彼の言い分

2人共なにも言わず
いつもの毎日を装っているはずなのに
部屋の中の空気は重たかった。



耐えきれず切り出した。

「なにか言うことはない?」

「タバコのこと?」

「そう」

「なんでバレたって気付いたのに
何も言わないの?」

「何も言ってこなかったから」

「普通謝ってくるよね?」

「ごめん」


「いつから吸ってるの?」

「ずっと前から」

「前から?やめてなかったの?」

「うん
気付いてると思ってた」

「私がタバコ嫌いなの知ってて吸うの?
私タバコ吸う人とは一緒にいたくないって
前から言ってるの知ってるでしょ?」

「でも、君の前では吸ってないから。
今まで気付かなかったんだし
今後も君の前では吸わなかったら
迷惑もかからないんだし
お互い困らないんじゃないかな」






彼は長い間嘘をつき続けていたことを
たいして謝りもせずに
私に歩み寄らせようとしてきた。







違う。

思ってたんと違う。


全然違う。


泣いて謝ってくると思っていた。

タバコはやめるから
もう絶対吸わないから別れないでくれと
彼は泣いて懇願してくると思っていた。




違った。




私たちの関係性は
いつの間にかかわっていたのだ。

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