかく運転に向いていなかったので、
助手席に座っていろんなところに連れて行っ

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結婚適齢期

彼の事は好きではなかった。

違う。
嫌いではなかった。

嫌いではないから特に別れる理由もなくて、
特に別れる理由がないから
結果8年も一緒に過ごすことになった。

8年も一緒にいるんだし、このまま結婚するんだろうなと周りも思っていただろうし、
もちろん私もそう思っていた。

別れは私から告げた。

じゃあ何が絶望なのかというと
彼と別れる事で
私が失ったものが多すぎたから。

彼と別れてしまっ

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