彼の好きなところ

彼は私のタイプではなかった。
それは付き合った時からずっと。

細身な人がタイプなのに
彼はどちらかというとガッチリしていたし
付き合っている間にさらに太った。

その姿は私をげんなりさせて
結果、私たちはレスだった。

彼のいいところはたくさんあった。

彼は運転が上手で、道に詳しかった。

私は車は持っていたけれど、とにかく運転に向いていなかったので、
助手席に座っていろんなところに連れて行ってもらった。

GoogleMapに頼っているのに
何故か目的地の裏の駐車場に着いてしまう私からしたら、ナビでちゃんと目的地にたどり着ける彼はすばらしいと思ったし、1度通った道ならナビなしでたどり着けるところに、魅力を感じた。
抜け道にも詳しかった。

行きたいところを言ったら、嫌な顔ひとつせずに次の週末には連れて行ってもらえたので、
私は彼と付き合っている間、ショッピングモールとかアウトレットとか映画館とか、ちょっと離れたサービスエリアとか
いろんな場所に行けた。

彼は友達も多かった。

人見知りな私も
彼の友達やその彼女と
友達になることができた。

彼の友達たちとBBQをしたり
クリスマスパーティーをしたり
旅行に行ったりもして
おかげで私の週末は
いつも予定がある
いわゆるリア充のような日々になった。

それはとても楽しかったし、
手放すには惜しい日々だった。